幽体離脱18
学校に、登校した。1日休んだだけなのに、すごく久しぶりな気がする。
「彩!!」
これは馬上の声だ。振り向かなくてもわかる。
私は教室に荷物も置かず、走り出した。
無意識の内にたどり着いたのは、図書室だった。
ここで休憩しよう。
見つからないように、一番奥の、本棚の間に座りカバンを膝に置いた。
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「彩!起きて!」
気付いたら寝ていた様で、揺すって起こされた。しかも馬上に。
「どうした?さっきは逃げるし、こんなとこで寝てるし。」
心配しているのか?
「なにかあったのか?」
駄目だ。他人と関わる度に、ただ漠然と恐怖と無虚感が私を襲う。
あの頃と同じだ。
誰か、誰か。って助けを求めて、ようやく気付くんだ。
“自分しかいないんだ。”
親も、友達も、こいつも、いなくなった。ずっと一人だった。
他人と関わる度、寂しさを知るなら。
優しさを求める度、孤独を味わうなら。
もうなにもいらない。
彼がくれた安心と彼自身だけで、私の世界は十分だから。
「もう私に関わらないで。」
馬上を突飛ばし、図書室を出た。
やっと、この話の折り返し地点を通過しました。
よかったです。