インテリジェンス
今回はインテリジェンスについてです。
ただし、ここではミリタリー分野における基本を簡単に解説するだけです。
いきなりの聞きなれない単語に戸惑うかもしれませんが、諜報活動もインテリジェンスに該当すると言えば多少は分かりやすくなると思います。一応、インテリジェンスという単語には他の意味もあるのですが、ミリタリー講座ですからね。
その意味でインテリジェンスを説明すると、国家戦略を決定する際に用いられる分析・評価を加えた情報という事になり、主に他国の軍事・政治・経済といった重要分野の情報を扱います。
もう少し具体的に表現するなら、テロ事件や大規模災害が外国で発生した際、政府の役人が「情報収集に努めています」という表現を使っているのをニュースなどで見掛けると思いますが、その情報収集活動こそがインテリジェンスなのです。
他に適当な日本語訳がない所為で軽い表現になっているものの、日本政府として行動を起こす時の指針となる情報を集めて分析するからです。
それでは、次は実際のインテリジェンスの種類についても解説していきましょう。もっとも、諜報活動と聞いて多くの人が思い浮かべるイメージとは程遠いと思いますけどね。
その際、最も重要になってくるのが集めた情報を分析・評価する事です。なぜなら、現代の高度な情報化社会では膨大な量の情報であっても容易に収集できるのですが、そうして集めた情報は玉石混合で真偽すら不明なものも多いからです。
だからこそ、得られた情報の真偽を確かめた上で(ここでは100%の確証が得られなくても構わない)関連項目も含めて分析し、実際に使えるものとして再構築する作業が必須なのです。
しかし、一見しただけでは判別できない膨大な量の情報を分析するのは容易では無く、この作業に当たる分析官には知識・経験・思考の柔軟性・センスなどの多種多様で高度な能力が必要だとも言われています。
インテリジェンスにおいて最も多用される(90%以上とも言われる)のがOSINT(Open source intelligence)で、合法的に入手可能な公開情報、いわゆる既存のメディア(新聞・雑誌・書籍・ラジオ・テレビ・インターネットなど)による報道や政府の公式発表といったものを丹念に収集・分析して必要な情報を得る行為です。
たとえ1つ1つの媒体から得られる情報量は少なくても、それぞれを繋ぎ合わせて分析していけば相当に精度の高い情報が得られる可能性があります。また、情報源そのものが公開情報なので、入手が容易な上に合法となるのもメリットです。
そして、ある意味、一般の人が諜報活動と聞いてイメージしやすいのがHUMINT(Human intelligence)でしょう。人間による情報収集活動で専門家に話を聞いたり、重要な情報に接触できる人間を協力者として獲得・管理したりして情報を得る行為です。
各国大使館で勤務する職員や駐在武官が同任務に従事するケースが多く、人脈を構築するなどの合法的な活動に止まっている限りは国外退去を求められる事も少ないです。ちなみに、現地で獲得した協力者の事をアセット(資産)と表現する場合もあります。
次に紹介する手段も割と有名で、通信や電波など電子化されたものを傍受する事で情報を得る行為がSIGINT(Signals intelligence)です。なお、原則として非公開のものを勝手に覗き見ようとしている点が前述のOSINTとは異なります。
このSIGINTはさらに細分化でき、盗聴や通信内容の暗号解読(使われている暗号化技術を特定するだけでも手掛かりとなり得る)といった通信関連をCOMINT(Communication intelligence)、レーダーを始めとする通信以外の電磁放射解析をELINT(Electronic intelligence)と呼んで区別する場合もあります。
また、偵察衛星や偵察機の撮影した画像を解析して情報を得るIMINT(Imagery intelligence)という手段もよく使われます。
それと、利害関係が一致する同盟国の関係機関同士で情報を共有する行為をCOLLINT(Collective intelligence)と呼びます。
もっとも、いくら同盟国と言っても所詮は他国なので無条件に情報を提供するとは考えにくく、何らかの見返り(金銭とは限らない)を求められるか、内容や提供時期を限定されるのが普通だと思われます。
当然、情報を受け取った側には機密を保持する責任が生じ、それに失敗すると信用を失って以降の協力体制に深刻な影響を及ぼします。
実際には、他にも大気中の化学物質や放射性物質の濃度を調べたり、地震波などを観測して事象を解析したりする手法など幾つもあるのですが、マイナーな上にきりがないので割愛します。
最後に身分を隠して(偽って)非合法活動をする諜報員(工作員・スパイ・エージェントなど表現は国によっても違う)についてですが、正体がバレたら終わりです。他国で拘束されれば刑務所送りは免れませんし、たとえ拘束されなくても潜入を伴う非合法活動への復帰は絶望的でしょう。
ちなみに、彼らの関わった非合法活動は失敗した時のみ白日の下に曝され、計画そのものが初めから無かった事にされているので成功した場合は活動内容が表に出てくる事は絶対にありません。




