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第30話、Vtuberコンサル

挿絵(By みてみん)


「え? Vtuber? 僕が」


「そう。ファンは、同じファンが

 特別扱いをされるのを嫌う。

 でも、それがVtuberだったら?」


「な、なるほど」


 ファンとVtuberには距離感がある。

 でも、Vtuber同士のそれは、

 もっと近くても、不自然ではない。


 ファンが入れない場所にいたのも、

 ファンではなく準備中のVなら、

 次のコラボの下見かな、とか

 先輩Vの配信を見学してたのか、とか

 思ってくれる。


「でも、いまから、デビューって」


 Vになるには、平均三ヶ月の

 準備期間が必要だし、資金も機材も

 必要なものは、沢山ある。


「大丈夫、私達が準備する。

 これが、シカク君の立ち絵とロゴ。

 3Dモデルは3日以内に作るから」


「え? え?!」


「機材は今はヤナギ君のを使って。

 後で専用の機材を用意するわ。

 自己紹介動画、作るから、声入れして」


「でも、これ、モデルとか、素材とか

 発注したら、高いヤツ。

 良いんですか?」


 立ち絵も、ロゴも、プロの仕事だ。

 アバターではない、配信用の3Dモデルは

 何万円もする。


「言ったでしょ? 

 私達はあなたが必要なの。

 うちの持ってる人材の全部を使って、

 バックアップするからね」


 セナさんはニッコリ笑う。

 炎上を鎮火させる為に、そこまで

 してくれるんだ。


 いや、そこまでしないと、

 収まらないのだ。炎上ってヤツは。


「一週間後にはデビューだからね」


「へ? 一週間?」


「初配信は、なんとコラボよ」


「いや、初配信がコラボとか!

 ムリゲーなんですけど!!」


「注目度をあげなきゃ意味ないからね」


「知名度ゼロの僕なんかと、

 コラボしてくれるVさんいるんですか?」


 僕とコラボしても、相手にメリットが

 まるでないのに。なんなら、炎上の

 飛び火がかかる可能性もある。


「大丈夫、龍神せいみな、が

 快くオファーうけてくれたから」


 え?


 セナさんが出した画像には、

 コラボ用サムネがすでに用意されていて


 初配信がなんとコラボ!!

 あの龍神せいみな、とスマブラ対決!

 無謀、新人Vtuber!! 


 の文字がでっかく並んでいた。


「いや、え?

 初配信、せいみなちゃんコラボ?

 ちょ、え? マジで?」


「向こうも、事情を知ってるからねー

 うちのファンが迷惑かけたから、

 炎上抑える為に手をかしてくれるって」


 せいみなちゃん、マジで神!


「相手がいるコラボで、ゲーム配信は

 難易度が低いからなんとかなるわ」


「なんとかなる? ほんとになる?

 一週間で……僕、ほんとうに大丈夫?」


 一週間でVtuberになれるのか。

 無事デビュー出来るのか。


 不安がいっぱいで、

 隣のヤナギに目を向けると、


「安心しろ。俺も一週間でデビューした」

 と、笑って言った。


「え? マジで? 時雨ちゃんなのに?」


「入社3日目に、同じ感じで」


 うわぁ、セナさんが今みたいな感じで

 全部用意したんだろうなぁ。


「だから、大丈夫だ。なんとかなる」


 そう言って、頭を撫でる。

 なんか、安心する。


「でも、やるかやらないかは、

 自分で決めるしか、ないからな」


 ヤナギがそう言って、

 セナさんも、うん、と同意する。


「私達が出来るのは、準備だけ。

 その後は、自分でやるしかない」


 知ってる、Vtuberは生半可な覚悟で

 出来る訳じゃない。


 始めるキッカケはなんでも良い。

 でも、始めたら、それなりの覚悟と

 労力がいる。


 せいみなちゃんがそうであるみたいに。

 時雨ちゃんがそうであるみたいに。


「どうする? ダイヤちゃん」


 セナさんが聞いてくれる。

 ココまで用意しても、

 僕が嫌なら、やらなくても良いと、

 そう言ってくれるのだ。


 僕は……


 また、VRに戻りたい。

 時雨ちゃんの炎上を止めたい。

 時雨ちゃんに、またリプしたい。

 みんなと、また笑い合いたい。

 

 それが、ファンという戻り位置で

 なくても。


 僕は、Vライフの世界に戻りたいんだ。


「やります。やらせて下さい」


 キッカケは何でも良い。

 やるからには、見れくれる人に、

 全力で楽しんでもらえるVに。

 僕もなる。きっとなれる。


 セナさんは、楽しそうに笑って、


「さぁ、忙しくなるからね。

 まずは、ツイッター変更して、

 ボイス投稿して、動画撮って、

 あ、ボイストレーニングもするから

 機材持ってくるから、ちょっと待って」


 なんか生き生きしている姿を見て


「セナさんって、

 なんでこんな楽しそうなの?」


 ヤナギに聞くと、

「まぁ、そういうのの専門家なんだ」

 と、笑って言っていた。


 なるほど、と

 ボイトレ機械のセッティングをする

 セナさんを眺めた。


「さ! 一週間で一人前の

 Vtuberにしてあげるからね。

 覚悟は良い? ダイヤちゃん」


「はい! もちろん!」


 僕は笑顔でうなずいた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「ほんんんんんんんっとに大丈夫?」


「何がだよ」


「だって、もう初配信が始まる!」


「大丈夫だから。

 俺が、見ててやるから。」


「絶対見ててよ、困ったら助けてよ」


「分かったから、頑張ってこい。

 ちゃんと出来たら褒めてやる」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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