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第9話 新型機と対策

皇紀2659年(1939年)4月10日


~横須賀特務地区 特務工廠 エプロン~


この日、刹那と小夜は数年前から稼働している特務工廠を再び訪れていた。


「これが、新しい戦闘機ですか・・・」


刹那達の目の前には、1機の戦闘機が駐機していた。


「はい。如月技術中将達の技術を使い制作された12試艦上戦闘機です」


刹那達の横に立ちそう言うのは、12試艦上戦闘機・・・後に『零式艦上戦闘機』と呼ばれる戦闘機の生みの親である堀越二郎だった。


「堀越技師、詳しいスペック表はありますか?」


「はい。此方をご覧ください」


小夜からそう言われ、堀越は、A3のプリントを刹那と小夜に手渡した。




【十二試艦上戦闘機(A6M1)】

全長 8.79m

全幅 12.0m(折り畳み時6m)

全高 3.49m

全備重量 2,343kg

発動機 焔12型(1,300馬力)

最高速度 573km/h(高度3,800m)

上昇力 5,000mまで5分52秒

航続距離 2,100m(増槽無し)

     2,800m(増槽有り)

武装

機銃 九九式三号20mm機銃 2門

   九八式三号12.7mm機銃 2門

爆装 60kg爆弾 2発

乗員 1名




「成程・・・一番懸念された防弾装備や急降下性能については如何なっていますか?」


「ご安心ください如月長官。勿論考慮しております。コックピットには防弾ガラスを、機体にも装甲を施して、燃料タンクにも自動消火装置を設置して、史実では不可能だった急降下も出来るようになっています」


「そうですか。では、始めて下さい」


堀越からの説明を聞き終わり、刹那が一言そう言い、駐機している十二試艦上戦闘機にパイロットが乗り込みテスト飛行がおこなわれた。


「流石私達の時代の技術を盛り込んだだけあって高性能ね」


小夜が飛行する十二試艦戦を見ながらそう言うと、


「そうですね。でも、まだ改良の余地がありそうですね、堀越さん」


刹那が堀越の方を向きそう言うと、


「そうですね。まだまだ改良の余地がありそうです。取り敢えず、12機を試作して、1ヶ月後に起こると予想されるノモンハン事件に持っていきたいと思います」


この後、暫く堀越と会話を交わした後、刹那達は先程堀越も言っていた1ヶ月後に起こると予想されるノモンハン事件の対策を打つ為に開かれる会議に参加する為にMV-22に乗り新しく設立された大日本帝国軍統合本部(2・26事件後に設立)に向かった。





~東京 大日本帝国軍統合本部会議室~


地下3階に作られた会議室の中には、海軍代表として予備役から復帰した堀悌吉海軍幕僚長、山本五十六連合艦隊司令長官が、陸軍からは、永田鉄山陸軍幕僚長、石原莞爾少将(2・26事件後昇進)が座っていた。


「それでは、1ヶ月後に起こると予想されるノモンハン事件の対策会議を行うとしましょうか」


永田がそう言い、対策会議が始まった。


「それで、ノモンハンの状況だが、統合本部特務執行部(諜報部隊)の報告によれば、確かにソ連軍の機甲師団とモンゴル軍の部隊が集結しているらしい。この情報からも1ケ月後で無いにしろ侵攻して来るのは確実だろう」


石原の言葉に会議室いる全員が頷く、


「永田幕僚長、堀幕僚長、派遣する部隊の手配は完了していますか?」


刹那が尋ねると、


「あぁ、第3戦車師団を基幹に5個機械化歩兵師団、2個戦車師団の合計8個師団。総兵力12万人、戦車1400両が何時でも満州に派遣できるように待機している」


「海軍も、3個海兵隊3万人、戦車300両が待機している、刹那君の方の部隊はどれ位出すんだ?あれ程の威力を持っている部隊はまだ出したくないが・・・」


堀がそう言うと、


「はい。その意見は我々も同じで、派遣する部隊は、M777榴弾砲30門、99式自走榴弾砲20両、203mm自走榴弾砲15門の予定です。我々は、後方支援に徹します。詳しくは、更級中将がお渡しする資料をご覧ください。これに、私達の世界でのノモンハン事件でソ連軍が投入した戦力などが書いてあります」


刹那がそう言い小夜に目配せすると、小夜は持っていた資料を永田達に配り始めた。


「総動員戦力が23万、戦車など装甲車両は約1,000両か・・・」


手渡された資料を見て、思わず永田は呻いた。


「う~む・・・戦車の数は此方が勝っているが、総兵力は劣勢だな、陸軍12万に、海軍3万、満州国軍2万、中国軍2万の合計19万だ・・・さらに言うと、この戦いで主力は最新兵器を持つ我々日本軍になるから実質15万・・・堀、この差は航空機の爆撃で埋めるしかないな・・・」


「そうだな。山本の言う通り此方も十二試艦戦の他に、96式戦闘機を120機、量産が開始された96式陸上攻撃機100機を派遣しよう」


山本の言葉に頷き、堀がそう言うと、


「有難い。此方も97式戦闘機を120機、97式重爆撃機を80機派遣する予定でしたが、爆撃機の数に不安があったので助かります」


「これで、何とか差は埋められそうか・・・」


石原が堀達に礼を言い、永田が呟くと、


「はい。97式、96式戦闘機も96式陸上攻撃機、97式重爆撃機も史実と性能が違いますから、ソ連軍のI-16には十分対応できると思います」


刹那がそう答え、


「それでは、今日はこれで解散としよう」


と、堀がそう言い、対策会議は終了した。




対策会議から10日後、陸軍の大部隊を乗せた輸送船団が大連に到着し、その2日後に、海軍海兵隊、独立連合艦隊海兵隊も到着して両部隊揃った所で秘密裏に満州に入り、ノモンハンで防衛体制を整え始めた。


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