惹かれた日
初めまして、初作品ですので大目に見てください。
キーンコーンカーンコーン。
「はい、ということで説明はここまでにして、自己紹介でもしてみましょうか。えっと……まずは私からですね。青柳香苗と言います。新入生の担任を任されるのは初めてなので、よろしくお願いします」
そう言いながら、先生は黒板に名前を書き、教室を一度見回してから手を叩いた。
「じゃあ、申し訳ないんだけど、出席番号1番の天羽くんからでいいかな?」
俺からかよ。
内心でそう思いながらも返事をして、立ち上がる。
「大三中から来ました、天羽桔梗です。中学ではバスケをしていました。高校でも続けようと思ってます。以上です」
そんな当たり障りのないことを言って、席に座る。
そのあとも自己紹介は続いた。出身中学、趣味、入りたい部活。似たような内容が、ただ流れていく。正直、あまり頭に入ってこない。
(長いな……)
ぼんやりと教室を見渡したとき、ふと気づいた。
一つだけ、空いている席がある。
窓側の後ろ。机も椅子もちゃんとあるのに、そこだけ人がいない。
(初日から休みか?)
そんなことを考えているうちに、自己紹介は最後まで進んでいた。
「はい、全員終わったかな。今日は一人、お休みなので、その子はまた今度にしましょう」
やっぱり、か。
入学式から休む。そんな人の空席が、やけに気になった。
*
自己紹介が終わり、教室が少しざわつき始めたころ。
「よっ、お疲れ!」
後ろから肩を叩かれて振り返ると、そこには中学からの友人──佐藤雅が立っていた。
「相変わらず、つまんねえ自己紹介だったな」
「うるせえ。お前こそ適当だっただろ?」
「まあな。で、放課後どうする?」
「バスケ部の見学だろ? 約束してたし」
「だよなー。見学だけでも行こうぜ」
そのあと簡単な連絡があり、それが終わるとクラスは一気に動き出した。
「おーい、桔梗。体育館いくぞ」
雅はそう言って教室を出ていく。俺もそれについて廊下を歩きながら、ふと中学の時のことを思い出す。
部活も、友達も、勉強も。少し努力すれば、たいていのことはそれなりにできた。
高校生活も、きっとそんな感じだろう。適当にやって、適当に頑張ればいい。
*
バスケ部の見学は人が多かった。活気はあるけど、胸が高鳴るほどでもない。
「まあ、悪くないな」
それだけだ。
雅が誰かと話し始めたので、俺は一人で帰ることにした。
*
帰り道、道沿いの公園で桜が咲いているのが目に入った。
満開だった。風が吹くたび、花びらが舞っている。
気づけば、足が向いていた。
公園の中は静かで、遊具も使われていない。その桜の木の下に、一人の女子生徒が立っていた。
うちの高校の制服。靴の色も同じだ。
(……同じ学年か?)
あんな子がいれば、入学式で覚えていないはずがない。
銀色の長い髪。吸い込まれるような青い瞳。
彼女は、少し悲しそうに桜を見つめていた。
すべてを見透かすような青い瞳が、ゆっくりと俺を捉える。
そして、ほんの少しだけ──目が合った気がした。




