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第23話、エクストリーム、ハート


挿絵(By みてみん)


 休憩中サムネにカウントダウンが映る。


 5、4、3、2、1……


 知ってる、ファンはこの数字を楽しみに

 画面の前で待ってる。

 そして、配信開始される画面は。


 なんか、真っ黒いアバターが、

 画面内を走り回る、異様な画面!


「ヤバッ、これはマズい」


 周りを取り囲むリスナー画面から、

 コメントが表示される。


『??????』

『なに、これバグ?』

『龍神様映らないの俺だけ?』


 マズい、この状況をなんとかしないと、

 配信が続けられない!

 せいみなちゃんは言ったんだ。

 ここに来てくれたファンの全てを

 その思いを、時間を、無下にしないって

 でもどうやって……


『時雨ちゃん、がんばってー』

『今北産業!』


 ポコン、ポコンと、ハートが飛んだ。

 飛んできたハートが、ボンッっと、

 ジャックボットに当たって、弾かれる。

 ジャックボットが、一瞬、動きを止める

 

 ん? あれ?

 体制を崩したジャックボットは

 また走りだした。すごい速さで。


「え? まさか、ハートって、敵には

 接触判定ある?」


 ツイバトには当たるみたいに。


「シカクたん☆ それだ!

 せいみなさんを、よろしくね」


 時雨ちゃんは、そう言うと、

 ステージの真ん中に走り出した。


「え? 時雨ちゃん?」


 敵がすごい速さで走り回ってる。

 いくら時雨ちゃんでも、

 苦しくないはずないのに!


「みんな! 戻ってきてくれて嬉しい!」


 時雨ちゃんがリスナーに呼びかける。


「ちょっと、画面バグってるけど、

 時雨は負けないから!

 このバクは、みんなのハートで消える

 お願い、ピンクでも赤でもいいから

 ハートを頂戴!

 時雨は、みんなの為に歌うから!」


 その言葉で、コメントがざわついた。


『バグってなにー? 黒いの?』

『時雨ちゃんだ、時雨ちゃん可愛い!』

『ハートね、ry』

『せいみな様来るー?』

『赤〈せいみな推し〉でも良いのね』

『連打だ! 今こそファンの力を見せよ』


 一瞬、遅れて、

 ブワァとハートが吹き荒れる。


 曲が流れ出す。敵が走り回って、

 容赦なくぶつかる最悪の状況で、

 時雨ちゃんが歌ってる。


 ハートが飛んで、敵にぶつかる。

 敵が、その間だけ動きが止まる。


 すごい……時雨ちゃん……

 僕が光景にあっけに取られてると、


「あははははっ、よい覚悟じゃ!」

 せいみなちゃんが、笑って、


「よし、わらわも行こう」

 そう言って前にでる。


「ちょ! ちょっと待って、

 時雨ちゃんと違って、

 せいみなさんは、感染耐性が無いんで」


 敵に一度でも当たったら、

 感染してしまう。


「何を言っておる! 言ったであろう。

 わらわは、お主と、信者を信じる。

 わらわを信じてくれる者を、

 わらわが信じなくて神などなれぬ。 

 敵は当たらぬ、信者からのハート

 わらわを信じる!」


 ハッキリ、言い切るその笑顔は

 まさしく神のそれで。神々しい姿で、

 せいみなちゃんは、ステージに出た。


〜 乱入ステージ 発動! 〜


 画面内に文字が浮かぶ。


 時雨ちゃんの隣に、

 せいみなちゃんが立つ


「信者のみな! 時雨にばかり、

 良い格好はさせぬ!

 わらわも一緒に歌う!

 存分に聞け! そして受け取れ!

 わらわは、みなを信じる!」


 時雨ちゃんが、せいみなちゃんを見て

 少しだけ笑う。

 そして、2人で歌い出す。


 なにこれ、神! まさに神コラボ!


 ハートが吹き荒れる。

 赤も、ピンクも、大量に飛んでくる。

 ステージ上をボンボン跳ね返るハートは

 ユーザーはすり抜け、敵にはぶつかる。


 沢山のハートが、

 時雨ちゃんとせいみなちゃんを守ってる


 すごい……二人共すごい!


「シカク君、ボーッとしないで!

 全ての敵の動きが止まったら、

 速度可変して一気に切るよ! 準備!」


 おっと、そうだった!

 僕は、僕のやるべき事をする!


 セナさんの声で、

 速度可変チート立ち上げる。


 視界が、青い開発空間に変わる。

 敵がキューブで表示される。


「良い? 動きはこっちで制御する。

 キューブが白い線で

 繋がってるの分かる?」


 たしかに、キューブ同士が

 線で繋がって、出たり消えたりしてる。


「それが、ライン。全部止まった瞬間に

 一気に行く。限界ギリギリの速さで

 身体にも負担があるから一発で!

 覚悟は?」


「出来てる!」


 時雨ちゃんが、せいみなちゃんが

 信じてくれてる、それに応える!


 2人の歌声が聞こえてくる。

 ファンの為に、必死に歌うその声が

 心に、胸に響く。

 誰も、泣かせない。絶対に。

 配信を、止めさせない。


「お願い! みんなの愛を」

「頼むぞ! ぬしらの愛を!」


「ハートを、投げて!」


 全てのキューブが停止して、

 線は、全て繋がった。


「シカク君!」


 〜 Redy 〜


「行ける!」


 〜 GO 〜


 視界は流線型に変わった。

 僕から繋がる、線の通りに、

 ほとんど一瞬で、僕はふっとぶ。


 反射的に飛んでくるキューブを切る、

 頭が認識するより早く、身体が動く、

 情報量が思考を消す。

 飛んでくるキューブを全て切る!

 全部、全部、全部、全部!

 繋がる線の最後まで来た時、

 僕はその場に転がった。


 バツンと視界は戻る。

 倒れ込んだまま、振り替えた視界に、

 ジャックボットの黒い影が

 全て消えてくのが見える。


 あぁ、良かった。

 僕は肩で息をしながら、

 歌い続ける2人を眺める。


 黒い色が無くなって、

 ハートで埋め尽くされた世界は、

 とても綺麗だ。


 座り込んだまま、

 2人の歌う曲を聞き惚れて、

 舞い散るハートの代わりに

 拍手を送った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「ところで、そのツイバトなに?」


「なんか、なついたの。可愛いよ」


「いやいや、なつくのおかしいから。

 あれ? コレって

 ツイバトじゃ、無いわね」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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