ネックレスゲットだぜ!
◆鳴神 翼◆
目の前で凛とシープラが百合ってる。
それを生暖かいめで眺めている俺と弓。
「り、凛さぁん、そこはダメですぅ」
「いいから出しなさいよ、持ってるんでしょ?」
「あっ、ありますけど、そんなにぃ、乱暴な事しないでくださぁぃ」
凛はシープラのスカートや制服の内側などかなりの勢いでまさぐっている。
あ、シャツのボタンとか取らなくていいんじゃ?
どう見てその下には無いと思いますが……。
「あった! これねっ! 翼君、これで良いのよね!」
無理やり奪ったネックレス。
確かにあっているけど、それって俺が今朝付けていたお古だぞ?
「り、凛さん……。こ、こんな事は、もっと夜になってからお願いしますぅ」
息が乱れ、服も乱れているシープラが頬を紅潮させながら凛に訴えている。
「ねぇ、これってどうやって使うの?」
聞いちゃいねー。
凛ってこんな性格だっけ? もっとおしとやかで、静かなイメージがあったんだけど。
もしかしたら距離を置いていた期間にに何かあったのかもしれないな。
俺は、性格の変わった幼馴染を生暖かい目で見守り、使い方の説明をどうするか悩み始める。
やっぱり、シープラに丸投げするのが一番だな。
◆御剣 凛◆
この機会を逃したら、絶対に仲間に入れてもらえない。
翼君も弓ちゃんも、このシープラさんと何かすでに関わり合いを持っている。
私だけのけ者なんて絶対に嫌だ!
今朝のようなちょっと怖い事があるかもしれないけど、翼君と一緒に何かできるんだったら本望よ!
さっきの話だと、ネックレスがあれば何とかなるらしいわね。
もし、私がシープラさんに「欲しい」と言って、断られたらそこで道は絶たれてしまう。
……本望じゃないけど強制的にもらうしかない。
「私にも下さい。ネックレス、まだあるんですよね!」
シープラさんのポケットに手を突っ込んでみる。
「あんっ、そんな所、責めないでくださいよ。もぅ、積極的なんだからぁ」
無い。ポケットには入れてないのか。
だったら胸のポケットに入れてるのかしら?
えいっ!
「り、凛さぁん、そこはダメですぅ」
「いいから出しなさいよ、持ってるんでしょ?」
ん? 思ったより大きい。
私と同じか、それ以上! それに柔らかい。
そして、腰回りも文句のつけようがない。
シープラさんは敵だ。
この容姿にスタイル。反則だよ!
絶対に私の方が不利だよ。
が、頑張るしかない!
一緒に行動して、長年の付き合いをダシにもっと翼君に近づかないと奪われちゃう。
でも、それを前面に出しちゃダメ。
おしとやかに、清楚に。言葉使いにも注意しなくっちゃ。
「あっ、ありますけど、そんなにぃ、乱暴な事しないでくださぁぃ」
シープラさんも球体が付いたネックレスしてるわね。
これも翼君とお揃いなのかしら?
ちょっと指で触っていると、私の指先が球体に吸い込まれ、そして指二本が視界から消える。
へ? な、何で指が消えるのよ! 目の錯覚かしら?
でも指先に何か触れている感覚はある。
摘まんで引っ張ってみると、一本のネックレスが取り出せた。
な、なにこれ?
そ、そんな事よりネックレスゲットだぜ!
多分これのことよね?
「あった! これねっ! 翼君、これで良いのよね!」
半ば無理矢理かもしれないけど、きっとこれで仲間になれるはず。
「り、凛さん……。こ、こんな事は、もっと夜になってからお願いしますぅ」
あ、シープラさんの服が乱れたままだ。
それに、ちょっと息切れしてるわね。ま、いいか。
そのうち回復するでしょう。
「ねぇ、これってどうやって使うの?」
翼君、私もきっと何かの役に立つよ!
その熱い眼差しで、これからも私の事を見ていてねっ!




