過去に来た理由
◆鳴神 翼◆
「話せる範囲で良ければお話ししましょう。」
「あぁ、それでいいよ」
「では、第一問! ちゃぁーらんっ!」
一気に場がお笑いっぽくなる。
さっきまでシリアスな流れだったのに。
「鳴神さんの萌える要素はなんでしょうか!」
「ピンポーン!」
「はいっ! 弓さん!」
「銀髪碧眼の年が近い女の子で、話し方がおしとやか系!」
「正解!」
弓とシープラがハイタッチをしている。
隣の凛は何だか悔しそうだ。
「第二問! ちゃぁーらんっ!」
「鳴神さんの萌える服装は!」
「ピンポーン!」
「はいっ! 凛さん!」
「ミニプリーツスカートに黒ニーハイ。絶対領域が必須!」
「正解!」
おいおい、なんで知っているんだよ。
隣で弓が悔しがっている。
そして、凛はしてやったりの顔を弓に向けている。
「第三問! ちゃぁーらんっ!」
「鳴神さんの一番感じる所は!」
「ちょっと待てー! なんだその質問は!」
「ぶっぶー! 鳴神さん不正解です!」
「「ピンポーン!」」
「はい、弓さんと凛さん!」
「「耳とおへそ!」」
「正解です!」
のぅぁぁぁぁぁ! なんで知ってるんだ!
絶対におかしいだろ!
「もう、良いです。で、俺がなんなんだ?」
「まだわからないのですか?」
「わかるかぁ!」
「モエルギ―を発見し、モエルギ―を結晶化させる技術の論文を書いたのは鳴神翼さんです」
「その三問で、その答えが出るはず、ないだろぉぉ!」
「お兄ちゃん、すごいね! 論文だって!」
「翼君、未来ではすごい事をしているのね」
「私が過去に来た理由! それはあなたと世界を救う為よ!」
「スケールがでかいなー」
何だか他人事のように聞こえてきた。
スケールがでっかすぎて良くわからない。
「未来で萌え体の反乱が始まったの。萌え人狩りよ。そして、あなたのモエルギ―を狙って刺客が未来から送り込まれてくるわ」
「ちょいまち。なんで俺が狙われるんだ?」
「未来の萌え人の萌え値は一般的に十あればいい方よ。あなたの最高萌え値は軽く十万を超えるの」
「十万! なんだそりゃ!」
「未来で頑張ってモエルギ―を集めるより、あなた一人から集めた方がはるかに効率的なのよ」
「ちなみに、弓と凛は?」
「凛さんは分からないわね。弓ちゃんは多分八十位かな?」
「何か微妙! 弓はもっとすごいはずだよ! なんでそんなに低いのさ! さっきだってお兄ちゃんと一緒に主将に一撃くらわし――」
「おいっ! 凛の前で余計な事を――」
「翼君? 弓ちゃん? そのあたりの事、もっと詳しく聞かせてもらえないかな? 私だけ仲間外れはひどいよね?」
そうですね! 仲間外れ、良くない!
――
「――と言う事がありまして、俺の体が多少痛いんです。ここまでオーケーですか?」
何だか眉間にしわを寄せて考えている。
やっぱり、話をしない方が良かったかな?
「私にも下さい。ネックレス、まだあるんですよね!」
凛がシープラのポケットに手を突っ込み、何か取り出そうとしてる。
「あんっ、そんな所、責めないでくださいよ。もぅ、積極的なんだからぁ」
頬を赤くしながらシープラはなよなよしている。
見ているこっちが恥ずかしい。




