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萌える選択肢


 午前中散々な目にあった。

どこに行っても付きまとって来るし、弁当は持ってこないっているから学食に行く羽目になるし。

なんで、俺がおごらないとダメなんだよ。


 しかも、廊下を歩くたびに腕に絡んできやがって。

おかげさまで目立ちまくりじゃないか!


 でも、そろそろ昼休みも終わる。

俺の至福の時間、屋上で本を読む時間だけは心が安らぐ。

なんとか銀髪を巻いて、一人で屋上に侵入!

ふぅー、いい天気だな!


「あのぉー、鳴神君?」


 うるさいのが来た。どうして見つかった?

屋上は鍵がかかっているはずなのに。


「どうやってここが?」


「そのネックレス。私には位置がわかるんですよ」


 なんてこったい。猫に付けた鈴じゃないか。

こんなもの外してしまおう。


「これ、返すよ。と言うか、これって発信機か?」


 さっき変な空間に飛ばされたときに、こいつを先に渡されていた。

これって何なんだ?


「これはモエルギ―の結晶体を埋め込んだ物。ほら、トップが剣の形をしているでしょ?」


 さっき貰ったネックレス。確かにトップには剣のモチーフが付いている。


「何で剣なんだ?」


「あら、鳴神さんは自分がモエルギ―を具現化した時の事覚えてないのかしら?」


 確かあの時は、頭に着いたリボンを手に取ったら、何となく剣ができるような気がした。


「もしかして、このトップがモエルギ―と反応して剣ができたのか?」


「ご名答。これが無いとまだ貴方だけの力では具現化できないはず。もっと鍛錬しないと」


「と言うと、これが無くても剣はできるのか?」


「いずれは」


 うーん、剣は欲しい。

でも、個人的には銃の方が好きなんだよな。


「なぁ、剣以外って無いのか?」


「あるけど? 何がいいの?」


 とりあえず要望を伝えてみる。

ネックレスのトップに付けるモチーフは多種多様。

弓矢とか薙刀っぽいのとかメリケンサックにクナイ? 何だか色々あるな。

主に武器の形をしているけど、何となくかっこいいのがむかつくな。


「じゃ、これで良いかしら?」


 手渡されたのはガンブレード。

モードチェンジでガンにもブレードにもなるらしい。


「いいな。何か主人公っぽくて良い」


 初めにもらった剣を返し、新しいガンブレードをネックレスの先に付ける。

ふふん、早く使ってみたいなー……。


「ちがぁぁぁう! 違うよ! 俺何してるんだよ!」


「急に大声出して、どうしたの?」


「何で俺が戦うんだよ! 別に俺じゃなくてもいいだろ!」


 そもそも、なんで俺の所に来たんだ?

他の所に行ってほしいんだけど!


「あなたじゃないと無理よ」


「なんでだよ」


「あなたほどのモエルギ―を持った人がいないのよ」


「は?」


「あなた、普段から妄想しまくりでしょ? あんな事やこんなことまで」


 お、思い当たる節はあるけど、そこまでじゃないよ!

健全な高校生程度ですよ!


「チョイ待て。俺は普通だぞ?」


 何だか呆れた顔で俺を見てくる。

何だかそのかをむかつくな。効果音で『ははぁーん』とか聞こえてきそうだ。


「では説明しますね。今から二つの選択肢を出します。どっちがより萌えるかお答えください」


「それでわかるのか?」


「第一問」


 無視かい!


「ポニーテールとツインテールなら?」


「どっちも」


「第二問。ボインと貧素なら?」


「どっちも」


「第三問。太ももとうなじでは?」


「そそる」


「第四問。チャイナ服とナース服では?」


「グッとくる」


「第五問。尻尾と猫耳では?」


「両方ともモフモフ」


 ニヤニヤしているシープラ。

俺の答えは変なのか?


「流石ですね。普通はどっちかと言ったら答えは一つ。つまりあなたには、萌えない要素がない。オールラウンダーなのです!」


「な、なんだってぇぇぇぇ!」


 どういうことだ? 全く分からん!

俺の理解力が足りないのか?


「これは素晴らしい事ですよ! しかも高純度! ぷっはぁー! うまいはずだぜ!」


 江戸っ子のようになったな。

何だそれは?


「もっとわかりやすく言ってくれ」


「あんたバカなの?」


 無言でシープラの首を絞める。


「ス、ストップ! 嘘です嘘。ごめんなさい」


「早くしろ。昼休み終わるだろ」


「えっとですね。人はそれぞれ萌える部分が異なります。ですが、鳴神さんの場合はすべての萌え要素に対して萌える事ができるんです。メガネでも、セーラーでも、スク水でも」


 俺は変態か!


「それは違うぞ。実際に妹には萌えないし、制服にも萌えない」


「ふふん、それはリアルだからですよ。鳴神さんの妄想の世界では、ガンガンに萌えているはずです」


 そ、そうなのか?

確かにそんなシーンはラノベでもゲームでもアニメでもあるけどさ。


――キーンコーンカーンコーン


 どぁぁぁ! 昼休み終わったぁ!


「い、急ぐぞ!」


「あぁん、待ってくださぁい!」


「その言葉使いやめろ!」


「いえっさー!」


 こうして、何だか訳の分からないままネックレスのトップだけが変わった。

ちょっとかっこいいけど、戦うのは嫌だ。

でも、ガンブレードとか使ってみたいとも思ってしまう。


「はぁはぁはぁ……」


「鳴神」


「ハイ!」


「遅刻二回目。放課後居残りで掃除でもするか?」


「っく……。いえ、でもシープラさんが……」


「シープラ? もう自分の席に座ってるが?」


 ち、ちくしょう!

なんでだ? おかしいじゃないか!

俺よりも後に来たはずなのに!


 あれか? 何か変な器械でも使ったんだろ!


 ◆鳴神 弓◆


「はぁはぁ……。い、息が上がる。やっぱちゃんと走り込みしないとダメだよね」


「弓ちゃぁーん、どこに行ったのかな? こっちかな?」


 放課後になって練習する為、弓道場へ行ったけど誰もいなかった。

おかしいと思ったけど一人で着替えていたら、突然更衣室の扉が開いた。


 誰だろうと思って振り返ったら、そこには主将が。

大声を出したけど、そんな事が無かったかのように、私に向かって歩いて向かってきた。


 急いで服を直して、何とか更衣室からは抜け出したけど、なんなの?

ついに頭でも狂ったのかしら?

早く部活を終わらせて、凛ちゃんに電話しようと思っていたのに。


 主将は袴姿の私をなめまわすように見てきて、今までで一番気持ち悪い目つきだった。

何とか逃げ出したけど、追いかけてくる。


 早く逃げないと。

誰か、誰かに助けを。


 こっちは全力で走っているのに、主将は涼しい顔で追いかけてくる。

何か速さがおかしい。しかも、目つきが変だ。


 何か変なものでも飲んでいるの?

恐い。すごく怖い。


 お兄ちゃん!

助けて! 私はここだよ!



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