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第31話、過保護DM

挿絵(By みてみん)


「ほんんんんんんんっとに大丈夫?」


「何がだよ」


「だって、もう初配信が始まる!」


「分かったから、早くVR入れって」


「他に準備することない? 人来る?

 配信出来る? 何話せばいいの?

 失敗しない? 叩かれない?

 ちゃんと喋れる? キャラは?」


「あははははっ、大丈夫だって」


「なんで、笑ってるの、ヤナギー!」


「いやー、懐かしいなーって」


「ニヤニヤしないで!

 僕、緊張で死にそうなのにぃ」


「大丈夫だから。

 俺が、見ててやるから。

 リビングでセナさんと配信見てる」


「吐きそうだから、隣にいてよぉ」


「おい、俺を洗面器扱いするのヤメロ」


「なんで1人なの、配信って!」


「普通、配信は1人だし、

 お前はコラボだから1人じゃないし、

 せいみなさん待ってるから、

 早く手ぇ離せ、VR入れ」


「絶対見ててよ、困ったら助けてよ」


「分かったから、頑張ってこい。

 ちゃんと出来たら褒めてやるから」


「うわーん。絶対だからねっ」


 緊張に押しつぶされそうになりながら、

 VRゴーグルを付ける。

 専用マイクと、インカム。

 配信用モーション機を装備した姿で

 VR世界に入る。


 あぁ、もうすぐ初配信は始まってしまう



 ◆◇◆◇



「ダイヤちゃん、行った?」


 扉を閉めると、リビングで、

 セナがクスクス笑っていた。


「ようやく行きました」


「懐かしいわねー。ヤナギ君も初配信は

 あんなだったわねー」


「一緒にしないで下さい。

 あんなに酷く無いっすよ」


「どうだか。似たようなもんだったけど」


「絶対違いますからね」


「はいはい。

 さ、今度は初配信を見守る気持ちを

 味わいなさい」

 

 と、パソコン画面を指す。

 配信前のサムネ状態の待機画面。


 その前に、ヤナギも座って、

 配信開始を待った。



  ◇……… ◆…… ◇… ◆



 プラットフォームから

 ダイブゲートを通って、

 目的のVR空間が読み込まれていく。


 ゲームステージは、

 VRでも配信画面でも視聴可能。

 ゲーム大会の会場みたいなVR。

 でっかいモニターと、ゲーム画面。

 それに、一段低くなってる観客席。


 配信前の、誰もいない空間に

 1人待ってるのが。


「せいみなさん、遅れてすいません」


 久しぶりに合うその姿に、

 駆け寄って頭を下げる。


「おぉ、シカク、別に遅れておらぬぞ。

 わらわは、寛容じゃ」


 相変わらずの神々しさです!

 今日も和風衣装と、そこから覗く胸が

 素適です!


「今日は、初配信なのにコラボしてださり

 ありがとうございます!」


 ほんと、そこは感謝しかない。


「いや、そこに関しては、

 わらわのファンがまねいた事で、

 迷惑かけてすまんかった。

 許してくれ」


「いや、そんな、せいみなさんが、

 頭を下げる事は何もないです。

 ここまでしてくれたのに。

 僕、デビューできて嬉しいですし」


 そうだ、こんな事がなければ、

 出来ない経験だ。


「やる、と決めたんじゃな、Vtuber」


「はい、僕も、なりたいんです。

 見てる人が楽しいって思ってくれる

 Vtuberに」


 時雨ちゃんみたいな。

 せいみなさんみたいな。


「じゃあ、まずは話し方じゃ。わらわを、

 さん付け、しとるのは何故じゃ?

 前回は『せいみなちゃん』じゃった」


「え? いや、あの、同じVになったら

 せいみなさんは、大先輩で」


 前は、ファン目線で、ちゃん付け

 してたけど、さすがに今は……


「なにを言っておる!」


 結構大きい声で、ビックリした。


「お前は肩書で中身が変わるのか。

 前回も今回も、お主もわらわも、

 何も変わって無いであろう!」


 た、確かにその通りです。

 その通りですがぁ……


「いいか、シカク。

 本来、Vに先輩も後輩もない」


 え? そうなの?


「ファンや登録者が多い方が偉い、

 と言う者もいるが、気に入らぬ。

 ファンが1人でも100万人でも、

 Vは同じV、優劣はない。

 前回と同じように話せ、

 わらわとお主は同じV、同列じゃ」


 ほんとに? でも、まだデビュー前で


「ぼ、僕のファン、

 1人もいないんですけどぉ……」


「まさか、お主知らんのか」


 ん? 何を?


「昨日、わらわにDMが届いた。

 月下時雨からじゃ」


 時雨ちゃん?


「『シカク』はドジで喋りもまだまだで

 ミスをするかもしれないけど、

 助けてやってくれ、と

 お主を頼む、と、そういうDMじゃ」


「え? ほんとに?」


「ずいぶんと過保護なヤツじゃから、

 多分見とるんじゃろ?

 お主の配信を」


──俺が、見ててやるから。


 ヤナギは、確かにそう言った。


「立派に、お前のリスナーじゃろ」


 時雨ちゃんが、僕の、リスナー?


「その1人を、楽しませる事だけを

 考えよ。それが、Vtuberじゃ」


 時雨ちゃんを、楽しませる。

 それだけを考える。


「でも、どうしたら良いんですか?

 僕はせいみなちゃんみたいに、

 目立ったキャラがないし、

 どうロールプレイしていいか……」


「お主は、そのままで良い。

 ありのままを出し、話せば良い」


「え? それで良いんですか?」


「あぁ、それで十分だし、わらわも

 キャラでもロールプレイでも無い。

 これが、素じゃ」


「え、マジすか! 素適です!」


「うん、その感じ、忘れるな!」

 せいみなちゃんはニッコリ笑って、

 観客席に目を向けた。


「まもなく配信が始まるぞ。

 始まったら、この空間がリスナーと

 同期され、リスナーの姿が現れる。

 リスナーからは、わらわ達が

 現れたように見える。驚くなえ」


「え? もう始めるんですか?

 打ち合わせとか、台本とか」


「ゲーム配信にそんな物はないし、

 あっても、それ通り出来んじゃろ」


 それは……そうですが!


「ぶつけ本番じゃ、覚悟せよ。

 お主の、初配信じゃ!」


 せいみなちゃんが高らかに声を上げて、

 VR空間にカウントダウンが浮かんだ。


「10!」


 カウントダウンを読み上げる

 リスナーの声が同期していく。


「9! 8! 7! 6!」


それはドンドン大きくなって、

 やがて僕の想像以上のリスナーが、

 同接してる事に気づいた。


「5! 4! 3! 2! 1!」


 僕の緊張がMAXまで高まった時、

 僕の、Vtuberとしての、初配信が

 幕をあけた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「は、はじめまして!

 四角系Vtuber、久不キューブシカクです!

 ゲーム配信を主にやっていきたい新人。

 今日は、初配信なのに、

 コラボしてくださり、光栄です!

 よろしく、お願いします!」


「お主、マイクが、入っておらぬぞ」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!

 最新話まで読了ありがとうございます。

 よろしければ、

 下の☆☆☆☆☆で評価を下さると

 モチベにつながります。

 これからもよろしくお願いします。


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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