ホント失礼な奴だな
ノワールが服を脱いで戻って来るとやっぱりその逞しい体に目が行く。
「お待たせ」
「うん…待ってた」
かけ湯をしてゆっくりと湯船に入るとノワールは私の横に来て座った。
「……」
綺麗な肌には傷1つない。じっと見ていると
「此所においで」
と彼の太ももを差された。
「うん」
言われた通りにノワールに背を向けて彼の太ももの上に座る。
「さっきの奴、ホント失礼な奴だな」
「うん…」
ノワールが怒ってくれたから私は安心して此処にいられる。
「本当に嫌なや…ひゃっ?!」
「こうして繋がるのは君だけだよ」
「ノワール…」
きゅっと中を締めながら彼の胸に頭を預けた。
「カノン」
優しく耳元で囁かれる私の名前。くすぐったくて、甘い…。
「結婚式、落ち着いたらすぐしような」
「うんっ」
一瞬嬉しくなったけど、落ち着いたらっていう言葉に引っ掛かるものがあった。
「そういえばジャンヌ…大丈夫かな?」
ミチコを怒らせたことにより同じ苗字を持つあの男がジャンヌに何かするのではないかと不安になる。
「姉さんに直接手を出すような事はないと思う」
一応教皇の娘なんだし、と笑うけど…心配だよ。
「明日の朝、大聖堂に行こう。ジャンヌに必ず会えるよ」