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第6話 改革

1932年12月22日


~横須賀軍港 特務地区 戦艦瑞樹会議室~


戦艦瑞樹の会議室には、各艦の戦隊司令が集まっていた。


「急の招集にも関わらず集まってくれて有難うございます」


会議が開始して始め、刹那は一言礼を言うと、


「それで、今回集まってもらった理由ですが、各兵器の状況と、2か月と少しすれば、国際連盟の満州国の決議が始まります。満州には、大慶油田があり、如何してもあそこだけは残しておきたいのですが、何かいい案はありませんか?」


刹那がそう尋ね、全員見ると、


「長官、ここは、中国の国民党を中国唯一の政権と認め、満州国を認めてもらった方が良いのではないでしょうか?幸い、まだ、国民党は国共合作をしていません」


そう発言したのは、第2戦隊司令で、刹那の後輩の橋本妃奈(はしもとひな)中将だった。


「橋本中将の意見も最もですね・・・でも、そう簡単にいくでしょうか・・・」


刹那が考えていると、


「長官、蒋介石は、日本に援助を要請しているのでやらない手は無いと思います。まだ、南京事件も起こっていないので、中国国民の信頼を回復する良い手段だと思います。それに、中国が納得しているのであれば、国際連盟は手出しできません。しかし、万一の場合があるので、内田康哉外相にはやめてもらった方が良いかと・・・」


参謀長である小夜がそう言うと、


「そうですね、分かりました。今度の会議でそう提案しましょう。で、次ですが、如月技術中将、艦隊の弾薬は戦争が始まったとしてどれ位持ちますか?」


刹那がそう尋ねると、


「ミサイルは、全力で戦ったとして半年、徹甲弾、対空砲弾は1年といったところよ」


小百合の報告に、


「そうですか・・・今建設している特務工廠が完成したら如何ですか?」


「ん~・・・大量生産の体制が整ったら、5年は可能だけど、各会社から派遣して貰った技術陣の育成に忙しくて直ぐに大量生産は出来ないわね・・・」


小百合の言葉に、各戦隊司令も表情が少し暗くなる。


「分かりました。艦艇や陸軍兵器の開発は如何なっていますか?」


刹那が、艦艇と兵器の状況について尋ねると、


「艦艇は、長門、陸奥、山城、扶桑、伊勢、日向が斑葉型大型自走浮きドックで改装に入っているわ。1次改装が終了次第、金剛も改造するつもりよ。陸軍の装備も、私達の使用弾5.56mmと合わせる為に、自動小銃である92式小銃を工廠艦で制作しているわ、2年で全部隊に配備し終えて、太平洋戦争までには、89式小銃に変更させるつもりよ。新型戦車も、もちろん開発しているわ」


小百合の報告に頷き、


「分かりました。技術陣は、引き続き兵器、艦艇の設計に力を注いで下さい。では、今日は解散とします」


刹那がそう締めくくり、会議は終了した。





皇紀2592年(1932年)12月25日


~東京皇居~


刹那達の会議から3日後、御前会議が開かれた。


「今回の御前会議ですが、如月長官たちの意見した満州国の扱いと中国に対しての同盟を話し合おうと思います」


そう言って会議の開始を告げたのは、第30代内閣総理大臣斎藤実(さいとうまこと)だった。


「満州国の扱いと言うが、如何するのだね?あそこは、完璧な独立国の筈だが?」


と、そう言うのは陸軍大臣である荒木貞夫だった。


「陸軍大臣。満州国は、日本の傀儡政権である事は、既に歴史が証明しています。この問題を如何にかしなければいけません」


刹那の言葉に、荒木は少しばつの悪そうな表情を見せた。


「満州国は、独立国を名乗っていますが、実際は関東軍が裏から操っています。まず、この国を完全に、独立国にし、首脳会談か、国家元首間での会談を行い、完全に独立国である事を示さなくてはなりません」


そう言う刹那に対して、


「独立国と示したならなぜ、中国との関係も改善しなければいけないのだ?」


と、海軍大臣である岡田啓介が尋ねた。


「それは、満州国の決議は、中国が国際連盟に訴えた事でリットン調査団が現地入りしました。その中国が満州国を認めてくれたら、訴えを破棄してくれます」


刹那の言葉に、


「それで、中国には如何言って、同盟を結ぶのだ?」


荒木が尋ねると、


「蒋介石が率いる国民党を中国唯一の政権と認める。武器の支援を行う。共産党を共同で追討する。等で良いでしょう」


「武器の支援と言うが、何を提供するのだね?」


岡田の問い掛けに、


「38式小銃で良いでしょう。現在、新型の小銃を制作、配備しているので、そちらと変更が終了した部隊のを次々提供して、武器弾薬の生産ラインも提供してあげればいいかと」


刹那の言葉に、


「そうだな。刹那君達の日本のように、日本が孤立する事だけは避けなくてはならないからな」


岡田の言葉に、閣僚たちは頷く。


「では、朝鮮は如何するのだ?」


斎藤が尋ねると、


「勿論独立させて、朝鮮に回していた資金を日本の開発費に回します。それと、陸軍には、徴兵されている兵の中から技術者を退役させて下さい。これからの戦争は総力戦なので、技術者が必要になってきます」


刹那がそう答え、


「そうか。では、陛下ご決断をお願いします」


斎藤が天皇に採択を求めた。


「朕は、如月長官の言う事を全面的に支持しよう。それらを行わなければ日本に未来は無い。満州国との会談は、朕が行く事にする。中国に対しても同盟を結ぼう、後、大陸にいる兵士達に、現地人には針一本盗んだり、暴力を奮った者は厳罰に処すと厳命せよ」


「「「はっ!」」」


天皇がそう言い、御前会議は終了した。





それから1週間後、天皇が自ら満州国へ飛び、満州国執政である溥儀と会談を行い、日満議定書を白紙に戻し、新たに日満安全保障条約が締結され、関東軍は解体され、一部は日本に帰還したが、残ることを希望する者は、満州国軍に配属された。刹那の助言を受けて、無謀な作戦等を立案した司令官などは左遷された。


また、蒋介石に接触し、同盟を結びたい事を伝えると、蒋介石も納得し、接触から1週間後には、日中同盟が締結された。


結ばれた日中同盟の内容は以下の通り、




【日中同盟条文】


一.大日本帝国は、中国国民党を中国で唯一の政権と認める


一.大日本帝国は、中国国内の政治には干渉しない


一.大日本帝国は、国民党の要請があれば、共同で中国共産党に対処する


一.大日本帝国は、国民党に対して武器の提供を行う


一.中華民国は、大日本帝国軍の中国駐留を認める


一.中華民国は、満州国を認め、日本軍と共同で満州国に軍を派遣する


一.中華民国は、大日本帝国に対して石炭や鉄を輸出する




主に以上の事が条件で日中同盟が締結され、すぐさま、日本では変更が行われた38式歩兵銃が国民党軍に提供され、弾薬工廠も建設され、弾薬生産もできるようにした。そして、同盟締結により、中華民国政府は、国際連盟に満州国決議を依頼する事を取り下げた。


また、朝鮮も独立を宣言すると、朝鮮総督府を廃止し、朝鮮半島から日本軍は完全に撤退し、一部は、満州国軍を補佐する為に、満州に入り、残りは日本に帰還した。それと同時に、工場の技術者等が退役させられた。


国内でも、多くの改革が議会で提出された。


・治安維持法と特別高等警察の廃止


・男女平等の普通選挙の実施


・女性議員の承認


・農地改革・労働基準法の制定


等々、多数の法案が議会に提出され、他の政党や地主、工場主等が、反対していたが、天皇の一声により徐々に沈静化した。


このように、急に日本が対応を変えた事に、アメリカやヨーロッパの新聞では、この新しい政策に称賛する言葉が書かれ、最後には、「日本はアジアの盟主となり、後々我が国のライバルとなるだろう」と書かれた。


刹那「会議の筈なのに、話している人が妃奈と母さんしかいませんね」


小夜「そうね。今考えればその通りだわ。作者、一体どうなっているの?」


こうすけ「えっと・・・大人数を書く事に慣れないので・・・」


小夜「そんな事だろうと思った。で、何か言う事があるんじゃない?」


こうすけ「そうだった!この話の兵器集を新たに作ったので、兵器で気になった方が居たら其方をご覧ください」


刹那「そう言っても、まだ、瑞樹と羅刹しか出して無いですけどね」


こうすけ「うっ、直ぐに、新しく出しますよ・・・」


小夜「ご意見・ご感想御待ちしているわ」

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