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家族で異世界生活  作者: しゅむ
11/215

11. 魔術

前回のお話

優剛きもっ!

優剛「みんなで魔力の特訓をしたんです!くっ・・・胸が痛い・・・。」

 捕まえたー。の声が庭に響いて優剛の左右には由里と真人が引っ付いていた。

「鬼ごっこ終わりー。」


 既に10分が経過しており、時間通りの終了であったが、優剛が捕まって終わる事で、子供たちは楽しい気分で1時間の訓練が終わりとなった。


「はぁー。結構疲れたわね。」

 麻実も思い切り身体を動かして気分が良いのか、疲れていると言っていても表情は綻んでいる。


「儂はもうダメじゃ・・・。」

 優剛を捕まえる為に全力で突撃を繰り返したヒロは途中からぐったりと庭に寝転んでいた。


「ヒロイース様、そろそろ・・・。」

 そこにヒロに付いていた執事が次の予定に向かう時間だという事を暗に伝えた。


(そうだ、そうだ。ヒロイースって名前だった・・・。)

 会話を聞いていた優剛がヒロのフルネームを思い出した。しかし、すぐに染みついたヒロという日本人のような呼び名で脳内が塗りつぶされていく。


「そうじゃな。あの2人には厳しく説教しないといかんな。」

「2人?あぁ。ごめん。聞いていたつもりじゃないんだ。」

 優剛の2人?という呟きが聞こえたのか、ヒロは優剛に視線を向けたので、優剛は慌てて言い訳をした。


「構わんぞ。2人とはユーゴが助けたあの2人の事じゃ。」

「ん?・・・あぁぁ。ヒロがゴリラから守っていた2人?」


「そうじゃ。あの時、儂の足元に倒れていた2人じゃ。儂らが戦っていた原因があの2人なんじゃよ。」

「へぇー。」

 あまり興味の無い話だったので適当な相槌になってしまったが、ヒロは気にする事は無く説明を始めた。


「あの時、儂らが戦っていたのはグリーンコングと言って、死の森の浅いところで果物や木の葉を食べているが、非常に大人しい魔獣で危害を加えなければ、何も危険は無いのじゃ。」

「あぁ・・・。何かしちゃったんだ・・・。」


「その通りじゃ。監視の為に野営地は死の森の近くに構える必要があったから、危険が無いかの確認の為に、森の浅い部分を調査していた部隊の所属だったのだが・・・。何を考えたのか、子供のグリーンコングを見つけて弓で射ったのじゃ。」


 うへぇと声には出さず、顔を歪める優剛。


「それに怒ったグリーンコングがその部隊を追いかけて来て、森の出口で戦闘になったのじゃ。そこにグリーンコング側も人間側も増援が来て、あの状態になったのじゃ。早々に原因の2人は倒れたのじゃが、放置すれば殺されてしまうからの・・・。見捨てれば部隊の士気にも影響が出るので、逃げるに逃げられん状態で困っておったわ!ガッハッハ!」


「まぁ生きていて良かったよね。お説教よろしくお願いします。」

 任せろ。と言ってから起き上がり、フラフラと歩き始めたヒロはどこかに行ってしまった。


「イコも今日は終わりね。自主練はやり過ぎないようにね。」

「はい!ありがとうございました!」

 言い終わるとイコはメイドと共に屋敷の中に入っていった。


 初々しい返事に優剛の顔が綻ぶ。

(新しく来た若い新社会人とかあんな感じだったなぁ・・・。)


 遠い目で自分たちの部署に来た新社会人に仕事を教えていた事を思い出す優剛。


「優剛、私たちは?」

「僕は魔術の事を誰かに聞きたい。トーリアさんわかりますか?」

 優剛は昨日から抱えている魔力への熱い想いを満たしたかったので、横でずっと見ていたトーリアに魔術の事を尋ねた。


「私が知っているのは本当に基礎部分の事だけですが、よろしいでしょうか。」

「十分です!教えて下さい!」

 直角に腰を曲げて礼をする優剛にオロオロしながら、教えますから止めて下さいと懇願するトーリア。


「ありがとうございます!3人はどうする?聞く?」

「私も聞きたいけど、由里と真人はどうする?」


「魔法?」という由里の問いに「魔法の勉強」と優剛は回答した。

「するー。」元気に回答したのは真人であったが、由里も魔法には興味があったので、4人でトーリアの話を聞く事になった。


「トーリアさん4人で話を聞きたいので、よろしくお願いします。」

「畏まりました。では。屋敷の中でお話を致します。」


 そう言って、屋敷の客間らしき部屋に案内してくれたトーリアさんは4人をソファーに座らせると、水の入ったグラスと紅茶も合わせてテーブルに置いてくれた。


 ありがとうございます。そう言って水を飲み始める麻実と由里と真人。

 疲労感はあるものの、それほど喉は乾いていなかった優剛は紅茶を飲み始めた。


 トーリアは空いている椅子に座って魔術についての説明を始めた。

「では何からご説明を致しましょうか・・・。」


「火の魔術とたくさん物が入る袋が魔術だと思うので、それをきっかけに教えて下さい。」

 優剛は自分が見た火の魔術と袋の見た目以上の容量があった袋を思い出して、トーリアに尋ねた。


「では火の魔術からご説明致します。火の魔術は魔力を使って、火を増やしているのです。」

「増やす?魔力で生み出すのではなくて・・・ですか?」


「はい。魔力は何かを0から生み出す事は出来ません。火の魔術を使用するとすれば、まずは種火が必要になります。種火と魔力を同期させて、魔力を燃料にして火を大きくします。」

 優剛は昨日、焚火を作っていた様子を思い出しながら「うんうん」と軽く首を縦に振った。


「しかし、魔力で作成した火は魔力が無くなると消えます。」

「木や他の物に燃え移った火は消えないと考えて良いですか?」

 優剛は消えると聞いたので、魔力が燃料になっていない火は残るのかと疑問に思って確認した。


「その通りです。消えるのは魔力を燃料にして存在していた火だけです。魔力を燃料にしていない火は消えません。」

「ありがとうございます。わかりました。他に増やせる物や事象はなんですか?」


「生き物以外は基本的になんでも増やせると言われています。水、風、石などですね。しかし、魔力を体外で維持するのはとても困難で、大半の人間は体外での魔力使用に問題を抱えております。それ故に体外での魔力運用に長けた人物は重宝されております。」


「魔力を使って同じ物を作る。さらに元は魔力だから使用者の意思で動かす事も可能。そういう考え方になりますか?」

「その通りでございますが、魔術で作った物を動かせるような使い手は非常に少ないかと思われます。基本的には身体能力の強化に魔力を使うのが一般的です。」


 優剛は「なるほど。」と呟いて少し考え込んだ後に質問した。

「強化っていうのは怪我を治したりする治癒力を強化して、怪我の回復に魔力を使ったりもしますか?」


「はい。可能です。私も医術については詳しく存じ上げておりません。しかし、先程も申しましたが、体外での魔力運用は困難ですので、魔力で治療が出来る医師は貴重でございます。基本的には初期治療のみを行って後は自分で時間をかけて治すのが一般的です。」


「なるほど・・・。みんなは何か質問ある?」

「私は医術に興味あります。具体的な治療方法はわかりますか?」

 麻実が手を挙げながら具体的な治療方法をトーリアに質問した。


「申し訳ございません。私は存じ上げておりません。」

「うーん。残念。だけど、僕はなんとなく想像出来るから、今度1回試してみようか。」

「はぁー・・・やっぱりオタクボッチは違うわね。じゃあ今後教えてね。」

 少し驚いた表情で優剛を見るトーリアに対して、溜息を吐いて呆れた顔で優剛を見る麻実。


「麻実さん!教えて貰う人の態度じゃなくない!?」

「気のせいじゃない?」と言って惚けた麻実。


「え・・・えぇ。では何もご質問が無ければ魔法袋についてご説明致します。」

「「お願いします」」

 声を出したのは優剛と麻実だけで、由里と真人は若干飽きているような表情になってきていた。


「魔法袋は魔人が作ったと言われている古代魔道具の1つで、現在は作成方法が失伝しておりまして、新しく作成される事はありません。魔人が作成した魔法袋は非常に希少で片手で数えられるほどしか現存していないと聞いた事があります。」


「ヒロが持っている魔法袋は魔人が作った袋ですか?」

 優剛は昨日の昼に目撃した魔法袋について質問した。


「ヒロイース様の物。というわけではなく、フィールド家に代々受け継がれている魔法袋で、魔人が作った魔法袋を参考にして古代人が作った模倣品でございますが、大変貴重な魔道具なのは変わりありません。」


「凄い物を持っているんですね・・・。あとで直接触ったり、物を出し入れしたりは出来ますか?」

 優剛は実際に物の出し入れや、袋の入り口がどうなっているのか?様々な興味が沸き上がってきて爆発しそうであった。


「ユーゴ様であれば問題ないかと思いますので、レミニスター様に伺っておきます。」

「ありがとうございます!」

 ソファーに座ったままだが、テーブルに頭が触れそうなほど頭を下げる優剛に、再び止めて下さいと狼狽えるトーリア。


「ユーゴ様は我々使用人に対する態度が丁寧過ぎます・・・。」

「そういう世界で育ったので仕方ないと思って諦めて下さい。」

 昨日も料理や服を優剛に運んできた使用人たちに小さい声で、お礼を言っていた優剛は少し胸を張って偉そうにして言った。


「ユーゴ様に仕えた使用人は他で仕事が出来なくなります・・・。」

「お金も無いし雇えないですよ・・・。」

 そんな優剛であったが、トーリアは先程の訓練を最初から見ていたので、優剛の能力であれば、上級貴族に使用人を割り振られるほどの待遇で仕える事も可能で、誰かに仕えなくても危険な地域から高品質の素材を持ち帰るなどして、使用人を雇えるだけのお金を稼げると予想していた。


 その後はトーリアが選んだ2人の使用人に挨拶をしたり、雑談したりと昼食の時間までゆっくりと過ごす事が出来た。


 昼食は昨日の夕飯を食べた部屋と同じ部屋で、食事や家族が寛げる部屋のようだ。

 ヒロは居なかったが、レミニスターとイコライズが部屋の中で優剛たちを待っていた。


 昼食が終わるとレミニスターが優剛に向かって袋を投げてきた。

「ユーゴ、それが魔法袋だ。見たかったのであろう?」

「あなたが神か!?オーマイゴッド。」

 下から放られた袋は緩やかに放物線を描きながら、受け取ったランドセルくらいの大きさの袋を見つめながら優剛は感激するように言った。


「何を言っているのかわからんが、簡単には壊れないから使って良いぞ。」

 再び「あぁぁ」という感嘆の声をあげながら袋を色んな角度が見たり、触ったりしながらトーリアに何かをお願いをしている優剛。


 麻実はそんな優剛を呆れるように見つめていたが、由里と真人は魔法袋に興味があるのか優剛に歩み寄って行った。


「それが魔法の袋なの?」

「うん。そうみたいだよ。レミさん、なんか入っているの?」

 由里からの質問に答えつつ、レミニスターに質問する優剛。


「今は何も入っていないぞ。しかし、口調が随分と良くなったな。」

「トーリアさんのおかげです。」

「ははは。あいつは優秀だからな。もっと楽にしても良いんだぞ。『さん』も不要だぞ。」

「いえいえ。これくらいがちょうど良いと思いますよ。レミさん領主ですし。」


 仲の良い先輩と話すような口調でレミニスターと話す優剛にトーリアがナイフとフォークを手渡した。ここでも「ありがとう」を忘れない優剛にトーリアは苦笑しつつも離れていく。


「おぉ!ナイフとフォークを入れたのに外からじゃ入っている感じがしない!」

 袋を外側から撫でたり、軽く叩いたりして、入っている物を確認するが、中身が入っていないような感触だけが優剛に届く。


「出す時はどうなるんだ?おぉ?あぁ。凄いなこれ・・・。」

「何よ・・・。気になって来たじゃないのよ。」

 横で見ていた麻実も気になって優剛に近づいてきた。由里と真人は袋からナイフとフォークを出しては入れて、外側からパンパン袋を叩いて遊んでいた。


「まず、袋の入り口?出口?が見えないって言うか暗くなっていて、手を入れると・・・。ほら。見えないでしょ?」

 袋に手を突っ込んだまま、袋を広げて見せても優剛の腕が袋の中で消えていて見る事が出来なくなっていた。


「しかも外から見える袋の内側があるところには何も無いね。広い空間が袋の中にあるみたい。やってみなよ。」

 そう言って袋の中に手を突っ込む麻実や由里と真人。手を入れながらワーワー騒いでいる。


「小さい時に私もやったわ・・・」

 始めて魔法袋を見た時を思い出したのかイコが呟いた。


「ではでは。魔力で視てみましょう。」

 昨日、習得した魔力を視る魔力をあやしい動作で作り出す優剛。


「・・・壊すなよ?」

 薄ら笑いを浮かべながら、右手をワキワキさせる優剛に心配になったレミニスターが忠告する。


「魔力で包むだけだから壊れない・・・ですよね?」

「知らん・・・。そんな事が出来るやつに出会った事が無い。」

 優剛も不安になってきたのか、作り出した魔力玉を消した。


「うーん。怖くなってきた・・・。あっ!じゃあ入ってみます!麻実、これを巻き付けておいて。」

 魔法袋に入ると言い出した優剛は魔力を縄状にして麻実の体に巻き付けた。さらに由里と真人に頼んで袋の口を大きく開けて貰った。


「待て!ユーゴ!中では呼吸が出来ないぞ。」

「ちょっと。危ないかもしれないから、待って・・・。あぁ・・・。」

 止めるレミニスターと麻実の言葉を振り切って優剛は袋の中に入っていた。


(おぉぉ!何も見えん!だけど入ってきたとこだけ光っている・・・。袋の中は魔力で満たされているのか。)

 入ってすぐに上下左右の感覚は無くなったが、入ってきた方向であろう場所だけが光っていた。そして袋の中の空間は魔力で満たされている事がわかった。


「ねぇ。手を袋の中に入れてみて。」

「キャ!」「わっ!」突然、顔だけ袋から出てきた優剛に驚いて袋から手を離してしまった由里と真人。


「おぉ!痛くないけど、出来れば持っていてほしいなぁ・・・。」

 床に落ちた袋の口は横を向いており、優剛も袋の中で寝転んでいるような状態で袋から顔を出している。


「優剛、かなり気持ち悪い状態よ・・・。」

 麻実はそんな状態の袋を持ち上げて嫌そうな顔で優剛に告げた。


「今はその発言を受け入れよう。ねね。手を突っ込んでみてよ。お願いね。レミさん、空気は自分で持って行くから大丈夫だよー。」

 そう言い終わると再び袋の中に戻っていく優剛。


 はぁーと溜息を吐きながら袋の中に手を入れた麻実は手を掴まれた感触を感じた。

「きも・・・。」

「聞こえているからね!」そう言って袋から再び顔を出す優剛。そんな優剛の顔の横には麻実の腕があり、かなり不思議な状況になっていた。


「お前ら・・・楽しそうだな。ユーゴ、もう袋には全身を入れないでくれ。特に頭だ。」

 レミニスターが笑い声を抑えながら言ってきた。


「僕たちの世界にはこんな面白い道具なかったですからね!」

 袋から顔だけ出した状態でレミニスターに対応する優剛。既に袋から麻実の手は抜かれている。


「麻実、手を掴まれている感触はあった?」

「あったわよ。もう袋は離すわよ?あとこの紐の魔力はどうするのよ?」

 言い終わったと同時に袋を床に置く麻実。投げ落とさなかったのは優しさであろう。


「ふーん。あぁ。ありがと。中に入っても出口はすぐにわかるから要らなかったよ。」

 優剛はお礼を言いながらシュルシュルと麻実に巻き付いていた魔力の縄を外していく。

 そして、中に入っている手に魔力を集中していく。


(レミさんが入るなって言うから頭は入れないけど、中で魔力を使う分には問題なさそうだな。じゃあ視てみましょうかー。)

 念のために小さな魔力玉を作って様子を見た優剛は、その小さな玉を魔力が視れるように変化させていく。


(あぁ・・・。これは玉を大きくしても意味ないな。全体が同じ作りだ・・・。大きさを調べる為に巨大な魔力玉を作るのは意味があるかもしれないけど、大きさに興味は無いなぁ。)


 中での調査を終えた優剛は、由里にフォークを出し入れするように頼んだ。


「ごめん。もう少しゆっくり・・・。」

「はーい。」

 高速で出し入れされるフォークに戸惑いながら優剛は由里にお願いした。


(ここが袋の境目だから、何か無いかな?・・・ん?)

 フォークの出し入れを見ていた優剛はどこから異空間なのかを見極めると、由里にお礼を言って出し入れを止めてもらう。そして境目付近を凝視すると何かに気が付いた。

 しかし、飽きてきた麻実と由里と真人は袋に入って寝転がった状態の優剛を床に放置した。


 そんな状況は慣れたもので気にする事も無い優剛は境目を凝視続けて、境目の布部分を触り始めた。

(んー。暗闇空間?亜空間?異空間?と布の一部が繋がっている。繋がっているから亜空間がその場に留まらないで袋に引っ付いて動いているのかな?)


 考察を終えた優剛は這うように袋から出て来ると、お礼を言って魔法袋をレミニスターに返した。袋を持ちながらレミニスターが優剛に袋の感想を尋ねる。

「どうだった?なかなか面白い袋だろ?」

「かなり便利で面白い袋ですけど、使い方次第ですね。悪い事に使おうと思えばキリが無い、恐ろしい魔法道具っていう印象ですね。」


「え?」という麻実の反応に優剛が解説を始める。

「なんでも入るって事は密売も暗殺も難易度がかなり低くなるからね。袋の中に武器や人を詰め込んで対象に接近出来れば、袋の中から暗殺者が大量に出てくる。守る側も常に魔法袋の存在は頭に置いておかないと、暗殺者が対象に近づいて、袋の中ら別の暗殺者が手だけを出して殺す事も可能じゃないかな?・・・怖くなってきたでしょ?」


「その通りだ。しかし、魔法袋の中は異空間になっていて、生物が入ると生命維持の為に中の魔力消費してしまう。そうすると魔法袋の容量が減ってしまうんだ。ユーゴが入った時は驚いたが、まぁユーゴだからな。とは言え、用途によって魔法袋は危険な魔道具だ。王国に届け出が必要だし、紛失すれば重大事件として扱われる。しかし、魔法袋は両手で足りるほどしか、現存してないぞ。」


「中に生物が入ると容量が減るっていうのは納得です。酸素無かったですからね。念のために弁解しますけど、魔力を身体に覆った時に酸素も逃がさないようにしたので、中に入った時も袋の中の魔力は使っていません。」


「そんな事をしていたのか・・・。」

 レミニスターは驚きのような、呆れたような表情をしていた。


「便利な道具だけど、壊すつもりで使えば、人を殺す事は出来るでしょ。」

「急にその袋が怖くなってきたわよ・・・。」

「でしょ?」

 怖がっている様子は見えない優剛が魔法袋の脅威を理解した麻実に同意した。


「でも、それ・・・作ってみよう。」

 優剛の軽い発言に「はぁ!?」という驚きの声が使用人たちを含めた部屋中の人間の口から出た。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

皆様の読んでいた時間が少しでも良い時間であったなら幸いです。


評価や感想をお待ちしております。ブックマーク登録も是非お願いします。

次回もよろしくお願い致します。

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