第1話 新設艦隊計画と級友
2025年9月12日
~横須賀日本国海軍総司令部 総司令執務室~
「はっ?司令、今何と仰いましたか?」
この日、刹那と小夜は、総司令から海軍総司令部に出頭するようにと命令を受けて、出頭し、現在執務室で、総司令と話していた。
「だから、新たに艦隊を創設するからその司令官と参謀長に就任してくれと言ったのだが?」
総司令が何食わぬ顔でそう言ったが、
「何故、私達なのです!?他にも適任者がいるでしょうに」
刹那が総司令に詰め寄るようにそう言うと、
「君も分かっているだろうが、現在、日本国軍は年功序列制を廃止して、能力主義になった。そして、現海軍の中で1番の実力があるのは君達しかいないのだよ」
総司令の落ち着いた言葉に、
「で、ですが・・・」
「それに、私は、君の実力を買っているのだよ。頼む、この件引き受けてはくれないか?」
総司令にそこまで言われ、
「・・・分かりました。第1艦隊司令官如月刹那、新設艦隊司令長官の任をお引き受けいたします」
「同じく、第1艦隊参謀長更級小夜、新設艦隊参謀長の任をお引き受けいたします」
二人がそう言うと、
「有難う。昇進の通知は近日中に第1艦隊司令部に送っておく。後、紹介したい人たちがいるんだが呼んでも良いかな?」
「「はい、良いですが・・・」」
総司令は刹那たちが頷くのを確認すると、
「入って来ても良いぞ」
と、扉の外に声を掛けた。
「「「失礼します」」」
「琴音!?それに、一真に詩織も!?」
執務室に入って来たのは、国防学校時代の同期で親友だった葉山琴音、柳瀬一真、加藤詩織だった。
「三人とも何で此処に?」
小夜が尋ねると、
「んっ?聞かなかったのか?俺達も新しく設立される艦隊にスカウトされたんだよ。俺が砲術参謀、琴音が刹那達や俺達が乗る旗艦の艦長、詩織が艦隊に配備される海兵師団の師団長って言う感じで」
と、一真が小夜の疑問に答えると、
「司令、これは如何いう事ですか?」
刹那は再び総司令に詰め寄っていた。
「い、いや、君達の代の国防大卒業生はそれぞれの分野に優秀な人材がいたからな、三人は、私が直々にスカウトしに行ったんだ」
総司令の答えに、
「そうですか・・・また、これから宜しくお願いしますね三人とも」
「おう!こっちもな!」
「えぇ、また宜しくね刹那」
「頑張りましょ」
「はぁ~、また、忙しくなりそうね・・・」
刹那が三人に向き直りそう言い、一真、琴音、詩織もそれぞれ答え、小夜はまた忙しくなりそうだと溜息をついていた。
「それで、顔合わせも済んだ所で、これが、君達に託す新鋭艦隊の詳細だ」
総司令がそう言い、机から1枚の紙を取り出した。
【日本海軍太平洋艦隊編成】
瑞樹型戦艦 8隻
羅刹型巡洋戦艦 8隻
蒼穹型航空母艦 8隻
夜露型駆逐艦 35隻
桔梗型強襲揚陸艦 6隻
桐壺型多目的輸送艦 40隻
水篶型補給艦 20隻
月琴型病院船 3隻
玉葉型野戦工廠艦 4隻
斑葉型大型自走ドック艦 6隻
音金型中型自走ドック艦 8隻
「これが建造している艦隊の全容ですか?」
紙を見て刹那は総司令に尋ねた。
「あぁ、そうだ」
「しかし、これ程の艦隊を建造しているという情報はどこからも入っていませんが?」
小夜が尋ねると、
「それはそうだろう。何せこの艦隊は極秘で、しかも地下ドックで建造していたからな」
「「「「「えっ!?」」」」」
「紹介しよう。この艦隊の建造を行ってくれた人物だ」
そう言うと、総司令は立ち上がり、扉の前まで行き、扉を開けた。
「はぁ~い、皆さん♪」
入って来たのは見た目20代後半ぐらいの妖艶な女性だった。
「「「「えっ!?」」」」
「えっ、母さん!?」
執務室に入って来た女性を見た瞬間、小夜達4人は疑問と驚きの混じった声を上げ、刹那は驚きの声を上げた。
それもその筈である。入って来た女性は、刹那の母親で、如月重工業2代目社長である如月小百合だった。
「改めて紹介しよう。今回、新設艦隊・・・正式名称日本国海軍太平洋艦隊の全艦の建造を引き受けてくれた如月重工業社長如月小百合さんだ」
「お久しぶりね、小夜さんそれに、琴音さん一真くん詩織さん」
「「「「お久しぶりです小百合さん」」」」
4人に挨拶を済ますと、小百合は刹那に向き直り、
「元気だった刹那?」
「うん、大丈夫。だけど、艦の建造を引き受けたって如何いう事?」
「3年前からこの艦隊建造を海軍上層部からお願いされてね、私達が持つ地下ドックで建造していたの。大規模な地下ドックを持っているのは私達だけだから」
「そうだったんだ・・・それは、そうとしてどれ位今完成しているの?」
「ん~・・・7割位かな?殆どの艦はあと弾薬を搬入するだけだから」
小百合の言葉に刹那は一瞬呆れた表情になったが、
「そう、じゃあ、後は納入するだけなのね」
「そうよ。私達一部の工員も行くけどね♪」
「はぁ!?」 「「「「えっ!?」」」」
「書いてあったでしょう、野戦工廠艦と自走ドック。あれに、私を含めた工員の精鋭が乗り込むのよ♪」
「もう驚くのも疲れました・・・そうなんだ。じゃあ、最後の仕上げ宜しくね」
「任せときなさい。私の娘が乗艦するんだもの立派な艦にするわよ♪」
そう言って、小百合は意気揚々と執務室から出て行った。
「と言う事だ。君達も艦隊を、日本を頼んだぞ」
総司令にそう言われ、
「「「「「了解!」」」」」
刹那達5人は総司令に敬礼をして、自分の配属先に戻って行った。
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