イタリアにて買ったパスタソースでパスタ作るだけぇぇ!!
「これが・・イタリアーーン!パスタソーースか」
俺は家のキッチンで1人テンションが上がってしまっている。年甲斐もなく、まるでおもちゃを買ってもらった子どもような高揚感で溢れている。
理由は簡単。俺は先日イタリアに旅行へと行っていた。現地のスーパーマーケットに立ち寄った際にあるものを見つけたのだ。それがこのパスタソースというわけだ。
「トリュフ入り・・素晴らしい」
流石はパスタの本場。トリュフの香りの強さからするに、かなりのトリュフが使われているのではなかろうか。パスタソースへの妥協は一切ないのだろう。こんなにふんだんにトリュフを使ってしまうと、日本ではとんでもない高値になってしまう・・・。
ただ、厳密にはパスタソース専用のものではない。スーパーマーケットの販売員曰く
「これは何にでも合わせて大丈夫です。パンに塗って焼くのは美味しいですし、クラッカーに乗せてアフタヌーンティーのお供にするのもいいです。でも、一番のおススメはパスタにこれとオリーブオイルを混ぜて食べることですよ。お兄さんどうだい?」
「買います!」
現地で即決してしまった。あの販売員の売り方が上手かったのが悪い。あんなの言われたら買ってしまうに決まっている。
「見た目は何ともいえない不思議な感じだよな~」
いわゆるパスタソースのような液体状のものではない。ペースト状に近いはず。これで想像すれば過度な見た目の食い違いは起きないはずだ。そして、色はバジルが入っているので緑っぽい。こんなものパスタに混ぜたら美味しいに決まっている。
「では、早速・・パスタを茹でる準備!」
俺は勢いよくコンロの下にある収納を開け、鍋を取り出した。他の調理器具と当たってしまい、甲高い音が鳴り響く。そんなことはお構いない。これから食べるパスタのウキウキを前にすれば、そんな音は耳障りにもならない。
「水!」
(ジャーーーーーー(水の音))
「容量充分!」
水の入った鍋をすぐさまガスコンロにセットした。
(チチチチチチ・・ボッ(ガスコンロの音))
鍋に入っている水というのは中々簡単にはお湯にならない。この待ち時間というのはどうももどかしい。だが、魔法使いでもない俺は様々な法則を無視して水をお湯に即変換することは不可能。大人しく待つ。
「お、パスタの用意~」
パスタの乾麺を取り出し、パスタメジャーで1人分の分量を計量する。パスタメジャーもイタリアで買ってこようか悩んだが、冷静に考えると日本のパスタメジャーと差異はないと気づいたため、買わなかった。旅行気分というのは恐ろしい。危なく何も考えずに買うところだった。しかも、パスタメジャーに関しては家に二つも必要ない。一家に1つでいいものなのだ。
「オリーブオイルとか出さねば!」
パスタ作成に必要とされたオリーブオイルを取り出し、あとはボウルとザルも用意。完全に準備万端にしたところでお湯が沸騰しだした。
(グツグツグツグツ(沸騰音))
「よし!麺投入!」
無事に麺を投下し、7分間待つことになった。
「・・・・・・」
(グツグツグツグツ(茹でる音))
「・・・・・」
(グツグツグツグツ(茹でる音))
「いや、暇!」
ただただ定期的にパスタを混ぜながらひたすらに待つこの作業。いつも何していいかわからない。スマホいじる時間にしては短いし、目を離すのもどうかと思う。
難しい判断だが、今回は炭酸飲料でも飲んで待つことにする。
俺はすぐさま冷蔵庫から炭酸飲料を取り出した。
(プシュッッ!!(炭酸音))
「ゴクッッ・・ゴクッ・・プハァァ!!!美味い!」
開けたての炭酸というのは非常に身体に染みる。頭がキーンとなるようなあの感覚も炭酸ならではではなかろうか。それが俺は好きだ。
「そろそろか」
俺は出来上がったであろう面を見て、状況を確認して火を止めた。
そして、熱くなった取っ手に注意を払いながら、台所に用意したザルへ麺を移動させた。
「おっと…熱い…!」
ザルへと移動したパスタからの攻撃「湯気」だ。毎回やられるが、こんな攻撃痛くも痒くもない。
(サッ!サッ!(湯切りの音))
水気を取ったパスタは今度はボウルへ。
ここからが1番の楽しみだ。用意したオリーブオイルをまずは大さじ1杯ボウルにいれる。
そして、イタリアンパスタソースの蓋を開ける。
(パカッ!(蓋開閉音))
「匂いが凄い」
食欲をそそるいい匂い。これをいざボウルへ。
だが、分量が分からない。パッケージ等全てイタリア語で書かれているため、読んでも分からないし、そもそも「pasta」の記載があるようにも思えない。困ったものだ。
「目分量ヨシ!」
こういう時は目分量でどうにかなるだろう。
多分。
俺は先程使った大さじを洗って再び使用することにした。
「大さじ1.5…にするか」
恐る恐るイタリアンパスタソースから大さじ1杯分を先にとり、その後大さじ半分をボウルに入れた。そして、しっかりと混ぜた。
「これちゃんと混ざってんのか?」
ペースト状であるが故に、上手く混ざったかどうか見た目での判断が難しいのだ。
だけれども、匂いはする。
トリュフの匂いのはず。
トリュフ食べたことないけども。
「まぁ…匂いするし…食べる!」
いざ、実食
俺はルンルンで皿にパスタを盛り付け、フォークを取り出し席へ。
「いただきます!」
(モグモグ(食べる音))
「!?」
「…!?」
「…?」
出てきた感想は一つだった。
それも衝撃の一言。
「味の無いパスタなんだが!?」
とりあえずもう一度言おう
「味の無いパスタなんだが!?」
俺はどこかで何かを間違えたらしい。
出来上がったのは匂いはするが味のしない…言ってみれば美味しくないパスタが出来上がったのだ。作る前のウキウキは急降下し、無念の心で一杯になった。
パスタに味がしなかった理由
・分量が少なかった
・そもそもトリュフは味ではなく香りを楽しむもの。足があまりしないのは当然
・恐らく他に何か味のあるものと混ぜることでより美味しくなるものだと考える