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甘田さん

本作品は闇バイトやその類、犯罪を助長するものではございません。実際にやると普通に捕まるから、ダメです。めっちゃダメ。


「店長、僕もう上がりの時間なので。」

「お、もうそんな時間か!バイトリーダーの甘田君が居てくれないと不安だな!」

「はは、そんな事言わないで下さいよ。優秀なバイトや社員さんが沢山いるじゃないですか。それじゃ、お先に失礼します、お疲れ様です。」

「あれ、甘田さんもう上がるんですか?早いですね?」

「ああ、本田くんお疲れ様。これから別のバイトがあるんだよ。」

「別のバイト?かけ持ちしてるんすか?何やってるんですか?」

「うーん、秘密。」

「ケチー!まあ今度また飯かなんか行きましょ!お疲れ様です!」


...ふぅ、表情筋が疲れるな。

ヘルメットを被り、バイクに跨る。


「はぁ、行くか。」


俺は今4つのバイトを掛け持ちしている。


両親が共に医者で頭脳明晰なのは見事に子に遺伝した。僕は才能に溢れていた、何をやっても満点の成績を残す。運動だって、勉強だって、もちろんコミュニケーションまで。


親が医者だと金には困らない。だが両親の教育方針で大学のうちは社会勉強も兼ねてアルバイトをさせるためにお小遣いなしの学費も自分で払えとの事だ。それに一人暮らし。


まったく、入学後にそんなこと言われても困ってしまう。大学の退屈な講義中はずっと本を読んでいるのだが、小さい頃に会得した速読技術のせいで大抵の本は10分もあれば読み切ってしまう。記憶力が良いせいで1度読んだ内容は忘れないとかいうありがた迷惑すぎるおまけ付きで。


なので本や諸々のお金を払うのにお金が足りないのでこうしてバイトを掛け持ちしている。


能力が高いとあらゆる場面で有利だ、現に俺は4つの全てのバイトでバイトリーダーを任されている。

責任が少し重くなる分給料も上がる。

他の人間のゴミみたいなミスで怒られるのは少し癪だが、給料の為なら我慢してやらんこともない。


「甘田さん!ようやく来た!やばいっすよ、マジで!マジでヤバイです!」


ヤバイのはお前の頭だ


「どうした、一旦落ち着け田中。何があったんだ?」

「あ、あの、ええと。山田のやつがなんか、いつも通りやってたら、あの、見られて...それで、そのまま攫ってきちゃったんですよ!」


このバカが言ってる事は多分こういうことだ、

『山田という下っ端バイトがいつも通り受け子をやっていたら、それを別の人間に見られて通報されそうになり、パニックになって誘拐した。』というところだろうか...


「は!?バカなのお前!?」

「俺じゃないっすよ!山田っすよ!」

「山田ってやつはどこにいる、話を聞かせろ。」

「山田ゲロったんで帰しましたよ!」

「は!?バカなのお前!?...まぁいい、呼び戻しとけ、今すぐ来いって。」

「あ、はい。あでも、あいつ相当気が滅入ってて...多分来ないと思いますよ...」

「知らん、家族の連絡先も入ってるだろ脅してでも呼び戻せ。」


チームは1つでも歯車がバカになってると機能しない。昔からそれは至る所で感じていたけれど、これほどのことは初めてだ。歯車の代わりにガムでも詰めといた方がよっぽど楽に機能しそうだ。


「その攫ってきたってやつはどこにいるんだよ。」

「倉庫の中にガムテープで口塞いで結束バンドで縛って置いてます。」

「おけ、やるやん山田」


うちの事務所は上の人間が所有しているビルの3階に有限会社として置かれている。あまり大きくはないが、仕事の内容上あまり大きくても意味は無い。

倉庫に向かいドアの前に立つ。基本倉庫には何も無いがたまにここでお昼を食べる馬鹿野郎がいるのでその度に自分の家かデスクで食えと注意している、馴れ合いはいらない。

ドアノブに手をかける、どんな野郎がいるんだ。明らかに面倒臭いことに首を突っ込んでくる正義感の強いアホだ、まず男だ。そんなことを思いながらドアノブをひねる。


「...は?」


そこには驚きと恐怖が混ざった顔をする...

「子供かよ...」


少女がいた。

そこには恐らく小学3年生くらいの女の子が地べたに座っていた。


「可哀想に、ごめんな。多分上に報告したらお前は女or子供として売られるか臓器として売られるかの道を辿る。けれどそれがルールなんだ、ごめんよ。」


口に貼られたガムテープを剥がす。


「あいつ、意外としっかりしてるな。」


ガムテープは二重に貼られていた。もう1枚剥がす。


「っはあ!わああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

「叫んでも意味ないぞ、ここは3階、窓は防音防弾、部屋は全部屋防音設計だ。どうだ、しっかりしてるだろう?」

「なあんだ、じゃあもう無理か。おじさん、私お腹すいた!ピザ食べたい!ピザ!」

「バカかお前、今の自分の状況分かってるのか?」

「お腹すいて死んじゃう!あーあ!私を死なせていいの?私死んだらおじさんめんどくさいんじゃない?」


その通りだ、上からの指示がない限りここで起こしたことは全てここの事務所の人間の責任。バイトリーダーである俺には多少重めの罰があるだろう。しかも女の子が死んだとなれば...間違いなく俺も一緒にお墓行きだ。


「まぁまずお前にも俺にも墓は用意されないだろうけどな」

「...なんの話?それより私チーズ!チーズいっぱいのピザがいい!」

「はぁ...わかったようるさいなぁ...」


俺は倉庫から出て電話をする。


「もしもし?あ、はい、チーズのヤツで、はい、はい、住所?あー田苑ビル前に来てくれれば、はい、はい、ありがとうございますすみません失礼します。」


ふぅ、全く面倒な子供だ。というか子供を攫ってくるなんて本当に何を考えているんだ山田とかいうアホは。

そんなことを思いながらドアノブをひねる。

扉を開けると


「...おい?どうした?何してる?...?おい?...おい!?」



少女は地面に横たわっていた。


作者は作品に出てくる大体のものを経験していないのでほとんど勘です。どうかエンタメとして優しい目で見てください。

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