秋葉原ヲタク白書92 神田川の砂マフィア
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナのためのラノベ第92話です。
今回は、神田川に謎の水死体が上がる中で川底清掃ロボ"海底ルンバ"が盗まれ神田川で秘密の性能試験が行われます。
背後に、インドの砂マフィアの影がチラつく一方、昌平橋には謎のスーパーヒロインが登場し世直しを始めるのですが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 謎の水死体
「死体の頭蓋骨に…ドリルの穴が5つも開いてる!」
「コ、コレは…世界で頻発中の"サンドマフィア"の流儀だ。きっと口封じで誰かが消されたに違いない。彼女は"砂戦争"の犠牲者だ」
「気をつけろ。奴等がアキバに上陸したぞw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田川に水死体が上がる。
噂では、美少女系のメガネ女子らしいけど、水死体で美少女もメガネも無いモンだw
きっと、万世橋の新橋鮫辺りが僕達ウケを狙って面白おかしくリークしてるに違い←
あ、新橋鮫は万世橋の敏腕刑事だ。
「何でもマフィアの処刑の儀式に則った殺され方だったらしいぞ」
「マフィア?ニューヨークの何ちゃら一家とか、そーゆー人達かな?そんな方々(謎の敬語w)が何でアキバに?」
「だから処刑しに来たンでしょ?」
御屋敷は水死体の噂で持ち切りだ。
あ、ココは僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務める御屋敷。
圧倒的な空間分解能を誇るため"超長基線電波干渉計バー"と呼ばれる。
「あぁミユリ!どーしよー?その変死体、ウチのロレンちゃんカモしれないの!」
御屋敷に勝手にメイド服で押し掛け、挙句に頭を抱えてるのはヒマリさんだ。
ミユリさんのメイド長仲間で古馴染みナンだが、メイド服で来ちゃダメだょ!
営業と間違われちゃうw
「そのロレンちゃんて誰?ヒマリのトコロのメイドさん?」
「理系女子。頭が良い子なの。何とか逝うスタートアップにお勤めで、ナイト専門だったンだけど、一昨日から欠勤で連絡がつかなくてw少し前から何かに悩んでたみたい」
「まぁ」
ココで下手に突っ込むと人探しをリクエストされちゃうのでミユリさんも微妙な間合い。
僕は僕で視線が合わないように、壁掛けTVで無駄に流れてるスターウォーズを見てたら…
突如、目の前にヒマリさんの顔が割り込むw
「助けてテリィたん。貴方だけが頼りです」
また今回もスターウォーズでR2が流す姫様メッセージのパターンだょw
さすが聖地のメイド長。ヲタクが断れないリクエストを出すのが上手←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"完全メイドロボティクス社"。
中央通り沿いのタワービルにオフィスを構える同社はラブドールメーカーとして有名だ。
ソコでクスリと笑った君!決して侮ってはイケナイ。ココのラブドールは只者じゃナイ。
日々深層学習を重ねるAI搭載ラブドールだ。
「やや!またまた美人メイド長とヘッポコ作家のコンビですね?前回はよくもウチの"レイナ08"をコケに…えっ?何ですか?何てコトだっ!ロレンが殺されたカモしれナイ?」
「いや。そうと決まったワケでは。ところで、お見受けしたトコロ、御社はスマートバンドをお使いですね?」
「おおぉ。良く気づかれましたね」
「身分証やカードキーの代わりにRFチップを埋め込んだリストバンドだ。未だ、万世橋から連絡が無いトコロを見ると、どうやら、水死体はスマートバンドとは無縁のようですね。となると、御社は御社で社員の行方不明を別途、万世橋に御相談された方が…」
「ソレが…実は、ロレンは先週から停職扱いになっていまして。優秀な人材でしたが、ウチの社風には合わなかった。でも、まだ人事にデータが残ってるハズです」
「では、もし万世橋が御来社されるようなコトがあれば、早々にお見せになるコトをお勧めします…」
「やれやれ。いつもこのコンビが来て初めて社員が失踪してたりゴタゴタに巻き込まれてたりスルのがわかるンだょな。ありがたいのか疫病神なのか」
「で!ロレンさんは、御社とは合わなかった。つまり会社の顔である貴方、リンジCEOと合わなかった、と逝うコトですね?」
「私が、ロレンの失踪に関与してると?停職処分にした上に殺したとか?」
「実は、コチラの業界のゴシップサイトみたいな板を見つけまして。貴方は先月、会議の席上、彼女を"無能なクソ女"呼ばわりしたそーですね?」
「あんなつまらないサイトの受け売りをスル奴がいるのか!そっちの方が衝撃だ」
「海の向こうの大統領みたいに"お前は終わりだ"と貴方が逝い放った後で、彼女は死んだ」
「え?確か未だ行方不明で、死んだワケではナイのでは?とにかく!私が終わりだ、と言ったのは、彼女のプロジェクト"海底ルンバ"の話death」
「"海底ルンバ"?」
「もちろん"海底ルンバ"は通称で、正式名称は"海底エコシステム再生維持システム"です。ウチもラブドールだけ作ってるワケじゃ無いンですょ」
「御見逸れしました!で、その"海底ルンバ"とは?」
「文字通り、海底を進みながら汚染物質や毒物を除去するラブドー…じゃなかったロボットです。"家の中"ではなく"海の底"を掃除するロボット。本家と似た円形ロボですが、少し大き目で直径約1m。名付けて"海底ルンバ"です」
「なるほど。ロレンはプロジェクト"海底ルンバ"に参戦してたワケですね?」
「彼女は、実は浄化分野では国内屈指の技術者で2年前、開発リーダーにと他社から引き抜いた。しかし、以来、何台の"海底ルンバ"が完成したと思いますか?」
「さて?」
「ゼロですょ」←
「リンジCEOは、ロレンに不満をお持ちだったのですね?」
「はじめの頃はロレンも貪欲で、1年以上も実地調査を行い、世界中で試作機を作らせてました。ところが、半年前、急に実用化は無理だと言い出した。直ちに設計から見直すよう命じましたが態度を改めズ…止む無く切りました。それだけです」
「一昨日の夜6時から12時までどちらに?」
「おやおや。まるでアリバイの聞き込みですねw貴方達って確か単なるヲタクのコンビですょね?」
「質問に答えて。リンジさん」
「熱海の保養所でヨガをして、今朝社用車で戻ったトコロです。専属ドライバーをお教えしましょう。何ならヨガインストラクターのプロフィールも。良い女ですょ軟らかくて。ところで、ヴァラって名前の男には、もう話を聞いてます?」
「いや。誰ですかソレ?」
「何週間か前、ロレンが珍しく会議に顔を出しましてね。途中、その男からの電話で席を外してた。詳細は聞き取れなかったが、明らかに言い争ってました」
「その素晴らしい地獄耳で、苗字もキャッチしてるとか?」
「聞こえたのは"ヴァラ"だけです。地獄耳と言えば…テリィたん、今日はウサ耳は?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おい、テリィ。中央通りのダッチワイフ屋から社員の行方不明届が出たンだが、お前、何か知ってるか?」
「えっ?知らないょ。全然全く徹底的に知らない」
「やっぱりお前か。あれ?今日はウサ耳どーした?似合ってたのに」
鮫の旦那の御帰宅だw
新橋鮫は、万世橋の敏腕刑事だが情婦のジュリが御屋敷の常連なので、よく顔を出す。
で、僕は彼には貸しがアル。貸しと逝うか僕が何か解決するとソレが常に奴の手柄にw
ま、僕は彼の手柄メーカーみたいな存在←
「ま、重犯課が出るような話じゃ無いンだが、何か匂うンだょな」
「おお!またまた国家に雇われたテロリストや国際麻薬カルテルの黒い影がっ?!」
「いや。"時間旅行"と"地底人"の影だ。ヲタクが匂う。テリィ、この前のヤマは、よくも俺を外してくれたな」
「え?え?何の話かな?だって、アレは軍事系だったからねぇ。ホラ、空軍は出て来たけど秘密警察は出て来なかったろ?」
「とにかく!何か手柄を立て損なった気がスルwだから、今回は付かず離れずだ。行方不明の姉ちゃんの通話記録を調べたら、神田川沿いにある雑居ビルの地下に男がいるコトがわかった。今から御礼参りに逝くが、来るか?」
「もちろん!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
現場は、アキバから駿河台へ登る皀角坂沿いに並ぶ雑居ビルの1つ。
歩道から狭い階段がイキナリ上下に伸び、特に下る方は急角度だ。
底まで降りるとドアが2つ並ぶ。
新橋鮫が右側をドスドス叩くw
「ヴァラさん!警察だ!話がある!」
「誰?」
「いつもロレンって女と電話で話してるだろ?」
ドアが半分開くが、ソレでは全体が見えない半裸デブ。ホントにこのドアから入ったの?
「悪いが知らない」
「立ち話もナンだな。中に入れろや」
「令状は?」
「令状なんか出ると、あるモノないモノ根こそぎサラッてくコトになるが」
「わ、わかった。今、開けるから少し待て。服を着る」
扉が閉まる。
「ロレンを知らないってのは嘘だな」
「何か隠してルンじゃないか…あ!上から逃げたぞ!」
「何?あ、コラ待て!わっ」
思わぬ身のこなし?このビルは中がどーなってるのか皆目不明だが、最下層から眩しい地表を見上げるとデブが外へ駆け出すトコロw
さらに見上げた新橋鮫の顔にパラリと落ちたのは…さっきまで腰に巻かれてたタオルだw
憤怒の表情で狭い階段を駆け上がり全裸?のデブを追跡スル鮫の旦那。頑張れ負けるな!
1人底地?に残された僕は、デブ部屋の隣のドアを開けてみる。
アッサリ開いたドアは外に通じてて、ソコは真夜中の神田川畔。
間も無く最終電車を迎える御茶ノ水駅が闇夜に浮かび、その背後には聖橋がそそり立つ。
耳をすますと神田川の流れる音が聞こえる。さらに目が慣れてくると足元に…犬小屋か?
さらに目を凝らすと、その犬小屋?にはシャッターが閉まっているw
何かのガレージ?ままょとシャッターに手を掛けるとコレまた開く←
御丁寧に自動でライトが点灯。
中に入っているのは丸い何か。
直径1m?も、もしや"海底ルンバ"?
第2章 海底ルンバ
どーやらビンゴだったようだが"ルンバ"自体は万世橋に押収されてしまう。
別に賞金が出るとも聞いてナイが、何となく不貞腐れてたら御座敷がかかる。
「テリィ!全裸逃走のヴァラの取調べ、見てくか?服は着せてアル」
「thank you 鮫の旦那」
「ただし、マジックミラー越しだからな。騒ぐなょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「警察から聞くまでロレンの失踪は知らなかった。ホントだ」
「ココ1週間前で何度も電話してるな?恋人同士か?でなきゃ口論が絶えない間柄って奴か?」
「純粋に技術的議論だ。確かに気は合わなかったが、失踪とは関係ナイ」
「お前は散々ウソをつき、挙句に全裸で逃走した。今さら何を信じろと?」
「じゃ取り調べるな。俺が嘘をついたのも、逃げたのも、全部"海底ルンバ"のせいだ。何であんなモンに関わったのか…」
「お前はエンジニアとしてロレンの手伝いをしてたのか?」
「ちょうど無職で金のない時に誘われた。ロレンは"海底ルンバ"の将来性を信じてた。ひとたび原油事故が起きれば、トンでもナイ大金が動く。ところが"完全メイドロボティクス"のリンジCEOは、技術が完成すれば、全て情報公開する方針を決めてた。国際石油資本は、自前で"海底ルンバ"を量産出来る。挙句に政府まで海の清掃に乗り出せば、完全に利益が出なくなる。ロレンは激怒してたょ」
「ソレで"海底ルンバ"を設計図ごと盗み出し、お前と組んだのか。訴訟も承知で」
「訴えられない程度に仕様は変える予定だった。ソレを知ったリンジCEOが彼女を拉致したンじゃナイか?次は俺が危ないぞw助けろ!」
「どうやら、ロレンは"無能なクソ女"なんかじゃなかったようだな」
「ああ。彼女は立派な泥棒だ。とにかく!俺を保護してくれ!証人保護プログラムでも受け入れる!」
「うーん。少し安心しろ。リンジCEOにはアリバイがある」
「騙されるな!でも、ソレなら他の奴等かもしれない」
「他の奴等?」
「実は"海底ルンバ"の要素技術は、世界中の開発者から募ってる。ロレンは、あちこちからアイデアをつまみ食いしてた。そして、世界中のエンジニアに試作させて、その良いトコ取りをしてたんだ」
「なぜ、ソレが"奴等"にバレたんだ?」
「性能試験の時かもしれない。あの試作機は完璧に作動スル。神田川でのテストを、マズい連中に見られたのカモしれない」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜、と逝うか深夜に、御屋敷を閉めたミユリさんと合流。
あ、合流と逝うより…アフターだねwお腹空いたと逝われてw
「ええっ?タオルが顔に?ソレは…御愁傷様でした。で、ヴァラは自白したのですか?」
「知的財産の窃盗はね。因みに、失踪時刻には、ストリップクラブでカード払いをしててアリバイも成立w」
「振り出しですね」
「うーん。でも、ヴァラが、ロレンは"海底ルンバ"への情熱から"完全メイドロボティクス"や世界中のエンジニアからアイデアを盗んだと考えてるコトがわかった。あ、あとアイデア盗用がバレたのは、神田川での性能試験を見られたンじゃないかって」
「え?神田川で性能試験を?動画とか、あるンじゃナイですか?」
「アルとは思うンだけど…見つからないンだ」
「あ、もしかしたらお役に立てるカモ。実は、さっきまで常連さん達が盛り上がってた動画がありまして…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「月と違って…早起きよっ!」
え?何だって?
月に"変わって"じゃなくて?スーパーヒーロー…じゃなかったヒロインかな?が早起きしてどースル?ってか僕の聞き間違えかな?
動画では、ヤタラ筋肉質なセーラー戦士が悪役?のサラリーマンみたいな男を押し倒し人間パワーで押さえつけてる。マジ実力行使。
呪文や光線などスーパーパワーは不使用だw
「地域をよくスルって良く聞く話ですが、実際にカラダを張って御町内の正義を守る人って、初めてです」
「え?コレって、いわゆる御当地ヒーローって奴?いや、ヒロインか」
「"セーラー昌平橋"と逝うンだそうです。名前の通り昌平橋界隈に出没する地域限定ヒロインで、既に動画投稿数は100本を超えるとか」
「へえぇ。しかし、投稿数もさるコトながら、よくソレだけ退治される悪人がいるなw昌平橋って犯罪多発地帯だったっけ?」
「一人歩き女子への声掛けや、自転車2人乗りの注意とかも含みます」
「うーん。もしかして、御近所系お節介オバサン?コスプレがセーラー戦士なだけに悲惨だ」
「得意の人間パワー?で、タマに売人なんかも何人か捕らえては万世橋に突き出しているようです」
「危ないマネするなー。国際麻薬シンジケートを怒らせかねないょ。でも、何が彼女をソコまで駆り立てるのかな?アメコミみたいに親兄弟をチンピラに殺されてるとか?」
「動画のコメント欄は、脅迫を意味する絵文字であるハサミ、ドクロ、炎上の焔で埋まってます。恐らく日常生活でも結構脅されてるのでは?」
「なるほど。やや?kill youがkiss youになってるw脅迫する側も割と残念だ。ん?ボイスメッセージがあるぞ?」
"セーラー昌平橋をぶっ潰す!"
「あちゃあ。何処ぞの国営放送みたいだ。声の加工を外したいけど、デジタルのボイスチェンジャーを使ってるから難しいな」
「せっかく万世橋に突き出した連中が、証拠不全で不起訴になるケースも多いようです。で、問題の動画はコチラ」
"アンタ達!神田川はゴミ捨て禁止よ!"
"何度言わせるの?アンタこそ立入禁止よ、セーラーおばさん。ココは私有地"
"神田川は、みんなのモノよ。ゴミを捨てるな!"
"ソレならアンタ、神田川に飛び込んでょ。この川畔は個人の土地ナンだから!"
"私は退かない。その土地から、鉛、ヒ素、カドミウム、銅が環境基準を大きく超えて検出された。コレ以上、産業廃棄物を神田川に捨てたら、月と違って…早起きよっ!"
"全然怖くない。そもそも産廃捨ててないし。ウチは、ヤバい連中ともお付き合いがあるのよっ。次は、仲間が来て痛い目に合うよっ!"
「何となくゴミ出しでモメてるおばさん同士の喧嘩みたいだけど、コレが"セーラー昌平橋"とロレンのやりとりか」
「おばさんパワーに圧倒され、ヴァラは一言もなかったようです。コレを最後に動画のアップはストップ。"セーラー昌平橋"の姿を見た者もおりません」
「とりあえず"セーラー昌平橋"に逢ってみたいな。もしかしたら、失踪したロレンと最後に話した相手になるのカモ」
「え?でも、どうやったら彼女に会えるのでしょう?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
良い子がそのママ大人になったみんな!"ムーンライトセレナーダー"を覚えているか?
スーパー戦隊モノの金字塔"地下鉄戦隊メトロキャプテン"に出て来る悪の女幹部だょ!
今宵、その"ムーンライトセレナーダー"が出没!昌平橋で君と握手!DON'T MISS IT!
「テリィ様!真夜中に私がこんなコスプレをして"セーラー昌平橋"は現れるでしょうか?もしかして、とっくに神田川の藻屑になってたりして…」
「諦めるな!全国の良い子がミユリさ…じゃなかった"ムーンライトセレナーダー"を応援しているぞ!」
「悪の幹部ナンですけど」
あ、実は"メトロキャプテン"は僕が原作者で"セレナーダー"のモデルはミユリさんw
と逝うワケで今宵のミユリさんは黒革のボディウェアにベネチアンマスク&ハイブーツ。
コレぞオトナのスーパーヒロイン!
良い子やママ達が眉をひそめそうw
全部僕の好みです←
「も、もしや…貴女は"ムーンライトセレナーダー"様では?」
「え?ホントに現れた?そーゆー貴女は"セーラー昌平橋"さん?」
「うわぁ!お会いしたかったです!良い子に媚びないオトナな"地下鉄戦隊メトロキャプテン"は私の神でした!ついにモノホンに会えたわ!今日までスーパーヒロインやってて良かった!」
真夜中で人通りの絶えた昌平橋の真ん中、街灯の下でスーパーヒロイン同士が抱き合う。
何て美しい絵だ!コレは、原作者としてはゼヒ出て逝かなきゃ!セーラー戦士は大好物←
「あ、昌平橋さん。コチラはテリィ様。御存知"メトロキャプテン"の原作者なのよ。そして、私の御主人様にしてTO」
「えええええっ!あの"テリィたん"さんですか?コチラもモノホン?もう感涙の極み!あ、あ、貴方は、私のネ申なのれす…」
「あ、危ない!」
失神した昌平橋が僕へ崩れるように倒れ"やむなく"シッカリと胸で抱き止める。
僕の胸の中でウットリ顔で失神してるセーラー戦士!鍛え過ぎ筋肉質なのが難点w
「あの!セーラー昌平橋さん!その紛らわしい"失神のフリ"止めてね。ハイ、離れて。お話は伺うから…テリィ様も!ホラ、離れなさいっ!」
「あ、すみません。よそ様のTOを独り占めなんてwスーパーヒロイン失格ですょね、ごめんなさい。余りにエンディミオン王子にお顔が似ておられるから…」
「良く逝われる」←
あ、ミユリさんの両目からデス光線が…
「知っているコトは、全部お話ししますので私から聞いたコトは御内密に」
「もちろん。でも、なぜ?」
「私は、ロレンさんには忠告したんです。あの会社は危険だと」
「あの会社?」
「ガジス産業。同じ区画で浚渫の許認可が申請されてました。そもそも、こうした許認可は、割と時間がかかるのデスが…」
「デスが?」
「手続きを始めて数ヶ月後のある夜、担当官が帰り際に覆面男に襲われて…ガジス産業の申請を週末までに認可しろと。ソレでアッサリ許認可の申請書類が通ってしまったのです」
「何と」
「御想像がつくでしょうが、犯罪組織と建設業には、妙なつながりがあるのです。神田川面、区画はFM10971B。ロットNo.993482。認可申請者はガジス産業。私の下には、この手のゴシップやタレコミがよくあります。一応スーパーヒロインやってるので、虐げられた方々から、月に変わってお仕置きしてくれとのリクエストが…」
「おお。では、既にお仕置きを?」
「いえ。未だ手つかズです。痴漢退治が忙しく…でも、早起きは心掛けてます!」
「では、そのガジス産業さんとやらに、とりあえず事情を聞きに逝こう」
「ソレは、困難です。相手はダミー会社だから。私の情報源の話では、犯罪組織の隠れ蓑になってるとか」
「うーん…ソレって、もしかしてインド系の組織じゃナイかな。最近世界中に勢力を広げてる"サンドマフィア"だ」
「"サンドマフィア"?」
「近年インドでは"砂"をめぐる抗争で、何百人も死んでいる。"サンドマフィア"自体は多くの分派で構成されるが、そのうちの1つがアキバに上陸したとの噂がある」
「平気で何百人も殺す人達ですか?」
「ニューヨークでは、さっきまで青龍刀を振り回してた大陸系の中華マフィアが僅か1ヶ月で駆逐されたらしい。で、その殺害手口がスサまじい」
「まさか…噂の水死体のように頭蓋骨にドリルで穴を?」
「そうそう!ソレも電動ドリルなんだ!でも、幸い彼等の親玉は、食事の好みが偏ってるから、もしかしたら、逢いに逝けるカモしれない」
僕は、スーパーヒロイン2名に聞く。
「辛いカレー、大丈夫?」
第3章 激突!マハラジャカレー
松住町の"マハラジャカレー"知ってる?
本場のインドカレーで、噂では95種類のスパイスを数10時間煮込んだドロドロカレーだ。
ほとんど漆黒のスパイス煮込みで、ソレだけで激辛だが更に0〜95倍まで辛さが選べるw
その95倍カレーを半分残し、文字通り滝のように汗を噴いて悶える"セーラー昌平橋"。
大和撫子の誇り、長い黒髪は汗に濡れて顔に張り付き、熱い息を吐いてギブアップ寸前w
「あ…もぅ…らめぇ。食べられない…わ」
「ハァハァハァ。秋葉原ハ最高ダッ!」
「悔しいけど…私、負けましたわ」←
コスプレにたっぷり汗を吸わせたスーパーヒロインが天を仰ぎピクピク痙攣し敗北スル。
しかし"激辛対決"を制したインド人らしいオッサンは彼女を見下ろしハァハァしてるw
ん?もしやこのオッサンは…ヒロピン?
ガジス産業オーナーのジダル氏だけどw
あ、ヒロインピンチって逝うのはヒロインが人質や磔になったりすると"萌える"コト。
スーパー戦隊の女子隊員は、夏は水着に、番組後半ではヒロピン要員になるのがお約束←
「大和撫子こすぷれいやーガ無残二敗北スル様子ヲ直ニ見ラレルトハ!素晴ラシイ!秋葉原へ来テ良カッタ!」
「でしょ?じゃ彼女も白目をむいて失神したコトだし、ちょっち色々話してもらいましょうか」
「オオ!ワカッタ!何デモ話スカラ、彼女ハコノママ痙攣サセテオケ!」
あ、いちいちカタカナ表記は面倒なので、ココから和文でお願いします。
しかし、ガジス産業オーナーのジダルが"ヒロピン萌え"で助かったな。
「95倍カレーの威力には御満足でしたか?コレでシェフの頭蓋骨にドリルで穴とか開けないでね。あ、未だ用心棒は下げたママでお願いします。僕達は、単なるアキバのヲタクで危害は加えません。では、ロレンさん失踪の件で少し話を」
「初めて聞く名前だ」
「神田川の浚渫現場近くに、よく来ていた人です。彼女は御社の浚渫で何かに気づき…誰かに消された疑いがある」
「知らない女だ。それに弊社の浚渫は、環境への影響もない」
「去年ニューデリーで、御社はガンジス川に架かる橋の崩落事故をやらかしてますね」
「ココは秋葉原だぞ。そんなヘマは許されない」
「インド人よりアキバのヲタクの命を大事にスルと?」
「大事にスルのは"日本円"だ。そもそも先進国は、規制も訴訟も多いから用心してる。例の浚渫を行う前も、弊社が費用を負担して建設局が検査を行った。砂の採取は伝えてあったし、検査報告では環境に影響は無いと出てた」
ココで"激辛対決"に敗北、失神KO負けを喫した"昌平橋"が覚醒し薄く目を開けるw
「…ウソょ。建設局にそんな報告書はなかったわ…」
「おおっ!汝、私に敗北せし若きコスプレイヤー"セーラー昌平橋"殿ょ。ソレは貴女の見落としだ。是非貴女のメアドを教えて欲しい。顧問弁護士から報告書や関係書類を送らせよう…花とカードを添えて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜、御屋敷で騒いでいたら激辛失神クィーンの"セーラー昌平橋"から連絡がアル。
「やぁ。ジダルの弁護士から何か届いた?」
「ハイ。"マハラジャカレー"でみなさんとお別れしてから、直ぐ届きました…花とカードもw」
「それで?」
「確かに、浚渫の申請に併せて"砂"採取の許可も出てました」
「偽造じゃナイの?」
「本物に見えるけど明日、建設局で聞いてみます。で、早速私の情報源に書類を見せたら、ひと目見るなり、この申請を通した検査官は大バカか、聖橋を崩落させる気か、どちらかだと」
「ええっ?聖橋?何で聖橋が出て来るの?しかも…崩落ってw」
「誰かが気の長いテロを仕掛けてるとか?とりあえず、現時点では検査官を脅したのは、ジダルの部下にホボ間違いナイと思います。ココらで、そろそろ、後は万世橋にお任せかな、って思ってますけど」
「そうだね。でも、せっかくジダルの推しになったンだから、もう一押ししてみる?今、何処にいるの?」
「神田川です」
「この真夜中に?何で?」
「私の情報源が…」
「え?消臭源?」
「ハイ。お約束のツッコミありがとうございます。"情報源"がデータを見た途端、実地調査をしたいと言い出して」
「重金属とか出たのかな?ジダルが"サンドマフィア"だとすると、川底から砂を吸い上げてルンじゃないか?」
「"砂"ですか?」
「うん。"砂"は、地上で最も需要の高い資源の1つナンだ。用途は広い。コンクリに洗剤、シリコン、チップ。だが、アジアを中心に急速に都市化が進む中、砂の量には限りがあるから、業者は常に採取場所を探してる」
「そんなコトで人が殺されるのですか?」
「インドでは何百人とね。その連中が、都市建設に適した河川の砂を求め、秋葉原に上陸した形跡がある。ガジス産業は、その尖兵カモしれない」
「なるほど!しかし、早く対処しないと、更に大勢が死ぬ可能性があります」
「えっ?なぜ?」
「どうやら、神田川の川床から大量の砂が持ち去られた結果、聖橋の支柱が不安定になっているらしいのです。聖橋は…崩落寸前です!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"セーラー昌平橋"の"情報源"は、神経質そうなオバさんの技官だ。アラフォー未婚。
「聖橋付近で採った水だけど、石灰石の含有量が特に多いの。なぜ石灰石が重要か?聖橋の支柱の原料だからょ。含有量の多さは水文地質学的には柱の浸食を意味スル」
「待った。問題は"砂"じゃナイの?」
「砂の採取で柱が侵食されてる。川の東岸から大量の砂が吸い上げられ土手が削られた。それで川幅が広がり、より多くの水が勢いよく流れ込むようになった。ソコで止めてれば、今、コンな話はしない。でも、ガジス産業は欲を出し、さらに、川底からも砂を吸い上げ始めた。その結果、重金属の数値が跳ね上がってる。つまり、砂が地中深くの重金属を封じ込めてたワケね。その砂が取り除かれれば、重金属が水に染み出す。その間にも、柱を支えていた砂は消え、水流は止めどなく勢いを増す。そして、柱が重力に負けた時、聖橋は…崩落します」
第4章 今宵、昌平橋の上で
さて、今回も終盤になりドタバタと色んなピースが揃ってきたが…未だ死体が残ってるw
御屋敷は議論百出←
「頭蓋骨にドリルの穴が5つもある。ネットに流れてる"サンドマフィア"の現地の動画と同じだ」
「となると…やはり"サンドマフィア"日本支部長のジダルの犯行なのかな?ってかそもそも、あの死体は誰なの?」
「ガジス産業に超特急で浚渫許可を出した担当官だと思ふ。"サンドマフィア"と結託したつもりが、口封じで殺されたンだ」
「ソレ、違う。ってか何か、そう思わせようとスル誰かの意図を感じルンだょな」
「誰かって誰?」
「確かに、ジダルは稀に見るクズだけど、その担当官は殺してナイと思うな」
「だとすると、他に"サンドマフィア"をハメた奴がいる?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
次の日の昼下がり。
僕は、ミユリさん(私服w)と昌平橋の上で人待ち顔で神田川の川面を眺めてる。
神田の方から、中央線の高架をくぐり男女が歩いて来る。ジダルと"昌平橋"。
あれ?セーラー戦士のコスプレだ?!
「あっ?ミユリ姉様、コスプレは?」
「えっ?何のコト?」
「ジダル!話が違うわっ!」
"セーラー昌平橋"が、怒りの視線をジダルに向ける。
"サンドマフィア"日本支部長がたちまち縮み上がる。
やや?完全に尻に敷かれてる?
「テ、テリィたん!ミユリさんにコスプレするよう言ってくれ!た、頼む!今すぐだっ!」
「え?何だょ?何も聞いてナイけど、頼むなら頼んでみるけど、コスプレの準備して来てナイし…」
「ワ、ワケは話す!頼む!」
何が何だかわからないが、約1時間後、昌平橋に"ムーンライトセレナーダー"が出現…
…したが、ミユリさんはカンカンだ笑
「何で私が真昼間からコスプレをしなきゃイケナイのですかっ!防犯カメラにも映るし、まるで電波な展開ですっ!」
「あーん。ミユリ姉様、素敵ですぅ。萌え萌えにゃ」
「ありがと、テリィたん!借りが出来た!何でも話す!"サンドマフィア"の血の掟に誓う!」
どーゆー展開なのかイマイチわからないが、チャンスだ!
ミユリさんの犠牲?を無駄にしないためにも単刀直入で!
「頭蓋骨にドリルで5つ穴の開いた水死体だけど、アレやったのはジダル?」
「違う」
「"サンドマフィア"と同じ手口なのに、なぜジダルじゃないの?」
「牛への愛だ」
「えっ?」
「"激辛対決"をやったカレーレストランだが、ヴィシュヌ派の祭壇があったのを覚えてるか?"サンドマフィア"は、敬虔なヒンズー教の1派で、牛を神聖視してる。だから、私も手下も、革靴や皮ベルトをつけないし、ビーフの入らないスパイスのカレーしか食べない」
「おいおい。頭蓋骨に5つ穴が開いたのは、牛じゃなくて人だゼ?」
「あの女は、実は死ぬ前に手首を縛られてた。革ベルトでな。ヴィシュヌ派なら、触れるコトも出来ないベルトだ。我々なら、手首はロープや縄で縛る。ソレに、見せしめ以外の死体が世間の目に触れるコトなど、絶対にあり得ない」
おぉ。話は一気に核心を突く。こりゃコッチも数少ない切り札を早めに切っとくに限る。
「御社の弁護士から届いた書類では、ガジス産業は、確かに砂採取の認可を取ってた。だが、書類のサインが失踪した担当官のモノとは明らかに違ってたょクスクス」
"サンドマフィア"が気色ばむ。
「我々が偽造したと?」
「まさか。だとしたら、これほど派手に殺したりしないょね」
「ほほぅ。我々が偽造も殺しもやってナイと思うのか?では、一体誰が?」
「ソイツは、御社の浚渫が聖橋に影響しないと思わせたがってる誰かだ」
すると、ジダルは少し驚いた顔をしてから、感心したように僕を見詰める。
鋭い推理に感動した…のかと思えど、彼の顔にヤニワに驚愕の色が広がるw
その視線に気づき、僕も慌てて振り返ると…やや?コレは何だ?
コスプレしたミユリさんと"昌平橋"が少し離れ話し込んでる。
スーパーヒロインの井戸端会議?
聞き耳を立てると、何とミユリさんは"スーパーヒロインの心構え"を語り"昌平橋"はしおらしく頷いては…ん?メモを取ってるw
すると、その様子を見たジダルの細い目にドバッと涙が溢れ出し、続いて泣き笑いの喜色満面で僕をハグ…あぁ!やめろ!コロナがw
「ありがと、ありがと!テリィたん、コレからも私に敗北した"セーラー昌平橋"をよろしく導いてくれ!頼む!」
「え?あ、うん」
「OK!さぁココから先は、全部"もしかしたら"の"例えば"の話だっ!オーライ?」
「…オ、オーライ」
「じゃ今からスル話は、全部"例えば"の話だ。仮に建設局に、コレまでの数々の罪を隠すコトに躍起になってた担当官がいた、とスル」
「コレまでの数々の罪?」
「ソレは"例えば"コンクリート会社から、賄賂のキックバックを受け取ってたとか」
「賄賂だって?」
「だ・か・ら!テリィたん、あくまで"例えば"だょ。"もしかしたら"の話だ。さっき言ったろ?」
「あ、そうだった。"例えば"だた」
「OK!ソイツが、回り回ってウチの浚渫の申請を調べる内に、ガジス産業が"サンドマフィア"の隠れ蓑だと気づく。ソレだけじゃなく、浚渫が続けば、聖橋が崩れるだろうコトにもな。すると、奴は誰から頼まれたワケでもナイのに書類を偽造し、浚渫しても聖橋は安全だと見せかけた」
「え?なぜ?」
「大方、聖橋復興工事の巨大利権に目が眩んだのだろう。そして、聖橋が危険と気づき、局に警告しに来た女のコトを…"例えば"殺した。ソレも我々"サンドマフィア"の手口に似せてな。疑いが自分に向かないよう偽装工作をしたワケだ」
「そりゃ…"例えば"ヒドい話だ。で、濡れ衣を着せられた君達は?」
「もちろん、借りは返した。ところで、我々は、未だアジアのあらゆる川底から砂をサンプリングし比較分析をしてる段階だ。もちろん、神田川の砂も貴重なサンプルとなっている。その意味で、我々は偵察部隊で、この後、本隊が来日するのか、他の国へ行くのか未定だ。だから、この段階で、伝統ある聖橋の崩落とかで注目を集めるようなコトは、極力避けたいと考えている」
「そりゃそうだ」
「だから"例えば"例の浚渫はサンプリングに留めて、後は丁寧に埋め戻してる。ただ、その後の川底を"海底ルンバ"が掘り返すので、少し大人しくするよう脅かした。従って、聖橋は安全だ」
「"例えば"ありがと。砂のマフィア。で、キックバックに熱心な技官は?」
「"例えば"いなくなった」
「アキバから?」
「この世から」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて。
"サンドマフィア"の話を何処まで信用するかだが、とりあえずピースは出揃って、今回もジグソーパズルの全体の絵が見えて来る。
あ、とか逝いながら1つ忘れてたのが"セーラー昌平橋"が実はMYTUBERだった件w
つまり、彼女は動画をUPしては再生回数と登録者数を競い広告収入を稼ぐプロなんだ。
コレがバレたのは、彼女が役者の使い回しをやっていたからだ。
"セーラー昌平橋"関係動画のかなりの数に同じ役者が出てるw
時に「町の悪人」として、時に「助けを求める町の人」として。
中には"女装"と思われる動画も数本あったから気をつけようw
オンラインのバックアップにメイキング動画が上がってるが、大変なコトになってるw
呆れるを通過し大笑いスルしかナイ。彼女はヒロインと逝うよりエンターテイナーだ。
"セーラー昌平橋"ご本人の弁。
「コレは、単なるリスク回避です。あのミユリ姉様も"コスプレ×プロレス"でなさってるコトだし」
女子がヒロインへの憧れよりも、実家からの独立を選ぶ思春期をアキバで過ごすと、こうなると逝う見本カモ。良い子はマネするなw
しかし、そんな彼女も"サンドマフィア"の男をTOに持つ立派なスーパーヒロインだ。
彼のハートを射止めた"激辛対決"での失神KOはソレだけ迫真の演技だったワケだね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昌平橋の上で、僕とジダルの話は、とっくに終わってしまったのだが、ミユリさん達の話は、終わる隙さえ見せズに盛り上がってるw
だから、僕達は欄干に寄りかかり、愛すべきスーパーヒロイン達の髪を、川面を吹く風が揺らすのを、何故か幸せな気分で見ている。
「僕達のヒロインは話が長いな」
「…テリィたん。あの女、何処で見つけた?」
「もちろん、アキバさ」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"サンドマフィア"をネタに、同マフィア日本切り込み隊長、彼に推される失神ヒロイン、スタートアップをドロップアウトしたエンジニア達、神田川に権益を有する建設局の官僚達などが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、インバウンドが消え、代わりにテレワーク中?のマスクの日本人ばかりが目立つ秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。