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脱出ゲームの定番 二人の関係

 三人はその後、これからどうするかを決めるために、各々床に座って顔をあわせた。


「さて、異世界ものの定番としたら、まずは異能力の開花だよな」


 智久がそう言って彼、ひいらぎと御崎に目配せをした。


「といっても、私自身変わったことはないけどね~。柊はどう?」


「‥‥僕もまだわからないかな。智久こそどうなんだ?」


 しばらく考えたあとに、彼は友人にそう尋ね返す。すると智久も肩をすくめて、わからんと一言だけ答えた。


「まあ、トリップの仕方自体、定番を外していたしね。問題ないよ」


 御崎はそう言うとうーんと唸って、そうだ!と手を合わせた。


「持ち物はどうかな?ほら、脱出ゲーじゃこういうの定番でしょ?」


「脱出ゲーって、さっき外に出ていたじゃないか。脱出するも何も──」


 智久はそう首を振るが、柊はその言葉に被せて、このような言葉を吐いた。


「──いや、ある意味これは脱出ゲームかもしれない。ほら、この世界からもとの世界へと戻る、みたいな」


「それを言ったら終わりだろ」


 と、しばらく沈黙するが、話し合っていても進展がなさそうなので、とりあえず御崎の言う通りに持ち物の確認をしてみることになった。


「──これはこれは」


 その持ち物確認をし始めて、最初にそう声をあげたのは御崎だった。


「二人とも、学生証確認した?」


 御崎のそれに、二人とも首肯する。


 彼らの通う学校は私立であり、そこの学生証は携帯端末の形をしている。因みに、それを携帯電話として活用することも可能なのである。


 そんな学生証であったが、それが大きな変化を遂げていた。


 電波が通じない状態で、さらにWi-Fiも通じない状態であることは確かだが、それより、中にインストールされているアプリが、すべて入れ替わっていたのである。


「‥‥これを試すのは後にしようか」


 智久がそう言うと、二人はとりあえず頷いた。


 とにもかくにも、これからがとても面倒くさそうになる予感は、三人とも持っていた。


 つまり、日常はもう終わっていたということであった。


 とりあえずアプリケーションの確認を後回しにした三人は、キッチンの衛生的な確認をしに行くことにした。


「ちょっとした喫茶店みたいだよな」


 智久が感じたことを率直に述べた。


「‥‥気になるのは、電化製品が揃っている点だよね。異世界ものにしては随分と文明レベルが高すぎないかな?」


 柊はそう言うと、キッチンの奥にある二つの巨大な冷蔵庫に触れた。


 冷蔵庫には、数枚のメモ用紙と思われるものに、見たことのない文字でメモ書きがされてあった。


 しかし、驚いたことに、柊にはそれが読めた。


「なんて書いてあるんだろうね。智久わかる?」


「俺もわからん。柊は?」


 だが、二人はそれが読めないようであった。


「読めるよ。全部料理のレシピに関することだよ。和食、中華、フレンチ、洋食。いろいろな種類があるね。他には、中にある食材の調理方法、食材の特性に、どこにあるかとか、そんな感じかな」


 柊はそう答えると、二人の方を振り向いた。するとそこには、ぽかんと口を開いたまま硬直する二人の姿があった。開いた口が塞がらないとは、この事なのだろうか。


 ふとそう思う彼であった。


「‥‥流石、現代と古典と英語の三教科ランキング一位の柊は凄いな」


「‥‥それ、関係ある?」


 智久のそれに、そう返す柊。その一方で、御崎はというと、目を輝かせて彼に抱きついた。


「ねえ!内容後で私の端末に送ってくれない!?ほら、私料理得意だしさ!」


「そのわりには、毎日購買の惣菜パンなのな」


「細かいことは気にしない!ね!いいでしょ?」


 はしゃぎ回る彼女に、はいはいと頷きながら頭を撫でる柊。


 まあ、料理部副部長の彼女のことだ。任せても問題ないだろう。


 そう思う二人であった。


 続いて、風呂場を見ることにした。


 風呂場は結構な広さで、およそ三人が同時に風呂に入ったとしても問題なく悠々と使えるほどに広かった。


「問題は扉だな」


 智久はそう言いながら、引き戸型の風呂場の扉をチェックする。


 風呂場の前には脱衣場がもうけられてはいるものの、その入り口が短い暖簾でしきられているだけであり、少々心もとないといった風である。


 廊下側から中が丸分かりなのだ。


「御崎、どうする?脱衣場の暖簾、改造して衝立にしてやることもできなくはないが」


 そう提案する智久だったが、それを聞いて御崎は首を横に振った。


「んうん、平気平気。時間で分けて使えば問題ないでしょ?それに、今はそんな労力を浪費することはないし」


「おい、僕の冷蔵庫の件の方がよっぽど精神的に労力を強いられるんだが?」


 彼女の言葉に、柊がそうつっかかった。


「でも、そうしないと智久が覗きに来るでしょ?時間で区切った方が、害は少ないと思うし。あ、柊は別ね」


「何でだよ」


 思わずそう突っ込む智久。


「何でって、そりゃ双子の兄妹の関係なんだし」


「あ、そういうこと」


 言うと、彼も納得したらしかった。


「柊も、智久のこと監視よろしくね?」


「了解」


 こうして、ある程度のことは決まったらしかった。

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