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命石ってなんだっけ?
(ノワール…)
すると瞼の向こうに白い光に包まれ、膝を抱えて宙に浮かぶノワールの姿が映った。
(カノン…)
そのノワールの幻影から一本の光の筋が私へ目掛けて伸びて来る。
「…ぁ」
思わず瞼を開けるとその光の筋の方にノワールがいた。いつの間にか礼拝堂の席に移動し、座っていたのだ。
「俺が何処にいたか分かっただろう?
命石はこういう使い方が出来るんだ」
「凄いねこれ。でも…命石ってなんだっけ?」
聞いたような聞いていないような。よく覚えていない。
「卵のかけらです。へその緒と胎盤が繋がった卵の殻の部分で、ガルーダは皆命石を大切にしているんです」
フランツは懐からもう1つペンダントを取り出す。それはノワールが私に渡した物と同じ蒼だった。
「……それは…」
「ノワール。お前の命石です。
私はいつも、お前もジャンヌもこの命石のおかげでお前達が無事であるのを確認していた」