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幽体離脱6

 アヤちゃんもとい彩がまた俺の家に来た。どうやらずっと女の子だと思われていたらしい。当時の俺の服は姉のお下がりばかりで女物ばかり着ていたので間違えられるのも無理はないが。


 自分でもびっくりしたのだが、俺は、まだ彩の事が好きらしい。一緒にいたのは八年前の一年間だけで、でもそれがこの気持ちを大きくした原因かも知れない。

 大きくなった彩は、口数が少なくなって、無愛想だった。短く切った髪からはシャンプーだろうか?良いにおいがした。背も伸びて、胸もなかなか大きかった。彩が女子として成長した分、俺も男子として成長しているのだ。

 八年間会わなくてもずっと好きだったんだと改めて実感する。

 でも、忘れられていたのが少し気に食わない。俺がずっと忘れなくても、彩が忘れていたら意味が無い。


 ・・・・・早く寝よう。そしたらすぐに明日だ。明日は今日よりも話せると良いのだが。


 次の日、彩の教室に行くと数人の女子から休みだと告げられた。

「え!?馬上くん、松本さんと付き合ってるの?」

「うそー!ホントに?」

 付き合ってるよ。と言いたいところだが、嘘になってしまう。

 精一杯の引きつった笑顔で否定する。すると女子集団は、あの松本さんだもんねと納得しながら自分の席に着いた。


 あのってなんだよ。あいつはただ普通に生きたいだけの、お前らと同じ女子じゃないか。お前らよりも数倍可愛いけど。本当に差別が好きだな。

 でもどうしたんだろ?昨日は普通に元気だったしなぁ。

 また抜けちゃったんだろうなぁ。うろついてないと良いけど。



「おい、そこの馬鹿。」

 いきなりの声に、ビクリと肩を揺らす。

 後ろを向くと何やら不機嫌そうな彩がいた。しかも後ろが透けている。タイムリーだな。

 抜けたままうろつくな、と声を出そうとした瞬間彩にさえぎられる。

「お前が声出すと、完全にイタイ奴だぞ。」

 そうだった。ここは教室で人目があるし、彩は俺にしか見えていないのだ。

「筆談でもすれば?」

 今は、それしか方法がなさそうだ。彩を連れて教室に行き、ノートをとった。

“なにか、あった?”

「ちょっと頼みがあってきた。風邪を引いたんだが、今家に誰もいない状態で、かといって体に戻ると悪寒が酷くて何も出来ないんだ。」

“薬は?”

 彩は首を振った。おそらくこの調子だと風邪を引くのは数年ぶりといったところか。風邪薬ぐらいどこの家でもあるのに。ご飯も食べていないようなので、悪化して当然である。

 とりあえず帰り道に彩の家へ寄ってお粥でも作ってや・・・・


 家にいくのか!?

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