97. エルフの国に到着
前回のお話
密入国者や!ひでぶぅ!
あ・・・魔王様、こちらです。
1時間ほど歩いたところでエルフたちは横に曲がった。優剛は進行方向と平行に続いている結界のような膜が遠くに見えている。
(結界?城壁とかじゃなくて結界で街を守ってるのかな?)
ムーフリットの王城を覆っていた結界によく似た結界が見えているのだ。城だけじゃなく、広い範囲を覆うエルフの結界に優剛は上を見上げて驚いている。
そのまま少し歩き続けて、一同は街道のような場所に出た。街道と行っても巨大な樹が左右に並び立っていて、上を見上げれば巨大な樹の枝葉で覆われている。
「ここを真っ直ぐ行けばムーヒリットですわ。」
「結界に向かうんですね。」
「え?見えてはるんですか?」
「はい。見えてますよ。」
エルフたちは乾いた笑い声をあげるだけで、それ以上は何も言わなかった。しかし、それぞれが呟く。
「さすが魔王様や。」「魔王を連れて行って大丈夫なんかな・・・。」「やっぱり神やん。」
優剛の目には綺麗に割れた巨大な門のような結界が、枝葉の隙間から街道の奥に見えていた。
「ねぇ、父さん、結界ってどうやったら見えるの?」
エルフたちは真人の質問に心の中で、それだ!それが聞きたいのだ!という思いを爆発させる。
「ん?目に魔力を集中したら見えるよ。」
エルフたちは『お前は集中してへんやんけ!』というツッコミを内心で告げる。しかし、魔王にツッコミを入れる勇気は無い。
「ホントだ!凄いね!大きなシャボン玉みたいだね!」
エルフたちはチラっと真人を確認して納得の表情を浮かべるが、次に優剛もチラっと見て困惑の表情に変わる。
真人の魔力は見えている。綺麗な魔装と目の周りにある濃い魔力が見えている。そんなに強い魔力じゃなくても見えるという事を告げたいが、優剛が魔力を纏っていない事で真人の事が忘れ去られてしまう。
「ユーゴ様、今も見えてはるんですか?」
「見えてますよ。」
「どうや・・・。」
エルフが魔力を使わずに結界を見る方法を優剛に尋ねかけた時に、真人に殴られて意識を失っていたエルフが呻き声をあげて意識を取り戻した。
「ぐ・・・ここは・・・?」
「おぉ!もうすぐ街やで。」
「俺はガキに殴られて・・・。そうや!あんガキはどうなったんやぁぁ後ろにおるやんけ!!」
慌てるエルフに別のエルフが諫めるように声をかける。
「待てや!こん人はユーゴ様や!俺らの勘違いや!・・・ん?勘違いか?」
「こんガキがユーゴ様!?ちゃうで!ユーゴ様は・・・。お?兄さん・・・お名前は?」
意識を失っていたエルフは目の前に居る真人の次に優剛を見て、目を見開いて優剛に名を尋ねた。
「優剛です。」
「やっぱり神やんけ!マイゴッドやん!」
背負われていたエルフはすぐに背から降りて土下座している。
「先程は気付けんですんません。戦の時は俺の腕を繋げてくれた事、えろう感謝しております。」
「あの時の事は良いんです。立って下さい。むしろ息子がぶん殴ってすみませんでした。」
「神に気づかんかった俺が悪いんです。」
優剛が困ったように何度も土下座するエルフを立つように促して、ようやく立ち上がったエルフは口を開く。
「この人はユーゴ様や。斬り飛ばされた俺の腕を繋げてくれた神様やぞ!」
「アホ!それを早く言わんかい!殺されたかと思うたぞ!」
「ん?・・・まさか・・・。」
震えるエルフは腕を回して、身体の異常を確認してから優剛に尋ねる。
「覚えてるで・・・。俺の腕はバッキバキに折れたはず・・・。それだけやない。」
「治しときました・・・。」
「うおぉぉぉ!神や!」
優剛の答えを聞いて再び土下座するエルフ。優剛にしてみたら息子が勘違いで、殴り飛ばした相手の治療である。殴られる前よりも綺麗に治療した。全力で全身の治療をした。
「すいません。息子にはよく言っておきますので、土下座は止めて下さい。」
「神に対する無礼や。殺されてても文句は言えんです。神の子は正しいですわ。」
その後も土下座を続けたエルフは、仲間たちに促されてようやく立ち上げる。決め手は『ユーゴ様を街に案内している途中』であった。
優剛は恐縮しながら歩みを進める。しかし、真人の事は怒れない。危険な異世界ではちょっとした油断で命を落とす。本当に悪い奴らであったら真人の行動は正しい。
その結果、次はよく確認してからぶっ飛ばそうという謎な結論を真人に告げるしかなかった。
街に入る列が見えてきたところで1人のエルフが前方に駆け出した。
「先触れに行かせました。ユーゴ様を待たせるなんて出来ません。」
「はい・・・。ありがとうございます。」
優剛たちは長い列を横目に列の先頭まで歩みを進める。先頭では荷物や許可証の確認をしている。検品等をしていたエルフが、優剛の事を聞いて胡散臭い者を見るような目付きで優剛を見る。
それとは対照的に腰を直角に曲げて頭を下げる別のエルフも居る。
優剛にとっては2泊3日の短い戦であったが、優剛の名前はエルフの国でも有名になっていた。戦に参加したエルフからは魔王のような畏怖と、神のような回復魔術という極端な印象であるが、戦に参加しなかったエルフには到底信じられる内容ではない為、優剛を見る目にも遠慮がない。
優剛は猫背でペコペコ頭を下げながら結界の中に入っていく。
「ユーゴ様、ここがエルフの国でもっとも大きなエルフの里です。ようこそ、ムーヒリットへ。」
優剛は恐縮するように頭をペコペコ下げるだけであるが、運が良い事にエルフの国で最大の街に到着したようだ。西に行って山を越えたら南西。トーリアの指示通りである。
優剛はトーリアに感謝を捧げつつ歩みを進めていると、エルフの1人が口を開く。
「兵舎と宿のどちらで待機して頂けはりますか?」
「お勧めの宿でお願いします。」
優剛が結界を抜けてからは案内のエルフは2人に減っていた。1人は兵舎に報告。1人はラグナイド・オーリンに報告する為だ。
結界の中に入っても景色はそれほど変わらない。少し木が減った森のままだ。しかし、進むにつれて様子が変わってくる。
初めのうちは巨大な樹を囲むように無数の家が建てられていたが、奥に行けば樹の上にも建物があるのだ。また、樹と樹を繋げている廊下のような物が巨大な樹を貫いているのが確認出来る。
優剛はそんな家を見渡した後に口を開く。
「樹の中に家?住んでるんですか?」
「そうです。大きな樹の中をくり抜いて補強して、中が住めるようになってるんです。」
これは上から見ただけでは見つからない訳である。家は森の樹と一体になっている様式である。
近くまで来れば結界でエルフの街がある事を示すが、遠くからでは結界は薄い膜の為に確認するのは困難である。
(樹ってこんなにデカくなるん・・・?くり抜いたのに葉っぱがあるのはなんでなん・・・。くり抜いたのに死なないの?)
優剛と真人は口を半開きにしてキョロキョロと、頭上の建物を見上げながら、宿に案内するエルフの後ろを歩く。完全にド田舎から大都会に来た田舎者の様相である。
「こちらです。」
案内されたのは巨大な樹をくり抜いて作られたであろう宿だ。
「ここは部屋も広く、飯もごっつ美味いんですわ。少々高いですが、待っとって下さい。」
案内のエルフの1人が優剛と真人を置いて宿に入っていく。少々遅れて優剛と真人もくり抜かれた樹の中に入る。
「神やで神!神が泊まるんや!もう少し負けてもええんちゃうか?」
「これが限界ですって。堪忍して下さいよ。これで駄目なら他を当たって下さい。」
「帰ってくれ。それを言われてからが本番やで。」
既に恐ろしい値引き交渉が始まっていた。
優剛は足早に困っている宿屋の主のような美青年エルフに告げる。
「その価格で十分です。ありがとうございます。」
「ユーゴ様、俺はまだ負けてまへんで。」
「勝ち負けじゃないから。もう大丈夫ですから。」
優剛は再び値引き交渉しようとするエルフを宿屋の主から引き剥がす。引き剥がされたエルフは不満そうな表情だが、大人しく引き下がった。
宿屋の主が溜息を吐き出してから優剛に告げる。
「はぁー。おおきにな。・・・ん?よく見たら人間やん。」
「どうも。」
「ほぉー、少し訛っとるけど、兄さんのエルフ語は上手いもんやで。」
朝夜の食事付きで部屋を確保する事が出来た。食事をしなくても料金は変わらない。この点に案内してくれたエルフは噛みついたが、優剛が諫めて言われた宿代を1週間分支払った。
優剛には相場がわからず、高いのか安いのかわからない。しかし、値引き交渉後の価格である。優剛は安いと思って支払いを終えたが、案内のエルフは高い高いと連呼して不満そうであった。
部屋の前まで来た優剛たちに案内してくれたエルフが告げる。
「俺らは部屋の前に居ます。」
「入っても良いですよ。」
「・・・あー、では1人だけ入ります。ユーゴ様は一応、監視対象やから・・・。」
「逃げる理由が無いんですけど・・・。」
部屋に入った優剛と真人から感嘆の声が漏れる。
「おぉ・・・。広くて綺麗だ。」
「わーい。」
ベッドでピョンピョン跳ねる真人と、部屋を見回ってから窓の外を眺める優剛。見知らぬエルフが一緒に部屋に入ってきたが、2人は気にする事もなく自由である。
紅茶を飲んだり、備え付けの果実水を魔術で冷やして飲んだり、とにかく2人は部屋の中でリラックスして過ごした。
「日も暮れてきたしご飯食べよっか。」
「うん!下だよね。」
「そうそう。1階の横に食堂があったね。」
気分は上々。2人は弾む足取りで食堂の椅子に腰かける。優剛は近くで立ったままのエルフに声をかける。
「2人も座って下さい。」
「いえ、俺らは・・・。」
「すいませーん。4人分お願いしまーす。」
優剛の声に食事を運んでいる女性のエルフが「はーい」という返事をした。何故か宿泊者向けの注文が通ったのだ。
「ほらほら、4人分OKみたいですよ。」
2人のエルフは困ったような表情のまま椅子に座る。
「神やん・・・。」「魔王は神だった・・・。」
2人の呟きは優剛に届かない。優剛と真人は楽しそうに会話しながらエルフの宿を楽しんでいる。
「・・・お肉だ。」
「おいしー!」
(この世界のエルフは肉を食べるぞ!)
ゲームや漫画では様々なエルフが存在している。この世界のエルフがどんなエルフなのか、優剛は周りのエルフを見ながら1つ1つ確認している。
食事も終わり。優剛は同じテーブルで食べるエルフや、食堂に集まっているエルフの観察も終えて総括に入っている。
(エルフ。ちょっと耳の先端が尖ってるだけの細い人間です。あ、若作りの秘密はなんだろ。)
優剛がエルフの若い見た目について尋ねようとした時に、食堂に1人のエルフが駆け込んできた。そのエルフは食堂を見渡して優剛を見つけると、嬉しそうに口を開いた。
「ユーゴ!ようやっと来たか!」
「ラグさーん、こっちだよー。」
優剛はラグナイドに手を振って自分たちの席に来るように促した。
椅子に座ったラグナイドが口を開く。
「兄ちゃんら、ご苦労さん。ユーゴは俺の友人や。許可証持っとらん理由はよくわからんが、俺が面倒見るさかい堪忍してや。」
食事が終わっていた2人のエルフは立ち上がって敬礼した後に食堂を出て行った。出て行く際には優剛に食事の感謝を述べていた。
「んで、ちっこいのはユーゴの子供か?」
「うん。真人、ご挨拶。」
「真人です。こんばんは。」
優剛に促された真人は自分の名前を告げてペコリと頭を下げる。
「おぉ、挨拶出来て偉いやん。俺はラグナイドや。よろしゅうな。」
「うん。よろしくね。」
ラグナイドは「うんうん」頷いた後に違和感を抱く。そして、その違和感は口から漏れだす。
「・・・ん?マコトもエルフ語・・・話してへんか?」
「うん。ボクも日本語出来るよ。」
ラグナイドは真人を見つめた後に優剛に視線を移して、そのまま固定される。不思議に思った優剛が首を傾げて短く告げる。
「・・・何?」
「何やあらへんよ・・・。こんなちっさい人間がエルフ語を話してるんやで?」
「だから言ったじゃん。僕らはこの言葉が第一言語なの。」
「はぁー。異世界人にはエルフ語が通じるんやな。」
感心するようなラグナイドに優剛が告げる。
「ちょっと待って。僕らの居た世界は世界中で違う言語だからね。この世界みたいに魔道具で共通言語を学んじゃうような事は出来ないよ。あくまで僕たちが住んでた地域が偶々エルフ語と似た言語だったってだけだから。」
ラグナイドは首を傾げて口を開く。
「よーわからんわ。」
「うん。僕もわからん。」
「ボクもー!」
思考を放棄した3人は会話を楽しんだ。真人も久しぶりに家族以外に通じる日本語を楽しんでいるようだ。
「今日は日も暮れてもうたから明日案内したるな。期待しててや。」
「あー、・・・うん。」
「・・・ユーゴは刀に興味ないんやったな。」
しかし、ここには日本男児がもう1人居た。しかも異世界に来てから双剣術を学んだ過激な日本男児だ。
「刀!?」
日本男児はキラキラした瞳でラグナイドを見つめている。
「おん?マコトは刀が好きなんか?」
「うん!」
「むっふっふっふ。明日は刀鍛冶のところに連れってたるでー!」
「やったー!」
優剛とのギャップに気分が乗ってきたラグナイドは、腰の魔法袋から刀を取り出した。
「見てみぃ!これが刀や!」
「うわー!すごーい!カッコイイ!」
「せやろ。せやろ?どうやユーゴ!これが普通の反応や!」
優剛は無表情で口を開く。
「ワー。カッコイイー。」
「馬鹿にしてんちゃうか?」
棒読みの優剛の感想に気分を害されたラグナイドが優剛を軽く睨む。しかし、続く真人の言葉に再び機嫌が良くなっていく。
「ラグさん、カッコイイ刀がもっと見たいよ。」
「なぁにぃ?・・・思う存分見てええで。ナッハッハッハ。」
7歳児に刀を渡すラグナイド。優剛は真人が怪我をしないように見つめ続ける。真人は刀を少し鞘から抜いて鍔に近い位置の刃を見つめている。
(あれ?・・・刃文が無い。)
刀の形状は鞘の形から日本刀と同じである。柄も似た作りになっているが、日本刀の美しさの象徴とも言える刃部分の波模様がラグナイドの刀には無かった。
「ねぇ、ラグさん。なんで刃文ないの?単一金属で作ってるの?」
ラグナイドは優剛の質問に驚く。そして、目を見開いて優剛に尋ねる。
「・・・刀の作り方も知っとるんか?」
「詳しい作り方は知らないよ。だけど、刃文が出る理由は知ってる。」
ラグナイドは小さく息を吐き出してから優剛の質問に答える。
「この刀は総ミスリルや。魔力を使って使う事が前提の刀やから、刃を別の金属にする必要が無い。」
「なるほどね。じゃあ刃をオリハルコンにしたら切れ味良さそうだね。」
「確かにそういう刀はあるな。合金にするか、刃だけに使うかは難しい問題やけどな。」
優剛が「ふーん」と納得したような表情で、自分の持っているオリハルコンでダメリオンに刀でも作らせるか?と軽く考えている優剛に真人が告げる。
「父さん!刀が欲しい!」
「ん?良いよ。・・・・・・・・・・・・・・・え?ま。」
「やったぁぁぁぁああああああああああ!!」
狂喜乱舞とはこの事である。ラグナイドの刀はテーブルに置かれて、その周りを儀式でもするかのように踊る真人。
優剛、痛恨の『良いよ』である。
ここまで喜んでいる真人に今更駄目とは言えない。ここは相談するしかない。麻実に駄目だと言って貰うしかない。
「麻実!麻実さん!真人が刀欲しいって!」
ラグナイドの目など関係ない。直接手に出現した金属板を耳に当てて優剛は口を開いた。
少しして麻実の声が優剛の頭に響く。
『え?良いんじゃない?ずっと剣も欲しがってたし。刀なら反対側って切れないんでしょ?ちょうど良いじゃない。峰打ち?だっけ。時代劇でよく見たわよ。』
「ぉぉぉ」と呟いて固まる優剛に恐る恐る真人が尋ねる。優剛の様子を見て麻実の答えが駄目だという事を予想しているのだ。
「お母さん・・・なんだって・・・?」
「・・・良いって。」
「やったぁぁぁぁあああああ!お母さんありがとう!!」
『はい、はい。聞こえた聞こえた。優剛、ちゃんとエルフの国を楽しんで来るのよ。じゃあ切るわね。』
再び踊り出した真人を無視してラグナイドが口を開く。
「ユーゴ・・・、その金属板はなんだ・・・。それにどこから出て来た?」
「え?あ・・・。」
見つめ合う優剛とラグナイド。踊る真人。暫しの沈黙を経て優剛が口を開く。
「内緒に出来る・・・?」
「まだあるんかい!もうなんでも来いや!」
半ば自棄になったラグナイドが優剛に告げると、優剛は小さな声で告げる。
「僕、異空間魔術が使えるの。」
「はぁ?・・・はぁ!?」
「うっさい!秘密にしとけって言われてるんだよ。」
ラグナイドは素早く左右に首を振って、周囲を確認してから口を開く。
「kwsk」
ラグナイドの『詳しく』の質問は声にならないほど小さく弱い。自分が想定している異空間魔術なら、物語で魔人が使っていた夢物語の魔術の1つである。
「魔法袋の袋が無い感じ。」
「・・・魔人やろ。もう魔人でええんちゃう?」
「ボクも使えるよー。」
絶妙なタイミングで入ってきた真人に優剛は救われる。物語の中で異空間魔術を使っているのは魔人だけだ。真人も使える事で、優剛が魔人説は少し弱くなるのだ。
「・・・見してくれるか?」
「良いよー。あれ?良いよね?」
異空間魔術は秘密。ギリギリで思い出した真人が優剛に確認する。優剛は黙って頷いた事で、2本の木剣がテーブルに置かれた状態で突然現れる。
ラグナイドは真人の両手が見えていた。何かを取り出す仕草もしていなかった。目の前の状況が信じられない。ラグナイドは頭がどうにかなりそうだった。催眠術や超スピードの類ではない。魔装もしていた。万全の体勢で真人の様子を観察していた。
しかし、目の前の状況はテーブルに置かれた2本の木剣を真人がどこかから出した。魔法袋から取り出すという過程を省けば今と同じ状況は作り出せる。1番重要な取り出すという過程を省けば・・・。
たっぷり時間を掛けてラグナイドは2本の木剣を見つめ続けた。真人は無反応に見えるラグナイドを不思議に思って、2本の木剣を異空間に収納した。
ラグナイドの視点では消えたのだ。2本の木剣が消えた。
そこにエルフの英雄の姿は無い。驚いて固まっているただのエルフだ。魔人の魔術を子供が使った。しかも親である優剛も使えるという話だ。
その事実を受け入れた時、ラグナイドの周囲に優剛と真人の姿は無かった。
良い子の寝る時間を過ぎていた。
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