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ノワールと薬
ニードについて行き、再びノワールの部屋に来た私。
ゴホッ、ゴホッ
部屋の中から喘息みたいな咳が聞こえる。
「ノワール様、薬をお持ちしました」
ノックしてからそう言うとニードは部屋に入る。
「……っ、お前…」
苦しそうに目を潤ませながらこちらを睨むノワール。
「あの…大丈夫?」
咳き込むたびにノワールの背の黒い翼から羽根が落ちる。
「ゲホ…心配ない。いつもの発作だ…」
ニードから薬湯を受け取り、一気に飲み干すノワール。飲んだコップをニードに押し付け、そのままバタンとベッドに寝転ぶ。
「……」
床に落ちた羽根を拾おうと手を伸ばすとそれを素早くニードが掴む。
「えっ…」
無言でニードはそのまま手を引いて私を立たせ、ノワールに一礼してから部屋を出た。