第38話 動き出す連合軍
1942年8月25日
~アメリカ合衆国 ワシントンD.C. ホワイトハウス執務室~
「ミッドウェー島も落とされるとは一体どういうことだ!?」
ルーズベルトは執務室でマーシャルとキングを前にして怒鳴り散らしていた。
「キング!君は完璧な作戦を計画したと言っていたではないか!空母が3隻鹵獲される作戦が完璧だと言っていたのか!?」
「申し訳ありません・・・」
「謝罪の言葉はもう聞き飽きているのだよ!私が欲しいのはジャップを冷たい海の底に沈めたという勝利の報告だけだ!いいな!?」
「はい・・・」
キングの言葉に満足そうに頷くと、
「宜しい。では、今回の件は不問としよう。それでは早速、次の計画を教えてもらおうか」
ルーズベルトがそう言うと、キングが太平洋の地図を執務机の上に広げた。
「現在、わが海軍では2つの作戦が実行されています。一つ目は、我々の最重要拠点であるハワイの防衛強化です。大統領にも報告は上がっていると思いますが、ハワイ島要塞には、Mk.7 50口径18インチ3連装砲を中心とした艦砲を多数設置し、航空隊も陸軍や連合国に協力してもらって多数の航空機を派遣してもらっています」
キングの報告に、
「うむ。その報告なら私も聞いた。それと、もう一つの計画とは何だ?」
「はい。もう一つの計画は、ここ、ガダルカナル島に飛行場を建設し、太平洋におけるジャップへの反撃拠点とする計画です。既に計画は実行されており、海兵隊1個連隊と、海軍建設大隊が現地に入り、飛行場が完成しています。現在、ワスプとレンジャーが、ガダルカナル島航空隊を移送しています」
キングの言葉を聞き、
「そこを反撃拠点にして何処を狙うつもりだ?」
「第1目標は、ジャップの航空隊がいるラバウルです。第2目標としてポートモレスビー攻略作戦も現在立案させています」
「それは分かったが、F6Fの航続距離は足りるのか?それに、攻撃する機体は如何する?」
ルーズベルトの問い掛けに、
「F6Fに増槽を取り付けたらラバウルまで航続距離が延びます。攻撃する機体もB-17、B-24が30機ずつ合計60機が飛行場に待機しています」
「それは本当に成功するのか?」
ルーズベルトが訝しげな視線をキングに向けた。
「大丈夫だと思われます。この作戦は今日初めて表に出しました。暗号通信も行っていないので、ジャップには察知されていません」
「そうか、それなら大丈夫そうだな。陸軍は如何なっている?」
「はっ、現在陸軍としては、ハワイに部隊と航空隊を派遣している所です。ガダルカナル島の拠点が本格的に動き始めたら陸軍も増援を派遣する予定です」
マーシャルの言葉にルーズベルトは満足そうに頷いていると、
「し、失礼します!緊急の報告です!」
大統領秘書官が慌てて執務室に入って来た。
「騒々しいぞ!一体如何したんだ!?」
キングが秘書官を怒鳴りつけた。
「き、緊急の報告です。ドイツ・イギリス連合軍がソ連に侵攻を開始しました!」
「何だと!?それは本当か!?」
「はい。。今日未明にドイツ軍300万、イギリス派遣軍25万が対ソ連作戦バルバロッサを発動。現在、スターリングラードへ向かって快進撃を続けているという事です。また、ドイツ軍は新型の中戦車、重戦車を実戦配備したと駐独大使から報告が来ました」
「ドイツが動き出しましたな・・・」
マーシャルが冷静に告げる。
「そうだな・・・大統領、我々も支援を行いますか?」
キングの言葉に、
「うむ・・・我が国は弾薬や防寒装備の提供を行おう。部隊の提供は今の段階では厳しいからな」
ルーズベルトの言葉にキングとマーシャルの2人も頷く。
「それでは今日はこれまでとしよう。良い報告を期待しているよ」
「「了解しました」」
ルーズベルトの言葉に頷くと執務室を後にした。
2週間後、アメリカはイギリス、ドイツ軍に弾薬と防寒装備の提供を打診し、大量の弾薬を手にしたドイツ・イギリス連合軍は各戦線で快進撃を続けていた。
8月29日
~大日本帝国 東京 大日本帝国軍統合本部会議室~
「まさかこの時期にドイツがソ連に侵攻するとわな・・・」
堀がそう呟くと、
「ドイツ軍だけでは無い。イギリス軍25万とアメリカの膨大な物資もオマケでついて来たからな」
永田が付け加えるように言う。
「刹那君、この戦いはどう転ぶとみている?」
堀が向かいの席に座っている刹那に尋ねた。
「多分、ドイツが勝利するでしょう。史実のバルバロッサ作戦と違って大量の兵力と物資があります。史実よりも早くソ連は降伏するのではないかと・・・」
「困ったものだな。やっと、中国軍と満州国軍の近代化が始まったばかりだと言うのに・・・このままでは、大陸に派遣する増援も考えなければならん」
永田がそう言うと、
「執行部の報告では韓国にも怪しい動きがあるらしい。海軍も日本海に兵力を割かなくてはならないな・・・」
堀も苦い顔をして呟いた。
「取り敢えず、警戒を続けましょう。何かあれば、我々独立連合艦隊も直ぐに向かいます」
「そうだな。それで、刹那君達の次の目標はガダルカナル島だったかな?」
堀が刹那に尋ねる。
「はい。既にラバウル方面が空襲を受け、これを迎撃したと報告が入りましたから」
「史実の我々の様な事をしているなアメさんは」
堀の言葉に刹那も苦笑する。
「そうですね。我々もガ島を餓島にしない様にしなければなりません」
刹那の言葉に2人が頷く。
「では、刹那君も準備があるだろう。今日はこれまでにしよう」
永田がそう言い、刹那は統合本部を後にした。
9月1日
大日本帝国 硫黄島 独立連合艦隊特務軍港~
~独立連合艦隊 旗艦瑞樹~
「長官、瑞樹の出撃準備が完了しました」
「全戦隊の出撃用意整いました。命令があればいつでも行けます」
琴音と小夜の言葉に頷き、
「硫黄島コントロールに通達。水門開け。独立連合艦隊出撃!」
「出港用~意!」
刹那の言葉を受け、琴音が艦内マイクで出港を告げる。
「出港用~意。舫い放てー!」
「全戦隊出港。打ち合わせ通り、第1駆逐戦隊から外洋へでよ!」
刹那の命令通り、硫黄島を囲っている防壁の水門が開き、各艦が打ち合わせ通りに外洋へ出て行く。
「全艦硫黄島軍港を出港。外洋へ出ました」
電測員の言葉に頷き、
「針路をガダルカナル島へ機関第二戦速、両舷一杯」
「了解。全艦、機関第二戦速。進路をガダルカナル島へ向けよ」
小夜が復唱し独立連合艦隊は、かつて餓島と呼ばれたガダルカナル島へ向かった。
F6Fの航続距離足りたかな?
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