貴族の身体に触る事は許されていない
「…あの、私何かまずい事しました?」
ノワールの部屋を出てからさっきお茶をした部屋に戻るまで、ニードは無言だった。
パタンッ
扉が閉まり、ニードが椅子に座ると小さく溜め息を吐いた。
「すいません。言っていませんでしたね…目下の者が貴族の身体に触る事は許されていないのです」
「えっ…」
何それ…私はただ、落ちている羽根を拾おうとしただけなのに。
「じゃあ、ノワールが私に触ったら?」
「……その時は、貴女はノワール様の愛を受け取る時です」
「それって……」
嫌な予感がする。
「はい…ノワール様に抱かれる、という事です」
「…えぇっ?!」
そ、そ、それって……Hするって事?!
「あり得ないよ」
「……そうですね、普通の貴族ならば。
でも、ノワール様はフランツ様と奴隷の女との間に生まれた方。
貴族の女性に嫌煙されていますし、貴女のように精霊王に祝福された方ならば…」
「え、奴隷の女性って……?」
ニードはしまったというような顔をする。
「ノワール様は…最下級民の女性を母に持つお方。
フランツ様の正妻がジャンヌ様をお産みになってすぐに亡くなられ、その乳母を務めた方がノワール様の母君なのです」