パパに効果はバツグンだ!
最初は警戒していたが、今では彼も「ナゾちゃん」として家族の一員として溶け込んでいる。
娘は最初からあまり気にしていなかったし、僕もまぁ、彼の勇者時代の話を聞くのは面白いし、息子ができたと思えば受け入れられた。
実際に種の頃から娘に呼ばれて度々成長の過程を見てきたのも、息子ができた様なものだとすんなり受け入れるきっかけになったのかもしれない。あまり思い出したくないが。
ママは一番最後まで悩んでいたけど、娘や僕の説得で認めてくれた。
「ほら、ここまで育てたのは僕らだし?ほら、息子が増えたと思えばさ?」
「うぅ、けど種が人になるなんて思わないじゃない…」
そう言われると言葉に詰まる。
最終的に娘が「もうまましらない! やっ!」っと半泣きになって庭に去っていったのが決定打だった。
その晩、めったに酒を飲まない妻が「だって、だって絶対可笑しいよ、なんで種が人になるの? しかも異世界の勇者だよ? なんでそんなすんなり受け入れられるのよぉ……けどあきちゃんに嫌われたくないぃい!」と泣きながらやけ酒しているのに「ほら、ナゾくんイケメンじやん?」とふざけて言ってみたら「私にとってはあなたの方が格好いいわよぉ…」と若干拗ねた表情で返された。
ありがとうナゾくん。確か『本当は怖い花言葉』って本読んでたよね。今度、新しい図鑑を買ってあげよう。
あと勇者なのは受け入れるんだねママ。
散々飲んで「息子が一人増えただけ、息子が一人増えただけ…わけわかんないけどあきちゃんに嫌われるよりはまし」と呟きながら寝てしまった。布団に運ぶ途中も、うなされたように「息子が増えただけ…」と呻いていた。がんばれママ。
次の日、ナゾくんについてのことは娘と仲直りできたけど「おさけのにおいする! や!」とあきちゃんに避けられてママは泣きながら「やっぱりお酒嫌い…」と二日酔いで痛む頭を押さえていた。頑張れママ。ママ頑張れ。