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軍隊の定義

 基本となる軍隊の定義についてです。

 ただし、あくまでも基本的なもので例外は常に存在していますし、時代や世界情勢の変化によっても変わるものだという事を覚えておいて下さい。



①正規軍


 最も基本的な組織です。単純に軍と言えば、大抵はこれと思って間違いないでしょう。国防軍(国軍)と表記する場合もあります。当然、国家公務員に属するので保障は充実しているものの報酬はそれなりです。

 さらに、ジュネーブ条約で地位が認められており、様々な制約と引き換えに通常の戦闘行為で敵対勢力を殺傷しても罪には問われず、捕虜に関する各種の条項も適用されます。

 この正規軍を敢えて定義づけするなら、国連や国際社会で広く認められた主権国家が管理する軍隊とするのが妥当かと思われます。なので、自称独立国や承認する国家が極端に少ない勢力の軍隊は正規軍には該当しません。

 ちなみに、一部の独裁国家では独裁者が私兵のような親衛隊を国軍とは別に組織していて後述する準軍事組織に分類する方が正確なのかもしれませんが、敵対勢力の親衛隊の類に関しては規模の大きさや装備の充実度によっては正規軍の一部とみなす傾向にあります。この辺りは政治的な事情も絡んでくるので、状況に応じて臨機応変に対応するしかないでしょうね。

 意外と見落としがちなのが外人部隊(他国の国籍を持った兵士)で、士官になれないなどの限定的な制約を除いて自国の兵士と同じ条件で雇われているなら彼らも正規軍になります。

 また、国軍と警察組織の中間のような存在として準軍事組織というものがあり、国境警備隊や沿岸警備隊などの通称を持つ組織(中には紛らわしい名称の組織もあるので注意が必要です)を国軍に次ぐ戦力として扱う場合があります。なぜなら、これらの組織は平時は警察活動に近い事をしていますが、戦時体制に突入する(平時からの場合もある)と国防軍の指揮系統に組み込まれて戦線後方を支えるケースが多いからです。

 もっとも、現実の世界では国家間の政治的対立が原因で主権国家としての承認に差が生じる場合もあり、扱う陣営によっては表記を変える必要があるので、そこら辺も注意が必要です。具体的には同じ組織を一方の陣営では国防軍として扱い、他方の陣営では反乱軍として扱うといった感じでしょうか。

 なお、日本は憲法解釈の都合で軍隊を保有できない事になっているので自衛隊は国防軍ではないとの立場を崩していませんが、国際社会からはれっきとした正規軍として認識されています。



②傭兵


 いわゆる金銭で雇われて働く兵士の事ですが、実は国際法(ジュネーブ条約)で定義されていて敵対勢力を殺傷しても一般の刑法の適用対象となります。さらに、捕虜としての権利も有していません。

そして、以下が大まかな定義です。

 私的利益(金銭)目的で紛争に参加する為に雇われている。雇用した紛争当事国の正規軍の同種・同階級の者より高額な報酬を得ている。紛争当事国の国民ではない。

 逆に言えば、これらの条件に該当しなければ傭兵とはならず、後述するPMSCと混同しないようにしなければなりません。



③PMSC(Private Military and Security Company:民間軍事警備会社)


 正規軍でも傭兵でもなく、経済活動の一環として戦闘行為を含む紛争地域での様々な軍事的サービスを行う民間企業です。定義が曖昧だった頃はPMC・PMF・PSCなど資料によってバラバラの略称で呼ばれていましたが、2008年のモントルー文書でPMSC(複数形をPMSCs)とする事が決定。

 ところが、このモントルー文書にはPMSCの定義や法的責任に関する指針しか書かれておらず、法的拘束力が全くない代物という抜け穴があります。

 このPMSCにおいて直接戦闘に関わる人物はプライベート・オペレーターやコントラクターの名称で呼ばれており、かつては諸事情で先進国の正規軍を離れた経験者が担っていました。ですが、人件費の問題から実戦経験が豊富な貧困国出身者の比率も増え続け、近年では混成チームを編成するケースが一般的になりつつあります。

 また、民間企業なので報酬は正規軍より多く貰えるように思えますが、心許ない保障や諸経費を差し引いた手取り金まで考慮するとリスクと釣り合わない場合も多々あります。実際、本当に儲かっているのは現地に行かない管理職の人間でしょう。ただし、貧困国の給与水準から見れば高額なのも事実です。

 他には、正規軍の兵士が着る戦闘服など使える装備にも制約があるものの、軍の放出品が手軽に購入できる今となっては大して意味がありません。それでも一応は、民間人と同じ服装の上からタクティカルベストなどを着て銃を持つスタイルを基本としています。

 もっとも、本来ならPMSCでの使用が禁止されている爆発物の類(グレネードやC4爆薬)も国家と契約を結んでいれば特例として認められやすいそうなので、ここにも抜け道が存在しています。

 さすがに装甲車や軍用ヘリなどの大型兵器は所有も使用も許されず、移動は主に民生品の車両に防弾装備を追加した程度の物が主流です。ただし、契約相手国の兵器を借用という形で使用していたケースも過去にはあったようです。

 そして、PMSCを使う側のメリットとしては彼らの行為に国家が責任を負う必要が無く、戦闘で死傷しても補償をする必要がないどころか、戦死者の数にもカウントされないので世論対策になるという物騒な構図が生まれています。



④民兵や武装勢力など


 ここまで来ると明確な定義など無いに等しく、上記のどれにも該当しない武装した集団や組織という認識で良いでしょう。なので、その言葉が持つ個人的なイメージから代表的なものを分類してみました。

反乱軍:現政権に不満があって離反した元正規軍

民兵:武装して敵意を持った兵士以外の集団

私兵:個人が従える武装集団

武装勢力(過激派戦闘員):過激な思想で統一された武装集団

テロ組織:政治的目的を持った武装集団


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