6,浮気
助けて欲しかった。
でも、助けてと言うには私はあまりにも自己中心で…。
ねぇ、優しくなんてしなくていいから。
女の子扱いなんてしなくていいから。
せめてバカな私を笑って下さい…。
Just a friend.
〜浮気〜
「えぇ。優音と秀司は絶対に付き合ってると思ってたのに!!」
今日も誰かがそう言って驚いていた。
それはただの勘違い。
「だから…秀司とはただの友達だって言ってたでしょ。」
「でも…絶対にお似合いだよ!」
「…そんな事言ってると、私が結子ちゃんに怒られるよ。」
実際に結子が私と秀司の仲の良さを不安に思ってるって噂は耳にしている。
結子も何をそんなに心配しているのだろう…。
私と秀司はただの友達。
秀司は登下校時、休日などほとんどの時間を結子に費やしているでは無いか…。
本当に…よくやるよなぁ。
結子は秀司の何が不満なのだろう?
和馬君に秀司を見習わせたい。切実にそう思う。
幸せな秀司。
一方私はと言うと…遂に見てしまった。
他の女の子と手を繋いで歩く和馬を…。
いつも私が居る場所にただ他の子がいるだけなのに…その事実がただ悲しい。
「この前…和馬、知らない女の子と歩いてた。あれ…誰?」
情事の後のベッドタイムで聞く質問じゃないとは思ったけど…この時間しか、和馬が自分に向き合ってくれない気がした。
「ん?いつの話?」慌てる素振りも無く、答える和馬。
そんな和馬が知らない誰かみたいに見える…。
「3日前。」
あれから3日…凄く悩んだ。
和馬にとって私って何?
薫には言ってない。言ったら、別れろって言うに決まってるから。
秀司には…言えない。なんでかは分からないけど…言っちゃ駄目な気がする。
「うん。それで?」
「それでって…?」
「それがどうしたの?」
ソレガドウシタノ…?
「ねぇ、薫…。浮気って駄目なこと?」
翌日の学校で私は薫に尋ねた。
「はぁ!?優音が浮気…?まぁ、優音がそこそこモテるのは知ってるけど…まさか…相手は秀司?いや、あいつはあれで良い奴だし…。」
などとブツブツ呟く薫。
「どうでもいいよ。それより浮気の何が駄目なの?」
「…開き直った。優音…。もし、あんたが杉原和馬と別れてまで秀司が良いって言うなら止めないよ。でも…浮気は駄目。」
相変わらず勘違いを続ける薫。
「浮気は駄目かぁ。」
その言葉を聞けただけで充分だ。
別れたい。
正直…辛い。
私は彼氏の浮気を許せるほど…強くはない。
でも…今、和馬と別れたら?
休みの日は何するの?
放課後は?
秀司は…結子のもの。
私は…いつの間に1人ぼっちになったんだろ…。
「一馬君…。私、一馬と他の女の子が遊ぶの嫌だなぁって…。」
何に期待してたんだろう?
「じゃあ…別れる?」
期待は絶望を大きくするだけなのに…。
「それは…、それは嫌。ごめんね?もぅワガママ言わないから!」
私は何て弱いんだろう?
悲劇のヒロインにでもなるつもりなのかなぁ?
私の頭を撫でる和馬の手の冷たさを、私はボーッと感じていた。




