第一話 出会い
冷たさにヒューマンの少年は目を覚ました。
真夜中の知らない湖で鎖で縛られた俺は頭から滴る水滴を忘れて思考停止していた。
「どこだ、ここ?」
「ここは聖樹の森。エルフの国の誰も知らない秘密の場所よ」
とても美しいエルフの女だ。
御伽噺を読んだから知っている。実際に見たのは初めてだった。
綺麗な金髪碧眼と白い肌。そして特徴的な長い耳。
スレンダーな体型と豊かな胸は男の興味をそそる。
高価そうな服装から高貴な人だと分かる。
……。
今なんて言った?
ここがエルフの国?
「自己紹介がまだだったわ。私の名前はサーシャ・ハーン。エルフの国の姫よ。憎き女王を倒し、私の自由を手に入れる為、罪を背負う共犯者になりなさい」
共犯者?
冗談じゃない。
だが、サーシャの目はマジだ。
早く逃げないと!
「ぐぎぎ! びくともしねぇー!」
「暴れても無駄よ。鎖をヒューマンの力で引き千切れないわよ」
「お、おい! 鎖を解けよ!?」
「解くわけないじゃない。しかし、ご主人様に向かって、口の利き方がなってないわね、ペットの分際で」
「誰がペットだ!」
サーシャは俺の襟を掴み深い森の中に引き摺る。
「まぁいいわ。私とアナタの基地に案内するから、着いてきなさい」