100年間開けられそうになった缶詰
『絶対に開かない缶詰を、100年開けようとする男』絶対に開かない缶詰を100年開けようとする男と101年目に意外すぎる「パカっ」が訪れる話なの
『神様はもう死んじゃってるんだよね』
『パンドラの箱、開いちゃってるんだよね』
『選別はもう始まっちゃってるんだよね』
単純労働をしているときに身についた特殊能力がある、最近見たテレビや過去の出来事を頭の中で反芻しながら突っ込みを入れるというものだ、するとあっという間に時間が過ぎてくれることがある。
神様よ死なないでくれと神に祈りたい気分である、退屈で死にそうだ。
洗濯籠くらいの大きさの缶詰を金属製の壁に押し当てる仕事をしながら(缶詰の蓋、開いちゃってるんだよね)とくだらないことを思い出しながら缶詰のエネルギーが金属製の壁を叩いている所を監視している、親父の時代まではこの缶詰を開ける仕事でバブルの時代だった。
原子力発電に変わるクリーンなエネルギーを世間が求めた結果、生まれたのがこの【パンドラの箱】である、世間はこの物体が世に出た時に箱ではなく缶詰ではないかと嘲笑した、しかし、衛星軌道に乗り大気圏で一年間流星になり続けた缶詰が開いた瞬間に世間は手のひらを返した。
開けようとした際のエネルギーを缶詰内部に保管して耐用年数の後開封するとエネルギーを発する特性は原子力発電にかわるクリーンなエネルギーの鞍替えとして最適なものであった。最近では[E缶]と呼ばれているらしい。
僕が見ているE缶は100年モノである。僕が生まれる前から昼夜を問わずハンマーや重機で何度も開封を試みられているため莫大なエネルギーを金属製の壁に放出している、このエネルギーがタービンを回して電力を供給する仕組みだ。
時間になったので交代員と引き継ぎをして別の現場に足を運んだ、誰にでもできる仕事である、神は死んでしまった、選別が始まったら真っ先に僕みたいな単純労働する存在が分けられるだろう、この現場では両腕と頭で空が落ちてこないように支えるだけの簡単な仕事だ。
終




