まるで…壊れた家族は戻らないって代弁だね
「……」
私は床に落ちたゲーム機を拾い、電源ボタンを押すが…最悪の予想通り画面は真っ暗なまま。
何度も何度も押しても…真っ暗のままで起動音すらしない。
「ぅ…」
涙が零れた。
「うぅ……」
これは…最後の楽しい誕生日の思い出だった……あの時既にパパは不倫してたけど私もママも知らなかった。
大きなケーキとオードブルを囲んで家族三人で祝った私の14歳の誕生日。
「カノン、開けてみなさい」
パパがくれた紙袋の中に入っていたのはDSとRPGツクールDS。私がずっと欲しがっていたものだ。
嬉しくて嬉しくて…誕生祝いが終わった後、毎日やっていた。
自分が作ったゲームを何度もクリアして、飽きてもずっとやって手直ししてた。
それから間もなくだった。パパとママは離婚した。
パパは新しい女との生活の為、毎月20万で私をママに押しつけた。
悲しかった……。でも、もっと悲しかったのは、その時既にママに彼氏がいたこと。二人して…裏切ってたんだ。
両親が離婚したこともあって私は名字が母親の白鳥になった。
学校で友達に何か言われるのが嫌だった…いじめられるのが嫌だった……「白鳥カノン」って呼ばれるのが嫌だった!!
「まるで…壊れた家族は戻らないって代弁だね」
壊れたゲーム機も、私が作った幸せな楽しい物語も返ってこない。
「はぁ……」
もう一度だけ、スイッチを押す。