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第46話、黒化ヒロイン


挿絵(By みてみん)


 そんな感じで、何日か、たって。


「やぁ、シカク君。今日も幸せそうだね」


 僕は日常を取り戻した。


「そりゃ、時雨ちゃんの歌みたライブ

 だから!」


 僕はライブ会場のVRを見回して、

 ふふふっと笑う。

 楽しみで楽しみで仕方ない。


「表情すごい事になってるよー」

 隣で渚クンが笑う。


「良いのさ。コレが楽しみで一週間

 仕事頑張ったんだよー!

 今日は全力で楽しむ」


 そうだ。僕は、この為に生きてる。


「君が嬉しそうで、僕も嬉しいよ。

 ほんと、ね」

 

 まわりの照明が落ちる。

 配信時間だ。カウントダウンの後に、

 スポットライトが光る。そこに、

 満を持して現れるのが!


「時っ雨ちゃあああああん」


「みんなー☆ 今日は、時雨の

 ライブに来てくれて、ありがとー」


 時雨ちゃんマジラブ!!!

 可愛い! 今日も可愛い!

 いつもの白い衣装可愛い!


 僕はペンライトをめいいっぱい

 振り続ける。


「さぁ☆ 今日も、いっくよー!

 ツイート、よろしくね☆」


 お決まりの曲が流れだした時だった。

 ブツン、と曲と照明が消えた。


「え?」


 なにこれ、演出?

 僕が周りを見回すと、


「え?」


 時雨ちゃんの戸惑う声が聞こえた。


 バシュンと効果音がして、

 ステージ上に文字が滑り込む。


 〜 乱入ステージ 発動! 〜


 これは、VS歌みたステージの演出!


 パッとスポットライトが光る。

 ビックリした、時雨ちゃんの顔。


 そして、スポットライトはもう1ヶ所

 ステージ上を照らしていた。


 そこに立ってる、黒髪ツインテールで

 赤いリボンに黒い衣装の、

 3Dアバター。

挿絵(By みてみん)


「え?」

 僕は思わず声を上げる。


「時雨ちゃん?」


 その黒いアバターは、雰囲気は違うけど

 時雨ちゃんそっくりの顔で、

 僕らを見回して、ふふっと笑った。


 なにこれ、演出?

 新衣装の斬新な発表とか?

 双子設定の姉妹Vとか?

 ユニット組むの? あ、新曲それ?


 グルグル回る考えを、全て否定するのは

 時雨ちゃんの戸惑った、


「え? 誰?」の声。


 黒いツインテールアバターは、

 ふふん、と魅力的な見下し笑顔で、


「月下時雨」

 と、質問に答えた。


「へ?」

 と、時雨ちゃんが首をかしげる。

 僕らも同じ気持ちだ。


 黒い時雨ちゃんは、

「あたしが、月下時雨だから」

 腕を組んで、カツンと右足出して、

 ハッキリと言い放つ。


 あの靴、ヒールだ。

 黒いスカートは時雨ちゃんより短い。

 太もも、素適! 胸が露出してる!

 そして、ダークで小悪魔的雰囲気の

 その表情!

挿絵(By みてみん)


「なにあれ……可愛い」


「ちょっと、シカク君? 何言ってんの」


「あの目、好きぃいいいいい」


「シカク君? しっかりして」


「ねぇ、渚クン、あれなに?

 AIが、分離増殖したとか?」


「そんな訳ないでしょ。それより、

 なんで乱入ステージ始まってるの?」


 そうだ。

 ここはライブステージ。

 VS歌みたステージのモードが

 発動してるって事は──


「まさかチート?」


 僕は急いでソースコード開いてみる。

 誰だか知らないけど、

 時雨ちゃんのライブは邪魔させない!

 絶対に、僕が止める。


 コードを読んでいた僕の、

「え?」

 動きが止まった。


「どうしたの? シカク君」


 渚クンの問いかけに、

 震える視線で振り返る。


「これ、チートじゃない。公式バッチだ」


「は?」


「運営が、プログラム改変してる」


 僕の言葉に、渚クンの顔が引きつった。


「あたしが、月下時雨。

 『月下時雨』を取り返す!」

 黒い時雨ちゃんが、高々と宣言する。


「違う! 私が月下時雨!」

 本物の時雨ちゃんが、必死に叫ぶ。

 黒い時雨ちゃんは無視して、

 観客席の僕らに笑顔を見せた。


「あなたに会えて、時雨、嬉しい!

 時雨の笑顔は、あなたのモノ。

 今夜も、満足させちゃうからね★」 


 おぉ、挨拶、可愛い! 笑うの可愛い。


 時雨ちゃんは妖艶にふふんと笑って、

 観客席に人差し指をむけた。


「さぁ、乱入ステージ、始めるよ。

 ぼやぼやしてると、置いてくから!

 音楽、スタート!」


 止まっていた音楽が流れ出した。


「しっぽ巻いて逃げても良いんだからね」

 黒い時雨ちゃんが、時雨ちゃんに煽る。


「誰が! 時雨、負けないんだからね!」

 対抗する気なんだ、時雨ちゃん。


「曲はもちろん!」


 2人の声が綺麗に重なった。

「「カラクリピエロシンドローム!!」」


 2つのスポットライトの下、

 2人の時雨ちゃんが、歌っていた。


 なにこれ、すごい!

 ちょっと! マジテンションあがる!


 黒い時雨ちゃんも、完璧、だった。

 完璧に時雨ちゃんの歌い方、ダンス。


 もちろん、完全シンクロはしないけど、

 何度も見てきた僕には分かる。


 あの黒い時雨ちゃんは、

 本当に時雨ちゃんだ。本物の。


 つまり……

 そうだ、つまり、そういう事だ。


 僕には分かる。


 あれは……あの黒い時雨ちゃんは、


 ヤナギだ。


 黒時雨ちゃんが、歌いながら、

 僕を見て笑った気がした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「どういうこと? アレどういうこと?」


「なにがだよ」


「黒時雨ちゃん! アレヤナギでしょ?

『月下時雨を取り返す』って」


「お前、こんな時間に、

 そんな事言うために来たの?」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

狛犬渚さん

https://twitter.com/Wan_1_nagisa

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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