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第55話、アンドロイド型V

挿絵(By みてみん)


「旅鳥テト?」


 僕はウィンドウの中、

 ステージの真ん中に立つ、

 青メッシュのアバターを見て言った。


「あれは、なに?」

 隣の、渚クンに聞く。


「旅鳥テト。

 偵察バトを統べる為に作られてた、

 アンドロイド型の監視プログラムだよ」


 監視……プログラム?


「ユーザーを監視する為に作られた。

 どんな悪質ユーザーも、見つけられる」


「渚クン、なんでそんな事しってるの?」


「これも、乗っ取られてたプログラムの

 1つだから。ツイバトに、ね」


 ツイバトの、前のシステム。偵察バト。

 それを統括するアンドロイド。


 旅鳥テト──それは、つまり……


「男性設定なの? 女性設定なの?」


「ん? ごめん、シカク君、なに?」


「だから!

 男性Vなの? 女性Vなの?」


「シカク君、何言ってんの?」


「髪短めだし、短パンだし、

 格好は男性っぽいけど、

 顔綺麗だし、かっこかわいいし、

 女性かな、ボーイッシュ設定かな?」


「いや……それは……」


「生足可愛いー、足、綺麗ー……

 肩出てるのいいよね!

 青いメッシュ最高じゃん!

 どんな声なの? 聞きたい聞きたい!

 それで、男なの!? 女なの!?

 知ってるでしょ? 知ってるよね!

 渚クン!」


「あ……一応、女性設定だって」


「ボーイッシュ系V! 最高です!」


「シカク君、落ち着いて、

 聞いてた? 話聞いてた?」


「あの足、優勝!」


「シカク君ってば!」


「ん? なに、なんの話だったっけ」


 はぁ……渚クンは盛大にため息ついて、

「ちょっと、ツイート、してみてよ」

 話を戻した。


 ツイート?

 言われて、自分のウィンドウをだす。

 適当に打って、青いツイートボタンを

 押す。


 ボタンから、ツイバトが現れて、

 バサバサと飛んでいく。


 あれ? なんか消えない。


 ツイバトは、基本しばらく飛ぶと

 消える設定だ。

 大抵、ステージの端まで言って、消える


 だが、今、生み出した鳥は、

 飛び回って、渚クンの肩にとまった。


「え? これって……」


「偵察バトだよ。今、ツイートすると、

 ツイバトじゃなくて、偵察バトが

 生まれるの。このVライフ上の

 全てのステージで、ほら」


 渚クンが両手を広げると、

 タイムゲートサーバーの空間に

 無数のウィンドウが出てた来た。


 浮かび上がる、全てのウィンドウに、

 Vライフの、どこかのステージが

 映っていた。


「え? コレ、なんの映像?」


「偵察バトが見てる映像さ。

 これは、監視ツールって言ったよね。

 生まれた偵察バトは、監視を始めて

 その映像は、すべてココに集まる」


 え? これ全部?

 浮かび上がるウィンドウは、

 ドンドン増えてく、たぶんVライフ上で

 ツイートされる度に。

 ハトの形した、監視カメラのようなもの


「これで、悪質ユーザーは、

 すぐに見つかるし、攻撃も出来る」


 攻撃? なに言ってるの?


「彼女、みたいな、さ」


 と、渚クンはVS歌みたステージの

 ウィンドウを指す。

 そこに映る、黒時雨ちゃんを指す。

 黒時雨ちゃんが、偵察バトに

 攻撃されていた。

 バサバサって、何体かの青いハトが

 襲いかかってる。


「え? なんで?

 なんで攻撃されてるの?」


「僕が、そう設定したからだよ」

 渚クンが、表情を変えずに言い放つ。


「誰を排除するか、僕しだいだからさ」


 ガシャと僕の心が音と立てる。

 僕の表情をみて、

 ははっと、渚クンは笑う。


「心配しなくても、今の所、

 偵察バトにスパム機能はないし、

 痛みがあるわけでもないから

 ちょっとウザいだけだよ。

 バタバタ飛び回られて」


 たしかに、黒時雨ちゃんも、

 嫌がってるけど、害は無さそう。


「今はね」


 今は? いったい何の話しをしている?


「いずれ、完全排除できるようになるよ

 旅鳥テトは、その力を持つ。まぁでも」


 と、渚クンは、僕の顔を覗き込んで、


「死ぬ訳じゃ、ない。だろ?」

 言い放つ。

 前と同じように。


 死ぬ訳じゃない。

 人間は、Vライフに入れなくても、

 別に死ぬ訳じゃない。 

 

 渚クンが、

 ずっとそう言い続けてるのは

 

「人間は、BANされても死ぬ訳じゃない

 けど……君たちは消されたら消えるから」


 僕の言葉に、渚クンが口元だけ笑う。


 人間にとっては、ゲームの話、

 でも、プログラムにとっては、

 存在するか消えるかの話。


 これは初めから戦争だったのだ。


 彼らがバクとして、処理されない為の、

 最大限の抵抗。


 渚クンも、

 時雨ちゃんも、

 偵察バトだって、


 存在していたいはずなんだ。


 そしてそれを、運営側が許さない。

 許すはずが無い。


 あぁ、渚クンの言う通りだ。

 僕は甘い。


 時雨ちゃんも、渚クンも、

 みんなで楽しく、このまま遊べると、

 どこかで思っていた。


 そんな訳、無いじゃないか。


 カシャンと音を立てて、

 脳内が組み上がっていく。

 ジンと痺れる頭が、思考を組み立ててく


 僕は目を見開く。

 視界がクリアになって、

 やるべき事だけが見えた。


「わかったよ、君の言う通りだ!」

 僕は渚クンに向かって、叫ぶ。


「この世界は僕は正さないといけない

 僕が、この世界を守る。

 時雨ちゃんを、消させはしない」


 絶対に。

 そう、そのために、僕のする事は。


「黒時雨ちゃんを、スパム感染させる」


 覚悟を持って、ハッキリと口にする。

 ちゃんと、聞こえるように。


「わかってくれたんだね、シカク君」

 渚クンが笑う。


 あぁ、嬉しそうだこと。

 

「それには、渚クンの力が必要だよ。

 僕にくれるよね?」


 僕は手を伸ばす。

 

「もちろんだよ」

 嬉しそうに、応えてくれる。


「僕は君で、君は僕だから。さぁ!」

 渚クンが僕の手に触れる。


 輪郭が、コードになって溢れる。

 渚クンのプログラムが、流れ込んでく。


 カタカタと、僕のソースコードが

 書き換わって行くのが分かる。


 分解された渚クンは、

 すべて僕に吸収される。


 ガシャと、見え方が変わった。

 ピコと、僕の頭に犬耳が生えた。


「生えるんだ、コレ」


『もちろんだよ』

 耳元から渚クンの声がする。


 そうして僕の身体に、

 渚クンのプログラムが混じった。


 僕は左手を振るう。

 ブゥンと効果音が鳴って、

 すごそこにダイブゲートが現れる。


「ははっ! すっごく気分が良い」

 自由自在、どこにでも行ける。


 さぁ、VS歌みたステージに戻ろう。


 目的は1つ。


 黒時雨ちゃんを、

 ブロックノイズスパムに感染させる事。


 僕は、開いたゲートの、

 白い光の中に飛び込んだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「あんた、その犬耳なに?」


「渚クンとね、同化したんだ」


「あんた、なに言ってるの?」


「ごめんね。死ぬ訳じゃあ、無いから」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!

 最新話まで読了ありがとうございます。

 よろしければ、

 下の☆☆☆☆☆で評価を下さると

 モチベにつながります。

 これからもよろしくお願いします。


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

狛犬渚さん

https://twitter.com/Wan_1_nagisa

旅鳥テトさん

https://twitter.com/tabisuruV_teto

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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