98. 刀鍛冶
前回のお話
エルフの里に到着。
子供に刀自慢をしてたら大ダメージを受けた。ありのまま(ry
優剛の昨夜はお楽しみでした。
真人を寝かしつけた後に窓の外を眺めていた。森の木々から漏れ出る照明の光が、非常に幻想的で綺麗だったのだ。
食堂に放置したラグナイドを忘れて、優剛は外の景色をボーっと眺めた後に就寝した。しかし、目覚めは突然やってくる。魔王の子が起きたのだ。
「ごふぅ。」
「父さん、起きてー。お腹空いたー。」
魔王の子は魔王の腹に飛び乗って魔王の頭を揺らしていた。魔王は半開きの目で腹に乗った子供を見て口を開く。
「顔洗ってご飯食べに行こうか・・・。」
「うん!」
真人も優剛の開発した生活魔術を使いこなしている。水玉を作ってそこに顔を突っ込む。手も突っ込んでゴシゴシ顔を洗って、水玉から顔を引っこ抜く。
部屋に置いてあったタオルの上で水玉を消す。
魔力で作られた物質は魔力が無くなると消えてなくなる。ただし、事象はそのままである。魔術の水で洗った汚れは、顔から落ちて水に付着する。汚れた魔術の水が消えれば、残るのは汚れだけである。
汚れが床や空気中に拡散しないようにタオルなどで覆うか、土の中に突っ込んでから解除するのが、優剛の生活魔術である。
優剛は起き上がって外出用の着物に着替えて、クルクルと腰紐の上から帯を腰に巻いていく。同時に顔は洗濯機のように水流が発生している水の中でジャバジャバ洗われている。
帯を巻き終えた頃に水玉はフヨフヨ飛んでいって真人と同じように、タオルで汚れを閉じ込めるようにして水玉が解除される。
「行こっか。」
「うん!」
40秒で支度が終わる。それも顔を洗って、寝癖まで直して40秒だ。魔力のある世界に感謝である。
食堂にやってきた優剛たちを待っていたのは、昨夜からずっとそこに居たのかと思わせるラグナイドだ。
「おはようさん。」
「おはようラグさん。」
「おはよーござい、ます!」
昨夜と同じ椅子に座った優剛が口を開く。
「ずっとここに居たの?」
「アホか。ちゃんと帰って寝たわ。」
「だよね。同じとこに座ってたからさ・・・。」
「まぁ、昨日は驚いてもーたからな。もう大丈夫やで。」
ニッと笑顔を作る美青年のおっさんエルフは輝いていた。
(くっ。おっさんエルフが眩しい。)
朝食の終わった優剛たちは早速ラグナイドに連れ出されていた。
「こっちや。こっちやでマコト。」
「うん!刀!刀!」
真人のテンションは高い。異世界に来てからずっと欲しかった武器が手に入るのだ。優剛の心配など露知らず、嬉々とした表情でラグナイドの横を歩いている。
(命を奪う道具って事をわかってんのかな?)
深刻に考える優剛。喜ぶ真人。子供に武器を渡す事に何の躊躇いも無い現地人のラグナイド。
「ラグさん、子供でも武器って持つの?」
「結界の外に出るなら持つで。当たり前やん。」
「さいですか・・・」
優剛、撃沈である。
しばらく歩き続けてカンカン何かを叩く音が響く場所にやってくる。そこからさらに歩くこと数十分。
1つの建物の前でラグナイドが振り返る。
「ここや!俺の専属がおる鍛冶屋やで。」
そう言ったラグナイドは木で作られた建物の中に入っていく。
「おぉ・・・。」
「すごーい!たくさんあるね!」
中には刀を鞘に入れた状態で何本も置かれていた。抜き放たれた刀と鞘が並んで置いてあるものも見られる。
「オヤジー。ちょっと出て来てくれー。」
ラグナイドは店の奥に向かって気軽な感じで店主を呼び出しているのだろう。何度も「オヤジー」と連呼している。
奥から出てきたのは優剛が想像するような強面で寡黙な頑固親父ではなかった。
「はい、はい。ラグナさん、用件は何ですか?」
ラグナイドにも負けないキラキラ美青年エルフが出てきたのだ。物腰も柔らかく、言葉使いも丁寧。優剛の鍛冶師のイメージをぶち壊すには十分であった。
(全然オヤジじゃないぞ!)
「刀や!この子に刀を・・・作る?買う?よーわからんわ。」
「それじゃわからないですよ。この子ですか?」
苦笑しながらも美青年鍛冶師は真人に視線を移して、目線も合わせる為に腰を落とす。
「はい!真人です。こんにちは。」
「はい。こんにちは。私はマティーです。よろしくね。」
マティーは真人をジッと見つめた後に口を開く。
「手を見せてくれるかな?」
真人はバッと両手を広げてマティーに見せる。
「ふふ。元気が良いね。」
言葉とは裏腹に真人の両手を見るマティーの表情は鋭い。ジッと見つめた後に口を開く。
「剣を始めてどれくらいかな?」
「んー、・・・2年くらい?」
曖昧な真人の返事を聞いてマティーは後ろに立つ父親だと思われる優剛に視線を向ける。真人が剣を使うようになったのは異世界に来てからだ。優剛は真人の答えを肯定する為に黙って頷く。
真人が2年間、剣を振っていたにしては、マメも無ければタコも無い。非常に真人の手は綺麗だった。マティーは頷く優剛を見て可能性を2つに絞る。
1つは遊びで剣を振っている道楽。もう1つは、魔装を使いこなしてから剣を振り始めた異端児。どちらなのかはパッと見ただけでは判断が出来ない。
「うーん。どの程度の実力があるか見ても良いかな?」
「うん!良いよ!」
「じゃあ外に行こうか。」
マティーは店内の隅にあった木刀を持って外に出る。外に出たマティーは真人に声をかける。
「マコト君、私が相手をするよ。鍛冶師も刀は使えるから、遠慮しないでええからね。」
マティーは木刀を正眼に構えて真人の攻撃を待つ。真人は腰に着けた小さな革袋から2本の木剣を引っ張り出して構える。
それを見ていたラグナイドが呟く。
「あ・・・、そういう設定やったな。」
ラグナイドは思考する。真人が身に着けている小さな革袋は本当にただの革袋である。魔法袋のような使い方をしているが、昨夜見た異空間魔術を隠すために使用している小道具である。
ラグナイドが思考を終えて大きく息を吐き出した。そして、吸い込んだ空気をもう1度大きく息を吐き出している。目の前の状況が信じられないのだ。
「嘘やろ?」
当然、優剛も戦闘の様子は見ていた。
(真人TUEEEEEEEEEEE)
正眼に構えたマティーの首に真人の木剣が突き付けられている。マティーは開始の状態から動いていなかった。いや、動けなかった。
真人が魔装を纏ったところで、その美麗な魔装と濃度に圧倒されて、慌てて魔装を纏ったが遅かった。
「ごめんね。今度は本気でやるから、もう1度お願い出来るかな?」
「うん。良いよ!」
今度は始めから戦闘時の魔装を纏った状態で、マティーは真人の攻撃に備える。
右手を振って合図する無邪気な真人に油断しそうになるが、直前の醜態がマティーの緊張感を刺激して油断は微塵もない。
「ぐ!」
マティーは突然動き出した真人の右の袈裟斬りを両手で正眼に構えていた木刀で受けるが、その斬撃の重さに呻き声が漏れる。受け流す事には成功したが、左の木剣がマティーの身体を貫くように鋭い突きが襲う。
マティーは回避の為に後ろに跳ぶが、それを予想していた真人はマティーが下がるよりも素早い動きで、あっさりマティーの足の付け根辺りを木剣で突いた。
突かれた箇所が痛むのか、マティーは片膝を地面に着いて唖然とした表情で真人を見る。
(真人TUEEEEEEEE)
親馬鹿再びである。
優剛は真人に心の中で称賛する。褒め称える。しかし、相手を傷つけて喜びを爆発させる訳にもいかない。優剛は右手を胸の高さで構えて真人を迎える。
真人は優剛の構えを見て嬉しそうに駆け寄りハイタッチする。
「はは・・・。ラグナさんより強いんじゃないですか?」
「あかん。近接限定やったら正直しんどいで。」
驚くエルフを放置して、真人は徐々に高くなる優剛の手に向かってハイタッチを繰り返す。遂に優剛が真っ直ぐと上に手を伸ばしても、真人は跳びあがってハイタッチを成功させる。魔術による身体能力強化の賜物である。
ハイタッチを終えた優剛と真人にマティーが近づいて口を開く。
「お父様ですよね。ご挨拶が遅れました。鍛冶師のマティーです。」
「こちらこそ挨拶もせずにすいませんでした。優剛です。」
「マコト君の刀ですが、ミスリル以上の金属が必要になります。それ以下では彼の魔力に耐える事は出来ないでしょう。」
(はっはっは!褒めろ!褒め称えろ!真人は凄いだろう!)
優剛は真剣な表情で喜びを爆発させる。優剛が真剣な表情をしている時は碌な事を考えていない時だ。
優剛は喜びを押し殺して口を開く。
「今ある刀で真人が使える刀は無い。そういう事ですか?」
「いえ、あるにはあります。しかし、彼はこれからまだまだ大きくなる。今は脇差くらいの長さがちょうどええと思いますが、出来れば彼に合った長さの刀を毎年作りたいですね。」
優剛は悩む。引きこもりの優剛が毎年ここに来るのは面倒だと思っている。しかし、真人の為でもある。
「うーん。毎年ここに来るのか・・・。」
「ええやん!1年に1回と言わず、もっと来たらええやん!」
「ラグナさん、落ち着いて。1年に1振りの総ミスリルの刀を作る。それも使用後は中途半端な長さの刀だ。再利用は出来ない。この意味がわかりますよね?」
騒がしかったラグナイドが急に静かになった。
「あかん。贅沢過ぎや・・・。」
「お金って事?」
「それだけやないで。ミスリルは貴重でなかなか手に入らん。金で買えない年があるかもしれん。」
優剛の異空間には岩石サイズのミスリルがある。オリハルコンも余っている。素材を提供するのは簡単だが、半日でここまで来れるくせに、毎年来るのが面倒なのである。
「ちょっとトイレ行きたいな。」
「店の奥を左に行って下さい。突き当りがトイレです。」
「ありがとうございます。真人、ちょっと行ってくるね。」
「はーい。」
優剛はトイレに駆け込んで電話を使う。
「ダメさーん、ダメさーん。」
しばらくして、ダメリオンから返答がある。
『何っスか?』
「刀って作れる?」
『・・・魔力の篭っていない金属なら作った事はあるっス。』
「ミスリルで。」
ダメリオンは少し沈黙した後に口を開く。
『出来ると思うっス。』
「帰ったら真人に1振り作って欲しい。」
『良いっスけど、今どこっスか?』
『エルフの里ムーヒリット。』
『ぶっ!本場じゃないっスか。そこで作った方が良いっスよ。』
「真人の成長に合わせて毎年作った方が良いって言われてるの。作るのは良いんだけど、ここまで来るのが面倒だし、僕がホイホイ素材を出したらどう思うよ。ここは専属の職人さんに頼るのが良いと思ったんだよ。」
『むぐぐ。』
ダメリオンは専属の職人さんという言葉にやられている。
「別に失敗しても良いよ。ミスリルなら岩単位で持ってるし、何回でも作ったら良いじゃん。」
『ぐぬぬ。魅力的な提案のはずが、俺を甘やかす悪魔の誘いにも聞こえるっス。』
武器防具、道具の製作でミスリルの素材を使って失敗したら、謝って済む問題ではない。本来であれば緊張とプレッシャーに耐えながら刀を打って、若干納得がいかなくても納品するしかない。しかし、優剛の提案は失敗し放題である。失敗したその先にある納得の1振りを製作する事が出来る。
『受けるっス。その依頼は俺が受けたいっス!』
「あざぁーっす。帰ったらミスリル持って行くね。」
『待つっス。1振りはそっちで何とか都合して欲しいっス。本場に負けない刀を打てなきゃ意味が無いっス。』
「はーい。最低1振りね。了解。じゃねー。」
優剛はトイレから出て外に戻る。
外ではラグナイドとマティーが会話をしていた。ミスリルを確保する方法を模索しているようだ。
「おーユーゴ、腹でも痛いんか?」
「んー、ちょっとね。」
ナチュラル嘘つき優剛である。嘘つき優剛は口を開く。
「とりあえず1振りで良いです。来年はまたその時に考えますよ。」
「えー。ボク2本欲しいー。」
「うーん。2本あればね。」
『ダメさんが作ってくれるって。内緒だよ。』
優剛の魔力通信を受けた真人は、不満で膨らんでいた頬がすぐに萎んで、満面の笑みに変わっている。しかし、最後に優剛はウィンクしながら内緒と言った事で、ニマニマするだけで必死に隠そうとしている。
マティーは残念そうにしながらも店内に案内して、少し待つように言った。そして、店の奥から1振りの脇差を持ってきた。
「こちらは総ミスリルの脇差です。マコト君の魔力にも十分耐えられる1振りで、大きさも許容範囲だと思います。」
「ありがとうございます。真人、ちょっと持ってみて。」
真人が刀を鞘から抜いてゆっくり振る。非常に嬉しそうなのが印象的だ。
「問題はもう1振りですね。お渡ししたのは総ミスリル製では最後の1振りです。残っているのは刃がミスリルの刀ですね。」
(刃文タイプじゃん。そっちの方がカッコイイじゃん。)
「何か問題ありますか?」
「マコト君の全力の魔力で纏うと、峰で何度か叩きつけたら破損します。」
「うーん。子供だし、そんなに使う機会もないでしょうから大丈夫じゃないですかね。」
楽観的な優剛は問題ないとしているが、マティーが納得していない。
「出来れば専用で1振り打ちたいですね・・・。しかし、ミスリルが・・・。マコト君に影打ちを使わせるのは勿体ない・・・。」
優剛は納得していないマティーを無視して告げる。
「今、真人が持っている刀と、刃がミスリルの刀でお願いします。」
「・・・仕方ないですね。そこに飾ってある脇差です。」
真人はしっかり話を聞いていたのか、マティーが示す刀を肉食獣のように獲物を狙う目で見る。
「はは、そうですよ。あそこの刀だよ。」
肯定するマティーを見た真人がダダっと駆け出して、指定された刀も同時に持って両手で刀を持つ。二刀流である。
(おぉ、二刀流は憧れる・・・。)
優剛の羨ましそうな視線を受けているが、真人は少し不満そうである。そんな表情に気づいた優剛が真人に声をかける。
「どした?」
「んー。ちょっと持ち難い。」
それを聞いたマティーがすぐに口を開く。
「それは調整するから大丈夫だよ。さっきマコト君の手は見たしね。」
「おぉ・・・。見ただけなのに凄いですね。」
「はは、ある程度の職人なら誰でも出来ますよ。明日もう1度来て下さい。それまでに調整しておきます。」
「はい。よろしくお願いします。代金は・・・。」
マティーが代金を伝えようとした時にラグナイドが割り込んできた。
「待てや!俺が払うで!」
「駄目だよ。僕が払うからラグさんは黙っててよ。」
「お近づきの印や!」
「絶対高いし駄目。」
「あかん!優剛に救われた兵たちの報酬も払ってへん。」
「人間からも獣人からも貰ってないよ。それに戦時中だからノーカンだよ。」
ギャーギャー騒ぎだした優剛とラグナイドを無視して、マティーは真人から刀を受け取っていた。
「今のマコト君が使いやすいようにするから少し待ってて下さいね。」
「はい!お願いします!」
ペコリと頭を下げる真人にマティーは微笑む。そして、優剛とラグナイドに向けて告げる。
「代金は明日頂ければ良いので、それまでに決めておいて下さい。」
「おぉよ!俺が払うで!」
「駄目だって。僕の子供の武器なんだから。」
「ミスリルの武器やで?金は持っとるんか?」
「これでも結構稼いでるんですー。」
「毎年やで?今年は俺に任しときって。」
再び騒がしくなった店内に1人の軽鎧姿のエルフ駆け込んできた。
「ラグナイドさん!良かった!いつもの鍛冶屋に居てくれた・・・。」
「なんやねん。予定は伝えてあったやろ?」
エルフは荒い呼吸を繰り返しながら告げる。
「ハァハァ。ドラゴンです。ドラゴンが出ました!」
「なんやて!?」
(よし、逃げよう。)
大きな声で告げるエルフの声は優剛にも届いている。エルフが慌てるドラゴンと聞いて、早速逃げの構えだ。しかし、ドラゴンという単語は魔王の子の興味を大いに刺激してしまう。
「父さん!ボク、ドラゴン見たい!」
「いや・・・駄目でしょ・・・。」
「見たーーい!」
優剛が真人の説得を始めるのと同時に、ラグナイドも駆け込んできたエルフに質問を繰り返す。
「ドラゴンの大きさと種類は。」
「グリーンドラゴンで15m級との報告です。」
「目撃したのは何処や?」
「20㎞以上北西に行ったところです。ハンターが偶然見たそうです。」
ラグナイドは必要な情報が揃ったのだろう。騒がしい優剛と真人に振り返って口を開く。
「ユーゴ、すまんな。ちょっと野暮用や。」
しかし、優剛と真人にラグナイドの言葉は届かない。
「だからドラゴンは危ないでしょ。」
「いやだー。ハルは危なくないもん!」
「ハルと違って大きいんだって。あいつは猫みたいなもんだよ。こっちのはギャオォォォ!だよ。きっとハルみたいに優しく『にゃー』って鳴かないよ。」
再びラグナイドが口を開きかけた時に真人がラグナイドに駆け寄る。
「ラグさん!ドラゴンって危ないの!?」
「危ないで。犠牲者が出る事もある。みんなで協力して撃退するんや。」
「むぅぅぅ!ボクも手伝うから一緒に行く!」
ラグナイドは真人の言葉を聞いて悩みだす。真人の実力の一端は先ほどの立ち合いで垣間見えた。高い身体能力と双剣術は十分に戦力として計算出来る。むしろ自分の横に並び立つ事が出来る有数の実力者であると評価する。
そんな悩みだしたラグナイドに慌てて優剛が告げる。
「待て待て!何を悩むの!?子供!真人は子供だよ!」
「ボクは戦士だぁ!!」
(おぃぃ!影響受けてんぞ!ティセルセラァァァァアアアア!!)
優剛は憤怒の念を王都に居るやんちゃ代表のティセ姉さまに飛ばす。その僅かな隙にラグナイドが口を開く。
「ユーゴも一緒ならええで。」
(どうしてそうなった!?)
真人は嬉しそうにラグナイドに告げる。
「それなら大丈夫。」
「何が・・・?」
余りに堂々と宣言する真人に優剛が疑問を告げたが、真人は優剛に振り返って口を開く。
「父さんは行くもん。」
「いや・・・、ドラゴンだよ?怖いじゃん。行く訳ないじゃん・・・。」
「お母さんに電話するぅぅ!」
「言いつけても駄目だから!麻実もさすがにドラゴンは駄目って言うからね!」
興奮状態の2人は他の目があるにも関わらず、金属板を腰袋から取り出して麻実に連絡を始める。
腰袋を使えたのは異空間魔術を秘密にしなさい。というトーリアやヒロ、レミニスターたちの熱心な教えの賜物である。しかし、電話の件をヒロやレミニスターは知らない。
田中家の歯止め役であるヒロもレミニスターが知らなければ、秘密にしろと教える事も出来ない。トーリアだけでは暴走した彼らを止める事は出来ないのだ。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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