ツナガリ
あのー…… 申し訳無いというかー……
10分程の休憩を終え、MPも9割まで回復した。HPは攻撃を受けていないので、入った時から変わらず、SPも節約につき無事だ。
「そんじゃあ行きますかね……」
5Fへの階段を、一段一段踏みしめながらゆっくりと降りて行く。
そうすると、踊り場を一つ抜け更に20段ほど降り…… 小部屋に着いた。
「――――ッッッ!! 」
前を見る。
息が詰まる。
「どうし……て……?」
そこにあったのは薄暗い洞窟の中にあってもなお輝く”金色の巨大な扉”。
「どうして……?」
最後に目にした光景の一部。
仲間との最後の会話が行われし場所。
「どうして…… どうして向こうの世界と同じ扉が!?」
前世のダンジョンの代名詞。ボス部屋前の金扉と全く同じ大きさ、装飾の……
――――――全く同じ扉がそこに存在していた。
「はぁ…… はぁ…… どうして? 向こうと繋がってるのか? いやでもそんなこと……」
トラウマが刺激されると共に、懐かしさが吹き出してくる。
「帰れる? 向こうに……? 父上も、母上も…… みんながいる故郷に?」
ほんの小さな手がかり。
もしかしたら神様の中での法律とかで、扉の規格が決まってたりしただけで、別の世界かもしれない。
「でも…… 無関係じゃ、ない」
確かにゴブリンの動きや、魔法弓術が使えること…… 類似点はこれまでにもいくらかあった。
それが確信に変わる。
「進もう…… きっとその先に、手がかりはあるから。」
まだマップだって最初の町だ。レベルだってまだまだ低い。昔の様に矢を千本に増やしたりなんて出来ないし、装備の質も低い。
―――――でも
「進もう。帰るんだ、故郷へ」
目の前の扉を開く。鳥肌はもう、収まっていた。
「いざ、ダンジョン制覇へ!」
……これで悪魔がいたら心臓とか肉体とか諸々が死ぬ。
まぁそんなことは無く、扉の先に居たのは――
「うっわぁ…… そうきたかぁ……」
蛾の羽が生えた、赤い犬だった。
「合成しちゃったかぁ……」
名付けるなら、ワイルドヤーンモスドッグだろうか?
(眼は血走っていて肋骨は浮き出ていたものの)可愛いワンちゃんと、蛾は蛾。しかもでっかいヤツ。
そりゃあ混ぜたらエグい。
「うっへぇ…… 早く済ませようっと……」
バウバウバウンン!!
15mほど先から羽を激しく動かしながら、四肢を使って駆けてくる犬蛾をまずは普通の矢で迎撃する。
「キャイン! 」
すると突進は止まり、ヤツは軽くノックバックしながら悲鳴を上げた。
おっ、結構効いてる?
その隙に次はスキルを用意する。手加減は無しだ。
「【強弓】【四矢】【三矢】【二矢】
【黒人参砲】【エンチャント黒金(兎)】! よーし、行っくぞー!」
スキルの宣言と共に、弓にエフェクトがかかり漆黒の矢がつがえられる。
矢じりには人参が輝やき、エンチャントによって金糸が二筋。
……これ、刺さるかなぁ?
始めて使ったけど、強そうと弱そうがせめぎ会う見た目をしている。
と、そんなこんなで用意ができたと共に再びの突進。
バウバウバウ!!
「はぁ……」
矢のどうも上がらない見た目にため息を付きながら僕は弦を引き……
――――――放つ
複数の矢が放てるスキルを複数使うという試みは……
予想外の結果をもたらす。
"24"本の黒金の筋が犬蛾に向かって殺到し……
すり抜けた。
キャウン
音すら出ず、悲鳴すら殆ど出させない瞬時の貫通――――
「ふぅ……」
残心の後にはポリゴンと宝箱、その向こう側の壁に24個の孔だけが残った。
「って、えーーー!? うっそ、あの見た目で貫通攻撃とか! てか矢の数多かったよね? えー!? それにボスやっこ! 豆腐かよ!」
ライト は 混乱 している !
情報が脳を焼いた。
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とりあえず完結までのタイトルは決めました。あと12話の予定。でも勝手に扉が向こうと同じになったりするからもう少しかかるかも。本日は誠に申し訳御座いませんでした。




