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第24話、監視ツール

挿絵(By みてみん)


「みんなー、ありがとうー

 みんなのおかげで、バグ消えたよー!」


 歌い終わって、

 時雨ちゃんが皆に手を振ってる。

 

 もちろん、僕もブンブンふる。

 良かった。

 時雨ちゃんも、せいみなちゃんも

 すごく良かった。


「じゃあ、次は順番的に、わらわじゃな」


「よろしくね!

 時雨も、あとで『乱入』するからね」


 時雨ちゃんが笑って、

 僕の方に戻ってくる。


「時雨ちゃん、良かったよ!」


 僕が声をかけると、

 時雨ちゃんは、え? と声をあげて、


「あんた、なんでそんなトコいるの?

 そこ、配信映るからぁ」


 えぇ? マジぃ?

 敵倒したあと、倒れ込んだから。


「小さいけど声も入るのよ!

 早く出て、早く!」


 時雨ちゃんに言われて、

 バタバタと配信線からでる。

 配信線から出れば、声は入らない。


「もー、気抜かないでよねー」


「ごめん、ごめん。

 でも、ありがとう、時雨ちゃん。

 あんな中で歌ってくれて」


 おかげて、倒せた。

 時雨ちゃんのおかげだ。


「あれは……なんていうか、

 せいみなさんのおかげ、っていうか」


 時雨ちゃんが、歌っている

 せいみなちゃんに目を向ける。


 配信はやめない。

 そう僕に言った時、時雨ちゃんは

 聞いて居なかったはずだけど、

 きっと、僕が戦ってる時に、

 話したんだろう。


 せいみなちゃんが、

 絶対に配信を停止しない理由。


「すごいよね」

 僕も呟いて、せいみなちゃんを眺める。


 圧倒的な歌唱力、

 そして吹き荒れるハート。

 ファンの数も、活動歴も、

 ダテや酔狂で築ける物じゃない。

 それは彼女の、努力と覚悟の結果。


「ところで、シカクたん☆」


「ん? なに?」


「その肩の、ツイバトなに?」

 僕の右肩の、青い鳩を指して。


「グル?」

 と、鳩が首をかしげる。


「なんか、なついたの。可愛いよ」


「いやいや、なつくのおかしいから。

 そんなプログラム無いから。

 あれ? コレって」


 時雨ちゃんが青い鳥をマジマジ見て


「ツイバトじゃ、無いわね」


「え? 違うの」

 青い、鳩なのに?


「じゃあ、なに?」


「これは、テト」


「テト?」


「偵察バト。

 昔、Vライフ全体に、監視ツールを

 配置する計画があったんだけど。

 監視カメラだと、反感を買うから、

 鳩のデザインが採用されたの」


 偵察バト、で、テトか。

 ユーザーを、監視する鳩。


「監視って言っても、データ記録だけね。

 チートしないか、不正行為がないか。

 誰がどこにいるか」


 まぁ、僕みたいなのを監視するための

 鳩だったんだ。


「まぁ、計画は途中で頓挫して、

 だから鳩のモジュールだけ、

 ツイバトとして転用されたの。

 この子は、プログラムの消し忘れね。

 あとで開発に、消してもらわなきゃ」


「ギャ」

 ハトが、ビクッと反応する。


 僕は慌ててハトを抱きしめる。


「えー! やめてよー! 可愛いんだよ。

 消さないでよー」


「いやだから、バク飼うのやめてよね」


「それに、役にも立つ。

 キツネの彼を追い払ってくれたし」


 そうだ、この子は一緒に戦ってくれた。

 心強い仲間なのだ。


「お願い! 時雨ちゃん!

 普段は、僕のプログラムの中に

 入れとくからぁ」


「もう……一匹だけだからね」


「やったぁ、なんて名前つけよう」


「変な名前付けないでよ」


「じゃあ、『ヤナギ』って呼ぼう」


「ダメに決まってるだろ」



  ◆◇◆◇



 大盛況のまま、配信は終わった。


 ハートの数は、結局

 せいみなちゃんの方が多かったが。

 二人共楽しそうだったし、

 どっちのファンも大満足だった。


「時雨、ありがとうだ。

 今日は、良いコラボであった」


 配信が終わったVR空間で、

 せいみなちゃんが笑って言う。


「こちらこそ、コラボ出来て光栄でした」

 時雨ちゃんも嬉しそう。


 本当に、無事配信が終わって良かった。


「シカク、お主も、ありがとう。

 お主のおかげで、配信が出来たのだ」


「いや、僕は、その……」

 どちらかと言うと、

 中止しようとしていたのに、

 せいみなちゃん優しい。


「いつでも言え、わらわがオンステージ

 してやるからな」


 え? まさか本当に?

 せいみなちゃんが、僕の為に?


「シカクたん☆ デレデレしないで!」


 いや、別に浮気しようって訳じゃ……


「はっはっはっ、じゃあ、わらわは

 もう落ちるからな」

 せいみなちゃんは笑って手を振って、


「はい、今日は、ありがとうございます」

 時雨ちゃんが頭を下げる中

 せいみなちゃんは、じゃあまたな、と

 ルームアウトして消えた。


「あー、良かったー」

 僕は、ほっと息を吐いた。


「ほんと、どうなるかと思ったんだから」

 と、時雨ちゃんも言ってる。

 

 さすがに、ちょっと疲れた。

「今日はもうゆっくり寝ようー」

 と身体を伸ばした時、


「大変! 二人共、すぐに戻ってきて」

 セナさんの緊迫した声がした。


「え? 大変って何があったんです?」

 僕が聞くと、セナさんは言いにくそうに

 それが……と呟いて。


「炎上してる」


「……へ?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「何かあったの?」


「お前、スマホ見るのやめろ」


「え、なんでさ。通知きてるのに」


『シカクってヤツ、サイテー!』


 え?


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!



【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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