第2話 艦隊建造状況
刹那達に艦隊設立が打ち明けられてから1週間後
~横須賀 如月重工地下ドック~
この日、刹那は母である小百合に連れられて地下ドックを訪れていた。
「それにしても何時こんな地下ドックを制作したの?母さん」
エレベーターに乗り地下に降りている時に、刹那は小百合に聞いた。
「8年ぐらい前かな・・・政府から『有事の際でも兵器を開発出来る場所を作ってほしい』ってお願いされたの。さっ、着いたわよ」
小百合の言葉と同時に、エレベーターの扉が開いた。
「これが、太平洋艦隊所属の全艦・・・」
刹那の目の前には、めざしの様に並べられた艦艇群が広がっていた。
「完全に艤装まで終わった艦は、地上のドックに入れているけどね、まだ、駆逐艦とかはまだ完全に艤装を終えてないから此処に入れて最終調整を行っているの」
艦艇群を見て呆気に取られている刹那に対して小百合が説明をしていた。
「皆さん、調子はどうかしら~?」
刹那と小百合はドックに降り、小百合が工員の一人に話しかけた。
「あぁ、社長・・・と、お嬢様!?」
「どうもお久しぶりです。岸田さん」
「おい、皆!お嬢様だ!刹那お嬢様が御出でなさったぞ!」
小百合が声を掛け、刹那の訪問に驚いているのは、この艦隊の建造主任である岸田聡史である。
「お久しぶりです、刹那お嬢様。しかし、何故ここに?」
岸田が不思議そうに尋ねると、
「あぁ、言って無かったわね。この艦隊ね、刹那が預かる事になったのよ♪」
小百合がそう言うと、
「本当ですか!?おめでとう御座いますお嬢様、いや、刹那長官」
「有難うございます」
刹那がお礼を言うと、小百合が続けて、
「だから、刹那が率いるのに相応しい艦隊にしなきゃだめよ」
小百合がそう言うと、
「勿論です社長!絶対お嬢様に相応しい艦隊に仕立ててやりますよ!いいなお前等ー!!今までの10倍はやる気を出せーー!!」
「「「「「「おぉーー!!」」」」」」
岸田の言葉で作業をしていた工員の全員が拳を上げ、雄叫びを上げた。
「お、お願いしますね・・・」
「じゃあ、後は宜しくね~」
刹那は若干引きながら小百合と共に地下ドックを後にした。
~如月重工 地下ドック応接室~
「艦隊を見た感想は?」
刹那は執務室に備え付けられたソファーに座りながらお茶を飲んでいると、小百合が笑いながら尋ねて来た。
「凄いとしか言いようがないよ。母さん・・・」
刹那は少し呆れながら言うと、
「そうでしょ。この会社の持てる全ての技術をあの艦隊につぎ込んだからね」
小百合が自慢するように言い、
「後、2週間で全艦が完成して、海軍に全艦納入できるけど、人員の確保は出来ているの?」
小百合が心配するように言うと、
「大丈夫。全艦に配属する人達は確保しているから」
刹那がそう言うと、
「そう。後、性能表と海兵隊に配備する兵器表も総司令から貰ったと思うけど、今回の海兵隊には1個戦車中隊に試作戦車を配備しているの」
小百合がそう言うと、
「うん。昨日資料で見た。確か試製24式戦車だった?」
「えぇ、そうよ。世界初の電磁投射砲搭載戦車よ」
小百合がそう言うと、
「それで、それは何時納入するの?」
刹那が尋ねるた。
「艦艇と同じで2週間後には納入できるわ、それと、艦載機もね」
「艦載機って、F-22とF-35をベースに作った制空戦闘機と戦闘攻撃機?」
「えぇ、最初は渋ると思っていたけど、ロッキード・マーティンもすんなり承諾してくれて助かったわ」
「そう、それじゃあ、私は基地に戻るね」
「えぇ、艦隊の完成を楽しみにしといてね」
そう言って、刹那は、小百合と別れ、如月重工のドックを後にした。
~日本国海軍太平洋艦隊地上司令部~
刹那達に総司令から艦隊の事を打ち明けられてから3日後、日本政府は新たな艦隊―-日本国海軍太平洋艦隊の設立を宣言、横須賀を母港とする事も決定し、横須賀基地の、全てを太平洋艦隊専用にし、陸上には地上司令部が建てられていた。
「おかえり刹那、艦隊の状況は如何だった?」
長官室に入っていきなりソファーに座っている小夜が尋ねて来た。
「後、2週間で全ての艦の艤装が終わるみたい。海兵隊の装備、艦載機もその時に納入するらしい」
「ふ~ん」
刹那の言葉に小夜が頷く、
「小夜、あなたが見てきた艦載機のパイロット達の様子は如何なっているの?」
と、今度は、訓練を行っている海軍空母航空団(アメリカから中古の空母を購入し、訓練空母として使用)を視察して来た小夜に尋ねた。
「そうね・・・皆若いけど、錬度は高い。期待できる若鷲達よ」
「そう。でも、艦隊が出来てから3週間位は全ての訓練を終えるまで全艦で出港は出来なさそうね・・・」
刹那が報告書を見てそう呟くと、
「そうね。まずは、演習航海をして乗組員を艦に慣らさないと」
そう言って、二人は色々記載された書類を手に取り書類整理を始めた。
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