13/111
私は奴隷です
「ノワール様の姉君で、我がシルヴァスター家の正統後継者です」
あのノワールのお姉さんなんだ…ちょっと怖そう。
「ニードさんは?」
「私は…このシルヴァスター家に仕える奴隷です。ニード・ベクターと申します」
奴隷って?
「奴隷なのにいい服着ているじゃない。全然奴隷には見えないよ?」
「そうです…ね。フランツ様もジャンヌ様も私を奴隷扱いはせず、一人のヒトとして扱って下さいます」
「じゃあ執事なんだ」
さしずめ、家事もこなせるおぼっちゃまのお守みたいな?
「ははっ、そうですね。
おっと…ついお話が楽しくて時間を忘れていました。私は少し用事があるので此処でお待ちいただけますか?」
「何の用事ですか?」
「ノワール様の薬のお時間なのです」
あんなに元気そうなのに。どっか悪いのかな?
「私も一緒に行ってもいい?」
「えぇ。構いませんよ」
どういうわけか…ニードは私の事を信用してくれたみたいだ。