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第21話、カタコト設定

挿絵(By みてみん)

「君は、誰?」


 呟くように聞く。

 答えは無い。目の前の、

 キツネ面は、なにも答えない。

 白い着物で、白い髪で、

 白いキツネ耳までご丁寧に生えた……


 というか……


「男性Vなの? 女性Vなの?

 それだけ教えて!」


 時雨ちゃんが、は?

 と向こうで首をかしげる。


「しかくたん、なに言ってんの?


「だから、男性Vか、女性Vかー。」


「いやいや、他に聞く事あるでしょ。

 なんでbot生み出せるか、とか、

 目的はなんだ、とか、

 データに表示されないのは、

 いったいなんでなのか、とか!」


「それは、気になるよ、気になるけど

 まずは、男性か女性か、

 どんな顔か、どんな声か、何系Vか!」


「はぁ?」


「何の化身か、妖怪か、神様か、半獣か

 一人称は何なの? 語尾は何なの?

 なんて挨拶するのー?」


「いやいや、シカクたん?」


「なん『いいね!』溜まったら

 情報解禁するの! デビューいつ?

 ゲーム配信する? コラボは?

 シチュボやる人? ねぇ、教えてー!

 いいねするから! リツするから!」


「まぁ、たぶん男性Vじゃな。

 女性Vなら、着物なのに

 胸の谷間を出さん理由がない」


 なるほど! さすがせいみなちゃん!


「というか、名前は?

 名前くらいは解禁されてるよね!

 君の名は?」


 白いキツネに聞いてみると。


「……ボクハ、ボクダヨ」


 答えた。ていうか、

「声が電子音! 不思議! 

 不思議系Vだ、片言で話す設定だ!

 良いと思います!」


「もう! くだらない事言ってないで、

 早く倒して! アレが敵だってくらい

 分かるよね、シカクたん☆」


 おっと、そうだった。

 彼はジャックボットを出してるんだ。

 つまり、敵! なんなら犯人!

 もしかしたら、彼を倒せば、

 全部終わるかもしれない。


「お願い! シカクたん☆

 せいみなさんは、私が守るから!」


「了解、任せて!」


 ライトセイバー構えて、

 キツネの彼に向かって斬りかかろうと


 ……したんだけど。

 キツネは、後ろにさがった。


 ん? 戦ってこない?

 下がったキツネの彼が、手を伸ばす。

 そこから、ポコンと黒い塊が産まれる。


「へ? ジャックボット?」


 黒い塊はジャックボットになった。

 ポコン。

 白いキツネが、また黒い塊を産む。


 ポコン、ポコン、ポコン、

 ポコポコポコポコポコポコ……


「って、ちょっと、ちょっと、多っ!

 敵、 多いんですけど!」 


 ライトセイバー振り回して、

 何体か切るけど、

 それでも増えてく速度のが多い!


「上限とか、決まって無いの?

 あるでしょ! 3体溜まったら止まる

 みたいな敵、産みだすルール。

 どんなRPGもMMOもそうでしょ!」


「シラナイヨ」


 キツネが電子音で答える。

 真っ黒のアバターを作りながら。


「大丈夫、上限はあるわ。存在しえる

 同一ギミック数は256体!」


「だから、それもう無限だってセナさん!

 そんなに出てきたら、身動きとれない」


 とりあえず、あのキツネをなんとか、

 倒さないと!

 ユーザーなら、スパム感染で

 接続切れるはず!


 はず……って、どこ行ったのキツネ君!


 あたりがもう、ジャックボットだらけ、

 一面真っ黒で、見つからないんだけど!


「セナさん見えない?」


「こっちからモニターで見えないのに

 どう見つけるのよ」


 あぁ、もう、じゃあ!


「全部蹴散らす! 速度改変チートで!」


 チマチマ切ってられない!

 急がないと休憩あけちゃう!


「シカクたん☆

 それやるとまた、VR酔いが……」


 心配してくれる時雨ちゃんに、


「それは大丈夫よ!」

 そう言ったのは、セナさんだ。


「対策は考えた、シカク君、

 改変チート実行して」


「分かった」


 言われるがままに実行すると、

 電撃エフェクトと同時に、

 視界が切り替わった。

 そこが、青くて、白い格子線が入る、

 開発空間に変わった。


「え? 移動した?」


「してないわ。シカク君の視界の

 映り方を変えただけ。

 ゴーグルをダブルタップすると

 切り替わるから」


 言われた通り、

 ゴーグルをトントンしてみると、


 視界がステージに戻った。


「良い? VR酔いは『自分が動いてる』

 ように見えるから、酔う。

 敵を見て、切り替えてみて」


 トントン叩き、青い空間にしてみると

 敵が、光るキューブ表示に変わった。


「ならば、『相手が動いてる』ように

 見せれば良い。

 シカク君、準備は良い?」

 赤い文字が浮かぶ


 〜 Redy 〜

 

 「もちろん!」


 〜 GO 〜


 電撃エフェクトが走る。

 速度改変によって、僕のアバターは、

 速度50で、かっ飛ばしてるはず!


 でも、僕の視界では、

 相手が、光るキューブが飛んできてる!


 これは、ビートボックスマニア!


 高速で飛んできたキューブを切る。

 全部、7個くらい。

 バツンと電撃エフェクトが走り、

 視界がステージに変わる。

 元いた場所より、だいぶ動いてる。

 後ろで、スパムに巻き込まれて、

 ジャックボットが消えていく。


「セナさん、これすごい!」


「身体に負担は?」


「全然ない! これなら行ける!」


「じゃあ、容赦なく行くわよ!」

 視界がまた、青い空間に切り替わる。


 〜 Redy 〜

 

「全部、蹴散らす!」


 〜 GO 〜


 飛んでくるボックスを、全部切る。

 まるで、音ゲー。

 自分が移動してるのに、

 相手が移動してるように見えるだけで、

 全然酔わない。

 セナさんは、この改変データを

 タイプCメモリに入れてくれたんだ、

 素適! すごい!


 全てのキューブを切った時、

 バツンと音をたてて、視界が戻った。

 たぶん、動くのをやめると、戻る。


 よし、視界は良好、これで。

 ステージの真ん中あたり、

 ふわりと立ってる、白い着物の彼。


 さぁ、見つけた。次は、君だ。


「フフッ」

 と、彼は僕を見て、笑った気がした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】


「ちょ! デジャヴ!

 それやったじゃん! さっきと同じ!

 一度攻略されたら、

 もうやっちゃいけないって、お約束、

 知らないの?」


「シラナイヨ」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!



【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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