第22話、それがチート
キツネの面で表情は分からない。
よくある、古風な赤目ぶちの白い面。
その彼が両手を広げた。
……へ?
すると、ブワァっと、
また出てきたんだけどジャックボット!
「ちょ! デジャヴ!」
なんで、なんで、まだだすの?
「それやったじゃん! さっきと同じ!
一度攻略されたら、
もうやっちゃいけないって、お約束、
知らないの?」
「シラナイヨ」
ボンボンと、増えてく黒い影。
まさか本気で、256体出すの?
無理! マジ無理!
敵を無限に産み出す敵は、
先に倒すのがセオリー。
「分かってるけど、アイツ、
可変チートすると視界から消えるの」
VR酔いを回避の為に、
可変チート中は、視界が青い空間に、
敵が光るボックスに見え方が変わる。
でも、そこにキツネの彼は映らない。
データを持たないから。
データ上、そこに存在しないから。
「ちょっと、卑怯! マジ卑怯!
数の暴力も卑怯!」
「ギィア」
キツネを非難する僕に、
肩にとまっていてツイバトも
怒って、飛び上がる。
なに、この子、可愛い。
ハトというよりカラスみたい。
キツネの彼の周りを、バタバタ飛んで、
攻撃してる……
え? 効いてる?
というか、嫌がってる。
バタバタ攻撃する青いハトを、
嫌がってる。キツネはトリが嫌い?
「モウ……」
キツネの彼は呟くと、軽く手を上げる。
彼の後ろに光る線が出来て、
何もない空間を四角く切り取る。
ダイブゲートだ。
彼の後ろでゲートが開いて、
彼を飲み込んで閉じた。
「自由に出せるんだ、ダイブゲート」
ゲートが消えた空間を眺めて、呟く。
あぁ、逃げられた。
聞きたいこと、聞かなきゃいけない事
きっとあったのに。
ツイバトが、バタバタと戻ってくる。
僕は手を伸ばして、その子にふれる。
「君、ありがとうー。
追い払ってくれたんだよね」
ふんす、と、ツイバトは
満足げに首を動かす。
どんなプログラム組まれてるの君。
「シカク君どうしたの?
ジャックボットの様子がなんか変」
「あぁ、セナさん、キツネは消えました
あとは、残った敵を倒せば……」
ステージ上には、十数体の
ジャックボットがまだいるけど、
このくらいなら、また改変チートで……
「おかしいの、シカク君
ちょっと、時雨の所まで戻って」
え? おかしいって、なにが?
せいみなちゃんを守ってた
時雨ちゃんの所に行ってると、
バチン、とエフェクト音を効いた。
え?
バチン、バチン、バチン……
それは、電撃エフェクトが出る時の。
電撃エフェクトは、速度改変チートの。
「まさか……」
振り返ると、十数体のジャックボット、
その全てが電撃エフェクトをまとって、
異常な速さで、動き出したのだ。
「はああああああ?」
なにこれ!
僕は慌てて、
時雨ちゃんとせいみなちゃんの前で
ライトセイバーを構える。
目の前で、真っ黒のアバターが、
恐ろしい速さで動き回す。
いや、早すぎでしょ!
速度改変してくるとは思ってたけど!
1体、すごい速さで突進してくる。
な!
歯を食いしばって、目を見開いて、
タイミングを合わせる。
遅れたら、やられる!
振り抜いたライトセイバーが、
敵をたたっ斬る。
空中で、ブロックノイズが弾けた。
はやい、マズい、あと何体いるの?
てか……
「なんで、敵の親玉が帰った後に、
強化するのさ、そういう時は、
弱化するって、お約束しらないの?」
シラナイヨ。
そんな声を聞いた気がした。
順番もセオリーもグチャグチャ!
お約束も常識も通用しない。
なんでか?
それが、チートだからだ。
「シカクたん☆ マズい!」
後ろで時雨ちゃんが声を上げる。
今度は何?
「もうすぐ休憩が終わる」
へ? マジで? この状況で?
「それは、確かに難儀じゃな」
せいみなちゃんの呟く声も聞こえた。
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【次回予告】
『??????』
『なに、これバグ?』
『龍神様映らないの俺だけ?』
『時雨ちゃん、がんばってー』
『今北産業!』
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