ヴァルカーンに性別はないよ
翌日、ノワールと一緒にアルビレオに乗って私達は大聖堂のある最上層区へと飛んだ。
(ノワールって…手出すの早いね)
なんとか仲直りしたのにまたアルビレオはノワールに軽口を叩く。
「うるさい。好きな人と結ばれて何が悪い」
真後ろで好きな人って言われて嬉しいやら恥ずかしいやらで私は下を向く。
「あ…そういえばアルビレオって、好きなコとか彼女とかいないの?」
「カノン、ヴァルカーンに性別はないよ」
「えっ?!そうなの?!」
いつも僕と言うのでてっきりアルビレオは男の子だと思っていた。
(好きなコかぁ…ノワールとカノンかな。あとシオンもリーラも優しくて好きだな)
「あれ?ジャンヌは?」
(ジャンヌはおっかないから微妙)
アルビレオのそれに私とノワールは思わず噴き出した。
「ジャンヌっておっかないの?」
「あぁ。昔アルビレオが言う事あまりにも聞かなくてな。俺が姉さんに相談したら姉さん…アルビレオに説教しにいったんだ。言葉も通じないのに」
その光景を想像するとちょっと笑えた。おっきなアルビレオを見上げて説教するジャンヌ…かわいいかもっ。
(もうすぐ着くよ。此処からはノワールと一緒に飛んで行ってね)
「え?アルビレオが上まで送ってくれるんじゃないの?」