第二十七話 抑えきれない気持ち
宿屋に戻る途中
「おい!何座ってんだ!立て!動け!働け!」
一人のスキンヘッドの男が小さな女の子に向かってムチで攻撃していた。
「イタイ!いや!足が痛いの!」
女の子は嫌がって居る。
「あのやろ!」
「待って!だめ!助けちゃ!」
メルが止める。
「な、何で」
「助ければ貴方も彼らと加担したとして、あの子達のようになる。
助けちゃだめなの」
メルは言う。
くっ!だけど!
小さい女の子が泣いているのに立ち止まって見ていることしか出来ない。
周りの大人も見てみるフリ。
ぼ、僕は!たとえ何があろうと!
?!
「こ、コイツ!?な、何だ!」
僕は女の子の前に一瞬で移動し
「ふっ!」
ごふぅ!
男を殴り吹き飛ばす。
あ!
「ぐっ!き、貴様!何をする!お前もコイツラと同じ事になるぞ!
謝れ!」
男は立ち上がり僕に向かって言う。
「目の前の小さな女の子が悲しんでいるのに助けなきゃ男じゃない!
僕は、桜田洋平!桜田竜馬の息子だ!」
な、何!?
え!?竜馬様の息子!?
民衆がザワつく。
「お、おい貴様!竜馬の息子だと!?ふざけたことを抜かすな!
うおー!!!」
男は剣を抜き襲い掛かる。
街中だ、威力は抑えめだが一つに集中させれば!
「ストーム!!!」
「ぐわあああー!!!!」
洋平から放たれたストームは男を安々と吹き飛ばす。
「洋平くん!何してるのよ!貴方、この子達みたいになるのよ!」
メルが駆け寄ってくる。
「メル!僕は女の子を見捨てるほど、心は腐っていない。
この街が腐っている、この街は浄化する必要がある。
だから、元凶の者を叩きのめす」
僕はそう答える。
すると
パチパチパチ。
拍手をしながらこちらに歩いてくる男。
貴族のような服、金髪の髪。
「あ、あの人は!?」
メルは後退りする。
メルが後退りする、ということは。
「君、やるね!僕の手下をこんな事してどうなるか分かっている?」
男が言う。
「お前、この街の代表だろ?名前は?」
僕は男に向かって聞く。
「まずは君からだろ?」
男は言う。
ちっ。
「僕は桜田洋平、桜田竜馬と巫剣萌夢の息子だ」
僕はそう答える。
「くっはははは!洋平くんか。
僕はエリック・パーカ、君の言う通り街の代表さ。
それにしても、君、竜馬さんの息子だと言っているのか?
嘘は良くないよ?」
エリックは言う。
「なら、見せてやろうか?確か剣技が強いって言われていたんだよな?
やり合うのか?この街で?」
僕はエリックに向かって言う。
「へぇ~、でもさ!周り見てみなよ!」
?!
そこには拘束されるメルが。
「貴様!」
「おいおい、攻撃したらどうなるか分かるよな?」
エリックは言う。
ちっ、ゲスのやることはホント嫌だよ。
「さてと、今からお前をいたぶる。
反抗したら君の奥さんが殺される、分かるよね。
反抗するなってこと、嘘つき息子さんに死刑ってことだ」
エリックはそう言い剣を抜く。
「くっ!人を殺せばお前は捕まる!そして牢屋の中だ!
後悔するぞ」
僕はエリックに向かって言う。
「ざんね〜ん、僕は牢屋には入らないよ。
だってこの街の代表だよ?代表はね?
捕まらないんだよ?何をしても、何をしでかしても。
例え、子供を殺してもね」
エリックは言う。
「クズ野郎が!それでも人の心はあるのかよ!」
僕は言う。
「あるさ、じゃあそこの男に聞いて見る?おい、そこの男。
僕は悪いやつじゃないよな?」
エリックは一人の男に向かって聞く。
「は、はい。
エリック様はいい方です」
男は言う。
「ね?言ったでしょ?僕は悪い子じゃないって」
エリックは言う。
「恐怖と支配で人の心を蝕むなんて、人として終わっている。
いずれ、苦しむことになるぞ」
僕はエリックに向かって言う。
「あ〜はいはい。
そう言う綺麗事はさ言わないほうがいいよ、ムカつくんだよね。
そう言うヤツ、君みたいな冒険者も居たよ腹立つくらいにね。
そう言うヤツはさどうなったと思う?」
エリックは僕に近づき聞いてきた。
「殺したんだろ?その剣で」
僕はエリックの目を見ながら言う。
「正解〜、よくわかったね」
エリックは僕から少し離れる。
「最低だな、邪魔者は消すって訳かよ。
だから、僕も殺すんだろ?邪魔だから」
僕はエリックに向かって言う。
「ふふふ、いい知識を持っているね。
そうだよ、君はここで僕の手によって殺されるんだ。
君の妻も子供も街の人から見られながらね」
エリックは言う。
「さ、話は終わりだよ竜馬の息子さん。
死んでもらうね」
エリックは剣を構えた。
クソ、動けばメルが死ぬ。
しかもさっきの女の子までも人質かよ。
死ぬしか無いのか?ここが僕の終着なのか?
ちくしょう!メルのいう事を聞いていればよかったのか?
だけど、僕にも僕なりの正義がある。




