踏破せよ洞窟を
「シッ!」
ギチチチチギチチ!!
錆びかけた短剣を関節の間に振るい出せる限りに最大の、されども微妙な量のダメージを巨大な蛾に与える。
「はぁはぁはぁ…… シッ!」
一閃。
顔を切り裂いた刃に追従する様に、ポリゴンが溢れ出す。
ダンジョンに落ちてから早一時間弱。
ワイルドックという赤い大型犬と、ヤーンモスという今倒した巨大な蛾の二種類のモンスターが出現するこの洞窟を僕は駆け抜けていた。
「はぁ、はぁ…… よしっ、階段!」
ドロップ品を拾い、再び走り始める。
と、すぐに下へ向かう階段を見つけることができた。
始まってから20分程で見つけた2階層への階段を降りた所に立てられた看板によると、この迷宮は5階層まであるらしい。
「よし、4階層! 定番なら5階層はボス部屋だから…… よし、こっからは弓も使っていこう!」
階段を降りた場所はこれまでの階層通りセーフティゾーンだった。
床の色が他とは違って、そこにはモンスターが入って来られないみたいだ。
インベントリから弓を取り出しながら、ちょっと休憩を取りドロップ品を確認する。
これまでに倒したモンスターは
ワイルドック×15
ヤーンモス×6
である。ドロップは犬の牙やら革、触手に羽なんてどうやって使えばいいのか分からないものばっかり……
「ギルドに依頼があったら納品する、ぐらいの感じでいっか。錬金術とかにも使うかもしれないしな……」
一人で歩く、暗い洞窟はとても寂しいもの。独り言を話ながら気分を上向きにしていく。
「よし、行こっか。」
立ち上がり、また暗い道を歩み始める。
蛾や犬を弓を解禁して向上した火力を使いワンパンしていく。
あー、楽。
4階層に至り、相手もそれなりに強くなっているが上がった火力の比ではない。
悠々と進んでいく。
「はぁ…… 階段階段っと……」
松明を頼りに道を進んでいく。
マッピングはUIが勝手にしてくれるらしく、前世のように紙に一々書きながら進む必要がなくその分負担は少ない。
「あっ、宝箱だ!」
地図を見ていると道が四角に内巻きにぐるぐるし始めたので、階段を期待しながら進むと宝箱を見つけることに成功した。
「さっきの中身はクズ鉱石だったからなぁ……」
しかし、期待してしまう。
どんなにトラウマがあっても、どんなにさっきがクソみたいな中身でも……
「僕は宝箱が…… 好きだ。」
愛を囁きつつ、宝箱に手を伸ばす。
と……
ガブッ!!
宝箱に口が生えて……
飛び上がり、【噛みつき】を放ってきた。
「あー…… くそっ、緩みまくってた!!」
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【ミミック】宝箱に擬態し、敵に噛みき奇襲するモンスター。ダンジョンによく出現し、冒険者を惑わす。




