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もしもの時は使って下さい
「待ちなさい。
ジャンヌの屋敷に行くならニードも連れて行くといいでしょう」
「ニードを?」
フランツの提案に思わず聞き返す。
「何やら良くない気配がします。
ですが。くれぐれも目立つ行動は控えて下さい。もし何かあれば僧兵を呼んで対処した方がいいかもしれません」
そう言ってフランツは懐からペンダントを取り出す。
「これはジャンヌの命石です。もしもの時は使って下さい」
彼の手に乗っているペンダントは弱弱しい白い光を放っている。
「使うって…どうやって?」
ノワールがそれを受け取るのを見ながら聞くと
「本人の近くにいってこの石に呼びかければ生きている限り共鳴し、意識がない時も起こす事が出来る」
ノワールが答えながら首にかかっているチェーンの1つを外し、私に渡す。
「これは?」
まるで空の蒼のように美しく透き通るような蒼の水晶。
「俺の命石だ。握りながら目を閉じ、心の中で俺を呼んでみてくれ」
言われたとおりに私はノワールの命石を握り、目を閉じた。