表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/60

第9話、速度改変チート

挿絵(By みてみん)


「時雨ちゃん! ヤバイ! 

 ジャックボット! で、で、出た」


 マイクをオンにして叫ぶ。

 時雨ちゃんに伝えないと!


「時雨ちゃん、聞いてる? 聞こえる?

 敵が出た! 真っ黒の! 人型の!

 時雨ちゃん、今どこ?」


 伝えたい事いっぱいあるのに


「時雨ちゃん?」


 返事がない。

 あれ、もしかしてこれ。


 嘘だと思われてる?


 え? もしかして、僕が時雨ちゃんの

 居場所を聞き出す為に、嘘ついてると

 そう思われて、無視されてる?


 ははーん。僕ならやりかねないねー。


「……ちょ、ヘコむじゃん」


 ジャックボットは、僕を見つけて、

 攻撃しようと近づいてくる。

 前回より早い。だいぶ早い。


 凹んでる暇はない。

 信用は、勝ち取るしかない。

 僕はブロックノイズスパムを

 立ち上げた。


 攻撃してくるジャックボットに、

 その腹に、右手を突き出した。


 バチンと効果音が鳴る。

 接触判定があるからだ。


 ジャックボットは、エフェクトだして

 後ろに倒れ込んだ。

 紫のノイズの飲まれて、かき消えた。


「とりあえず、一体……」


 ブツンと消えた場所を見下ろしてると


「ごめん! シカクたん☆」


 時雨ちゃんの通信が復活した。


「時雨ちゃん? 良かった」


「ごめん、マイクオフのままで!」


「え? ん?」


「だから、マイクオフなの気が付かずに

 ずっと喋ってたの! ずっと!」


「ちょ! あるある!」


 ドジっ子な時雨ちゃんも最高です。


「今、セナさんに連絡したから!

 周りのユーザーは逃がす。

 今回、退出は出来るわ。倒した?」


「1体は、ね」


 でも、それだけじゃ終わらない。

 ダイブゲートを作り出すチートが

 前回と同じなら、ゲートは12個。


「たぶん、あと11体いる」


 この、広い野外フィールドに、11体。


「時雨ちゃん、今、どこ?」


「真ん中、最初のスタート地点」


 おぉ! 遠くに逃げたと見せかけて、

 スタート地点にいるとか、意表!

 フィールドの1番真ん中、

 そこに、ユーザーも集まる。

 そして、ジャックボットも、集まる!


「僕もすぐ行く!」


 急いで、中央に向けて走り出した──

 ん、だけど……


「遅っ! 速度10 おっそ!」


 やばい、これじゃ、追いつかない。

 どころか敵を見つけても、逃げられる。

 中央までいけない。


「あぁ、もう仕方ない」

 これは使いたく無かったんだけど、

 ほんとしょうがない。


 ウィンドウを立ち上げる。

 用意していた、プログラムを叩く。


 バチッっと電撃エフェクトが現れて

 僕の周りを囲んでいく。

 同時に文字。


 〜この設定は安全基準外です

  それでも立ち上げますか?〜


「知ってる」


 OKボタンを押す、実行ボタンが出る。

 気合入れろ! ここからは、体力勝負!


 手を伸ばして、実行ボタンに触れた。


  〜run〜


 バチと電撃エフェクトが足に絡みつく。

 右上に文字。


 〜 Redy? 〜


「いいよ」


 一歩、足を踏み出して、移動入力した。


 〜 GO!!! 〜


 グオンと視界が揺れた。

 景色が真後ろに流れて、僕の身体は前に

 真っ直ぐ前に、すごい速度で流れる。

 高速で動いていく視界に、

 歯を食いしばった。


 これは速度50に強制設定するチート。

 つまり、今速度50でかっとばしてる

 ってこと!


「ああああああ」


 体感、車ぐらい。

 生身1つで、高速道路走ってる気分。


「いた! ジャックボット!」


 走りながら、真っ黒の姿を見つけて、

 右手を振り上げる。

 高速で近づいて、右手でなぐりかかる。


 ドンっと効果音が鳴って、画面が揺れた

 うわっ、気持ち悪っ。


 接触判定があるから、走ってても

 殴ったら止まる。それが、気持ち悪い。


「あと、10体」


 リアルで流れる汗を拭う。油汗が酷い。

 休んでられない。早く行かなきゃ。

 また誰かスパムにやられる。


 リスナーは仲間だ。

 時雨ちゃんを応援する同志。

 誰ひとりとして、ログイン停止には

 させない!


 移動入力。そして流れる視界。

 ジワジワと脳内を侵食する痺れに

 見ないふりをする。


「いた! 時雨ちゃん!」


 最初の広場に、時雨ちゃんはいて、

 ジャックボットに襲われて──

 2体の黒い人型に拘束されて──

 あんな苦しそうな顔──


「ああっ!」

 頭がカッっと真っ赤に染まった。


 ほとんどタックルする速さでぶつかる。

 怒りにまかせて、

 ジャックボットに拳を打ち込んだ。


「あ、シカクたん☆」


 バチッバチィと効果音が連続して、

 ジャックボットがノイズに飲まれる。


「時雨ちゃんになんて事を!」


 僕は怒りにまかせて叫ぶ。

 時雨ちゃん、あんな苦しそうに!


「いや、別にリアルじゃ苦しくないから。

 全然平気だから」


「時雨ちゃんを苦しめたの許さないから」


「むしろ、私はスパム平気だから

 ユーザー逃して集めてただけだから」


「あんな苦しそうな顔をさせるなんて!

 マジギルティ!」


「それ、あんたの妄想だから」


「ついでに、ヤナギも許さん!」


「おい、俺、関係ねぇだろ」


「全員、叩き潰す!」


「聞いてるか、おい」


 集まってくる、2体のジャックボット。

 許さない。


 右上に文字。


 〜 Redy? 〜


「行くよ」


 〜 GO!!! 〜


 視界が高速で流れる。

 おっそろしいほどの速さで

 ジャックボットに殴りかかる。


「なにそれ、なにその速さ」

 時雨ちゃんが驚いた所をみると、

 外から見ても早いんだな。


「チート、速度50」

 

 1体、ジャックボットが

 スパムに飲まれて消える。


「なんで、そんなの用意してるの」


 即席チートじゃないって、

 よく分かるね。


「鬼ごっこで、コレ使って

 時雨ちゃん掴まえよっかなー、て……」


「あんた、バカ! 底抜けバカ!」


 二体目のジャックボットに体当たりして

 画面が揺れる。

 ジャックボットがノイズに飲まれる。


 これで、あと6体──


 と、考えた時、視界がグラッと揺れた。

「あ、ヤバ──」

 強烈な吐き気がこみ上げる。


 急激な目眩が脳を反転させて、

 視界がグルンと回った。


 しまった……肉、体、限、界……


 僕の身体は、その場に倒れた。 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「お前! なんで倒れてんだよ!」

 

「……この、チートプログラムは

 副作用、が、あるんだ──」


「は? バーチャルのプログラムが

 なんでリアルに、影響するんだよ」


「このチートは──」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!


 最新話まで読了ありがとうございます。

 よろしければ、

 下の☆☆☆☆☆で評価を下さると

 モチベにつながります。

 これからもよろしくお願いします。


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ