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第8話 2・26事件

1936年2月25日 19:30


東京湾


この日、独立連合艦隊第1,2,3戦隊と輸送船12隻は、訓練航海と称して、東京湾に停泊していた。


~独立連合艦隊 旗艦瑞樹 会議室~


瑞樹の会議室には、各戦隊司令だけではなく、独立連合艦隊海兵師団師団長である加藤詩織の姿もあった。


「皆さん、集まってもらった理由は分かっていると思いますが、遂に事件前日になりました。私達は、これを、絶対に鎮圧しなければなりません」


刹那の言葉に、会議室にいる全員が頷く、


刹那が言った事件前日とは、当時は、「不祥事件」、「帝都不祥事件」と呼ばれ、後に、「二・二六事件」と呼ばれる事になるクーデター未遂事件である。


「参謀長、閣僚達に対しての通達は?」


「既に、襲撃計画に入っている閣僚の人達には話をしているわ。昭和天皇にも話して、全閣僚を秘密裏に皇居に避難させているわ。警視庁にも連絡を入れて、新設された武装警備隊(SATと同じ部隊だと考えて下さい)が万全の態勢で待ち構えているから」


小夜の報告に、


「了解。首尾は上々と言ったところですね、加藤師団長、海兵隊の準備は?」


「はい。先遣隊である第1歩兵中隊、第2歩兵中隊、第3中隊が89式装甲戦闘車、96式装輪装甲車と共に、何時でも出動できるように待機中です。命令があれば、直ぐに配置場所である海軍省、軍令部、警視庁に向かわせます」


詩織の報告に頷くと、


「第2、第3戦隊も準備は完了していますか?」


「はい!第2戦隊準備完了しております!」


「第3戦隊も、何時でも行けます!」


第2戦隊の橋田妃奈中将、第3戦隊の佐田弘斗中将が答える。


「それでは、全員気を引き締めるように。これにて解散とします」


刹那がそう告げ、会議は終了した。


それから、数時間後には、海兵師団第1、2、3中隊が海軍省、軍令部、警視庁へと向かった。





1936年2月26日


~決起部隊~


「報告します!首相官邸他、襲撃予定者の自宅には、人一人いません!」


兵士の報告に、決起した青年将校達は動揺を隠せないでいた。


「何だと!?何故居ないんだ!?」


「計画がばれていたのか?」


「い、いや、そんな事は無い!計画は、極秘に実行した筈だ!」


青年将校達は、予想もしなかった事態に対処が遅れていると、


「ほ、報告します!警視庁制圧に向かった部隊からの連絡で、警視庁には、武装警備隊と海軍海兵隊(1934年に海軍陸戦隊から海兵隊に改称)約一個中隊が防衛線を展開して現在交戦中と言う事です!」


「なっ!?海軍海兵隊だと!?」


「ぞ、続報です!海軍海兵隊約一個中隊が海軍省、軍令部にも展開しています!また、海軍海兵隊の全部隊に戦車が3両、装甲車が数両配備されている模様!」


報告の兵は戦車と言ったが、実際は独立連合艦隊海兵師団が保有する89式装甲戦闘車だった。


「くっ!こうなれば、真崎大将に会い、我々の決起理由を話、説得してもらうしかないか・・・」


「そうだな。おい!兵士を集めろ!」


青年将校の一人が伝令兵にそう告げると、他の青年将校達も陸相官邸へ向かう為に準備を始めた。





~皇居~


「そうか・・・とうとうやったか・・・」


「はい・・・すみません。私達の手が及ばず・・・」


刹那は、SH-60Jに乗り、皇居で天皇に謁見していた。


「いや、刹那君達のせいでは無い。まったく、私の不徳の致すところだ・・・君達が居なかったら、此処にいる閣僚の殆どが生きていなかっただろう」


天皇がそう言って、席に座っている、岡田啓介、鈴木貫太郎、斎藤実、高橋是清、牧野神顕、西園寺公望を見渡した。


「そうです。刹那君達に責任はありません。史実では、死ぬはずの私達がこうして生きているのだから」


岡田がそう言い、他の閣僚達も頷く、


「そうだ。刹那君、自分を責めなくても良い。川島、陸軍の鎮圧隊の準備は如何なっている?」


天皇は、閣僚の席に座っている陸軍大臣である川島義之に尋ねた。


「はっ、既に、九三式中戦車を配備している第1師団に出動待機命令を発令し、命令があれば、直ぐに永田鉄山(相沢事件を阻止した為、生存)を戒厳令司令官、石原莞爾大佐を戒厳令参謀長として戒厳令司令部を立ち上げて鎮圧に向かうつもりです」


「そうか。ならば、出動命令を出そう。叛乱部隊への説得は、朕自らラジオの前に立ってしよう。では皆、準備に掛かってくれ」


「「「「はっ!」」」」


天皇が会議を終了させ、待機していた第1師団に出動命令が下り、史実と同様、軍人会館に戒厳令司令部が設置され、演習という名目で来ていた独立連合艦隊第1、2、3戦隊の戦艦が占領している一帯に照準を合わせた。こうして、決起部隊は正式に叛乱部隊となった。





~叛乱部隊~


「何故です!?なぜ我々は賊軍なのですか!?」


「我々は、この国の事を思って決起したんですよ!」


青年将校達は説得に来た真崎甚三郎大将に尋ねた。


「陛下の御裁断により君達が行ったのは、叛乱となった。直ちに、兵を引き上げて原隊に戻りなさい」


真崎はそう言うと、陸相官邸を出て行った。




「くっそ、俺達が反乱部隊だと!?俺達は、国の事を憂いて決起したのに!」


真崎が出て行った後、青年将校達は自分達が叛乱軍になった事に動揺を隠せないでいた。


「これから如何する?俺達は叛乱軍になってしまったんだぞ・・・」


「全部隊を山王ホテルに集結させてはどうだ?」


「それで如何するんだ?我々が叛乱軍と言う事に変わりは無いんだぞ」


「勝てば官軍、負ければ賊軍じゃないか!」


青年将校達が話し合っていると、


「ほ、報告します!我が部隊が占領している地域を第1師団所属と思われる九三式中戦車と歩兵が包囲しています!尚、警視庁に向かった部隊は、警視庁を占領できずに撤退しました」


そう伝えて来た伝令兵と入れ替わるように、


「報告します!ラジオにて、へ、陛下自ら我々に説得をしています」


「何!?」


青年将校達は慌ててラジオのスイッチを入れた。


『将兵に・・・乱・・・告ぐ。叛乱軍部隊全将兵に告ぐ。君達の行動は間違っている!朕は、このような行動は望んでいない。直ぐに原隊に帰順しなさい。君達が叛乱軍になる必要は無い。もし、原隊に帰順しなければ、鎮圧部隊である第1師団が攻撃を開始する。朕は、君達が抵抗もなく原隊に戻ってくれる事を願っている』


天皇の説得と同時に航空機によって『勅命下ル、原隊ニ戻レ』と書かれたビラが撒かれ、それから20分後には青年将校は第1師団に投降し、参加部隊は原隊へと帰順した。


こうして、クーデター未遂事件は早期終結した。


【クーデター未遂事件被害報告書】


死者 0名

負傷者 独立連合艦隊海兵隊 軽傷12名

    叛乱軍 42名

    警察 30名



こうすけ「やばいやばい!」


刹那「如何したんですか作者さん?」


こうすけ「書き貯めていたストックが尽きてしまった・・・」


刹那「大変じゃないですか!?来週は殆ど投稿できないんですよ!」


小夜「何で?」


こうすけ「えっと・・・修学旅行で、カナダに5泊7日してきます」


小夜「カナダ!?」


こうすけ「はい。だから、今週は一生懸命頑張っていたんです。でも、ストックが尽きたから明日投稿できるかどうか・・・」


刹那「次の話は、3年くらい飛ぶんですよね」


こうすけ「はい。そのつもりです」


刹那「ご意見・ご感想お待ちしています」

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