5,やきもち
もしあの時…私が自分の感情を素直にヤキモチだと認めていたら…そんな後悔を何度しただろう?
例えば、今…私が自分の感情を素直に口に出来たら、あなたはもう1度振り向いてくれますか?
Just a friend.
〜ヤキモチ〜
「♪〜♪〜」
流行りの着信音を鳴らすのはシンプルな私の携帯ではなく、ストラップが大量に付いた彼氏の携帯電話。
「ねぇ和馬君…出ないの?」
時々デート中にこういう事がある。
しつこいくらいに鳴り続ける電話を和馬君がサラッと無視してしまう。
「あぁ…別に急ぎの用じゃないし。」
いつものセリフ。
「別に私に気をつかわなくていいんだよ?」
「ありがとう。それより今日はどこ行く?」
「別にどこでも…。和馬君はどこ行きたい?」
「…なら、俺の部屋おいでよ。」
いつもの返事。
付き合い出してから、外でデートしたことなんか数回。
それ以外は毎回1人暮らしの和馬君の部屋。
やる事だっていつも決まっていて…男と女がするような事…。
私はもう気付いている。
私からの電話…鳴らしても、鳴らしても時々出てくれないのは何で?
急ぎの用じゃないから?
いつもデートが部屋ばっかりなのは何で?
他の人に見られちゃ不味いから?
それとも…本当は身体目当てで一緒にいるの?
私…知ってるんだよ?
他の女の子とデートしてるのは…何で?
遊びだから?
それとも…私が遊びなの?
交わる事に喜びなんて感じれないまま…ただ悲しくなって行く。
「ねぇ…少し聞いて欲しい話があるんだけど…。」
今日は久しぶりに秀司と帰ってる。
最近、和馬君が会ってくれる回数が目に見えて減った。
「杉原和馬の話?」
「そうだけど…人の彼氏フルネームで呼び捨てにするのやめてよ。」
「ってか、俺も優音に話があるだけど…。」
自転車で二人乗りをしているので秀司の背中しか見えないけど、真剣な声。
「ん?なになに?先に聞くよ♪」
「俺…彼女出来た。」
…。
……。
………今、何て?
思考回路をフル回転させてやっと出て来た言葉は
「誰?」
の一言。
「A組の如月結子。」
如月…結子。
知ってる。知ってると言っても話したこともなくて、本当に知ってるだけ。
隣のクラスの彼女はビックリするくらい細くて、女の子らしい子…私が知っているのはその程度。
「へぇ結子かぁ。」
もちろん呼び捨てにする様な仲じゃない。
「優音だって俺の彼女呼び捨てにしてるじゃん…。ってか、俺の話は以上。優音の話は?」
ショックだった。
原因は不明。
ただショックだった。
秀司が私が全く知らない人と付き合うなんて思ってなかったから。
秀司が誰かと付き合うなんて全く想像していなかったから。
どんな子なんだろう?
2人はどういう風にデートするんだろう?
結子は秀司を何て呼ぶんだろう?
私たちは…どうなっちゃうんだろう?
これってヤキモチ…?
「私の…話は…。」
彼氏が浮気してるかもしれない…。
「なんだよ。言えって。」
秀司に言って、どうして欲しかったんだろ。
今は…惨めになるだけだ。
「ただのノロケ話だよ。でも今日は秀司のノロケの方が聞きたい♪お姉さんが何でも聞いてあげるよ!」
わざと強がる。
私がこれ以上傷付かないため。
「誰がお姉さんだよ。言うなら妹…いや、ペットだな!ポチって感じ♪」
「誰がポチよ!」
今なら…秀司の親友のまま居れる。
それで充分じゃん。
私は…ヤキモチなんて妬いてない。
今なら素直になれるのに…。




