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東西冷戦

 今回は東西冷戦についてです。

 ただし、その歴史を全て振り返っていてはきりが無いので、要点だけを押さえた簡単な解説に止めます。



 東西冷戦とは資本主義陣営と社会主義陣営の対立の構図を表す言葉で、軍隊が激突する通常の戦争を熱い戦争(Hot War)と呼ぶのに対し、軍事衝突こそ起きていないものの非常に緊迫した状態にあったのを冷たい戦争(Cold War)と表現した事に由来します。

 しかも、両陣営の対立は軍事・外交・経済といった国家の根幹を為す分野に止まらず、宇宙開発・文化・スポーツなど様々な分野に及んでいました。それを示す有名な出来事と言えば、モスクワとロサンゼルスで行われたオリンピックのボイコットでしょう。

 ちなみに、東西冷戦の東西とは対立の最前線となったヨーロッパを中心とした世界地図上で東側に社会主義陣営、西側に資本主義陣営が集まっていたからです。その上で、どちらの陣営にも与しない国々を第三世界と呼んで区別していました。

 そして、東西冷戦構造の起源については諸説ありますが、大国同士の対立が明確になったのを起点とするなら第2次世界大戦末期(1945年2月)のヤルタ会談になります。一応、まだ世界大戦は続いていたものの、既に趨勢が決まりつつあった事から戦後世界のあり方を巡って利害が対立するようになったと言われています。なので、ファシズムという共通の敵を失った事で辛うじて保たれていた共闘態勢が崩壊したと考えると分かりやすいかもしれませんね。

 さらに、1946年にモスクワのアメリカ大使館より提出された論文が決定打となり、以後のアメリカのソビエト連邦に対する認識と対応が固まったとされています。また、第2次世界大戦で彼らの敵だった枢軸陣営の領土の分割統治なども行われ、後に様々な事件や問題の火種となるものも形成されました。

 その後、幾つかの出来事を経て組織されたNATOやワルシャワ条約機構は、東西冷戦構造を象徴する存在として今でも耳にする機会が多いのでセットで覚えておくと便利かもしれません。

 同時に両陣営は互いを仮想敵国と定めて勢力と軍備の拡大に勤しみ、ついには地球を何度でも滅ぼせるとまで言われるほど多くの核弾頭を双方が保有し、何かと理由を付けては核実験や核戦争のシミュレーションを実施して大規模な戦争に備えるようになっていました。この核開発と並んで重視されたのが宇宙開発で、一部に共通する技術や軍事利用も可能な分野があり、そこへ国威発揚という効果も加わって激しい競争になりました。

 その一方で第三世界における勢力拡大では自分の陣営を支持してくれるなら問題を抱えた政権であっても黙認する姿勢を取った結果、独裁政権が誕生して汚職や内戦、クーデターなどが繰り返される土台を築いたのも事実です。それによって同地域では、秘かに(公然の秘密として)両陣営の支援を受けた地元勢力同士が実際に戦火を交える代理戦争すら勃発しています。もっとも、中には両陣営の対立を巧みに利用して勢力拡大(私腹を肥やす)を図った国(勢力)もあります。

 他の特徴としては、両陣営とも相手の思想や政策を批判する宣伝合戦を繰り広げた事が挙げられます。これには各種メディアも大きく関わり、たとえ娯楽作品であっても悪役にされるのは決まって敵対陣営なのが当時の状況を表す分かりやすい実例でしょう。ただし、こうした批判合戦は社会全体に排他的な風潮を生み出しやすいので、対立の激しかった頃は官公庁どころか民間企業でさえ敵対陣営の思想に共感する者を排除しよう(遠ざけよう)とする動きがありました。

 それどころか、国によっては敵対勢力のスパイ(情報を流している)と疑われただけで一般市民も監視対象になったり、最悪の場合は投獄されたりする事態も発生しています。当然、そういった人達の中には事実無根(無実)の人もいたはずです。

 ですが、1985年以降は両陣営の緊張緩和が進み、やがて東ヨーロッパ諸国でも政権交代が相次いで起きて1989年の12月には東西冷戦の終結が宣言されました。そして、1991年の12月にはソビエト連邦が崩壊し、幾度となく危惧されてきた第3次世界大戦(全面核戦争)も勃発する事が無かったので人々は平和な世界が訪れたと歓迎しました。しかし、実際には両陣営の対立があったからこそ抑えられていた諸問題が一気に噴出し、新たな混乱と危機の時代が始まったのです。



以下は、東西冷戦と関係の深い事件や代理戦争で有名なもの。


第1次インドシナ戦争(1946~1954年)

ベルリン封鎖(1948年)

朝鮮戦争(1950~1953年)

ハンガリー動乱(1956年)

U-2偵察機撃墜事件(1960年)

ベルリンの壁建設(1961年)

キューバ危機(1962年)

ベトナム戦争(1964~1975年)

プラハの春(1968年)

アンゴラ内戦(1975~2002年)

アフガニスタン侵攻(1979~1989年)

東西ドイツ統一(1990年)

ソビエト連邦崩壊(1991年)


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