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第16話、リズムボックス

挿絵(By みてみん)

 紺色のバーチャル空間に、

 白い線が出てくる。格子状に広がって、

 広くなってく。


「ダイヤちゃん、聞こえる?」


「今は、シカクって呼んで下さい」


「OK、シカク君。VRの調子どう?」


「問題ないです。いつもと代わりません」

 周りを見回して、ゆっくりと息を吐く。


 開発部にある、試用のVRゴーグル。

 うちにあるVR機より、軽い。


「ゲストアカウントだけど、

 アバター設定は同じにしておいたから」


 ダイブ感覚は同じ。


「それで、何をするんですか?」

 僕は姿は見えないが、

 聞こえてくるセナさんに呼びかける。


「そりゃあ、強化アイテム、よ。

 敵が強くなるなら、こっちはそれを

 上回る速度でアップデートしなきゃ」


 なにそれテンションあがる。


「今ダウンロードするからね」

 右上に表示がでて、いっぱいになると、

 両手が光った。


「ん? ペンライト?」


 コンサート用ペンライトが手にある。

 オタ芸する時の、課金アイテム。


「握ると、伸びるから」


 言われて、ギュと握りしめると。


「おぉ」


 伸びるというか、大きく太くなって、

 これは、ペンライトというより


「ライトセーバー!」


 黄色の刀身は、

 真ん中から先が、紫に光っていた。


「この色って」


「そう、ブロックノイズ。いままで、

 殴ってたけど、それで切るだけで、

 倒せるから。接触判定も消しといた」


「ちょ! 効果音足して下さい!

 振った時にブゥンって!」


「ふふっ、今つける」


 カタカタ音がして、

 アップデート表示がでる。

 それがいっぱいになると。


「おぉ!」


 振ると、ブゥンっと鳴る、

 ライトセーバーが出来た。


「良い、めっちゃ良いー。

 紫なのも良いー。あの人みたいー」


「さぁ、試しに切って見てね。

 音楽スタート!」


 ん? 音楽?


 軽快なビートが聞こえてくる。

 ノリの良いテンポの、洋楽。


 前から、光るキューブが見えて、

 それがどんどん近づいてくる。


 これは、見たことある、やったことある

 有名な! 有名な、VR音ゲー!


 ビートマニアドック!


 音にのって、飛んでくるキューブを

 ライトセーバーで切る!


 ブゥンと効果音、

 真っ二つに飛んでく破片。

 弾ける爽快感!


「さぁ、どんどん飛んでくよー」


 前からいっぱい、キューブが飛んでくる

 音楽が頭の中で響く。

 音に合わせて、切る! 切る! 切る!

 アドレナリンが頭を駆け回った。



  ◆◇◆◇



「あれ、なんか意味あるんです?」

 VRゴーグルをつけたダイヤを、

 ガラス越しに見ながら、ヤナギが聞く。


 開発部のVR試動スペース。

 上のモニターには、バーチャル合成の

 映像が映る。


「遊んでる様しか、見えないですけど」

 とヤナギはパソコンいっぱいの

 調整部屋から、ダイヤを見て呟く。


「これが大事なの」


「スパムを剣状にして、

 リーチのばしたのは分かりますが」


 今まで殴ってたから、楽にはなる。


「なんで音ゲー?」


 VRゲームを楽しむダイヤは

 傍から見れば、見えない敵と戦う

 変なヤツにしか見えない。


「あの子が作ったチートが、

 相手も使える様になるなら、

 次、相手が使えるのは?」


「速度改変チート」


「そう。だからコレ、高速の敵を

 的確に切る練習」


「そんなに上手く行きますか?」


「さぁねぇ、やってみないと」


「というか、俺も戦えるように

 して下さいよ」


 あぁー、と画面見ながらセナは呟いて、


「それだけど、ヤナギ君、

 鬼ごっこの時、ブロックノイズスパム

 受けたでしょ」


「はい。俺は感染しても平気なんで……

 敵を集めてました。つまりタンクです」


「あれ、二度とやめて」


「え、なんでです?」


「調べたら、月下時雨アカウントに

 ハッキングかけてる形跡が見つかった」


「い? だ、大丈夫でした?」


「まぁ、今の所はね。

 MMOでキャラ接触させて情報抜くのは

 古典的な方法だから。

 だから、二度としないで」


「あ……すいません」


「本来、ブロックノイズに感染しても

 平気なのはシカク君だけだから。

 相手も進化してるし、次も大丈夫とは

 限らないから」


「ごめんない」


「相手の目的が、月下時雨アカウントの、

 乗っ取りだと、分かった以上、

 あなたを戦わせる事は出来ない訳」


「え! もしかして、だから

 シカクを強化してるんですか!」


「当たり前でしょ。

 彼に戦ってもらう以外に無いんだから」


 はっきり、言い切るセナの言葉に、

 ヤナギは諦めて、ため息をついた。


「でも、強化した所で、

 相手も使えるんですよね?」


「それも考えた。プログラム変えると

 相手も使えちゃうから、コレ」


 と、セナは二センチくらいの部品を

 渡してくる。


「なんすか? コレ。タイプcメモリ?」


「それ、帰ったらダイヤちゃんの

 VR機に挿してあげて」


「インストールせずに、直接データ

 引っ張るんですか、なるほど」


 それなら、コピーされない。


「挿すとこ間違えないでね」


 ん、ちょっとまて、それって、


「俺がやんなきゃダメすか?

 シカクに渡して下さいよ」


「あの子、無くすでしょ、絶対」


 ……悪いが否定できねぇ。


「でも、今日配信無いし、休みだし

 俺は自分の家、帰って

 寝ようと思ってたんですけど」


 久しぶりにベッドで寝たい。


「それで、あの子が納得するの?」


 セナはふふっと笑って、

 プレイヤーにつながるマイクをオンして


「シカク君、お疲れ様。完璧よ。

 今日は、もうこれで大丈夫。出てきて」


 はーい。とガラスの向こうで声がして

 ゴーグル外す姿が見える。

 やがて奥のドアが開いて、


「ただいまー。すっごい楽しかった。

 ヤナギー、帰ろう」


 笑顔で、当然のようにダイヤが言う。


「いや、俺、今日、自分ちに帰ろうかと」


「え? そうなの?」


「今日配信ないし」


「えー、じゃあ、誰が、

 時雨ちゃん等身大パネル、運ぶのさ」


「おいこら、俺に運ばせる気か」


「当然じゃん、絶対じゃん、他に無い」


「お前が欲しいって言ったんだろ」


「そもそも休みなのに、来てって

 言ったのはヤナギじゃん、

 そのくらいするべきじゃん」


 あぁ、もうこいつは……

 助けを求めてセナの顔をみると、


 セナは、ほらね。と言うように、

「運びやすく、梱包しておいたから」

 と、笑った。


 まぁ、パネルむき出しで、周囲の目に

 刺されないだけ、よかった。


「早く帰ろ、ヤナギ」


「へいへい」


「夕飯はエビグラタンね、チーズ沢山」


「コーン入れる?」


「入れる」


「ブロッコリーは?」


「なるだけ細かく切って」


「ん」


 荷物持って帰って行く2人を、

 じゃーねー、とセナは笑顔で見送った。


「夜は時雨ちゃんパネルと一緒に寝る」


「それだけはマジでやめろ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【次回予告】



「コラボ? 時雨ちゃんが?」


「そう、VS歌みたコラボ配信」


「誰とコラボするの?」


龍神たつがみせいみな」


「え? マジでーーー!」


いつも応援ありがと☆ 毎日更新するよ!


【出演Vtuber】感謝御礼!

久不シカクさん

https://twitter.com/cube_connect_

月下時雨さん

https://twitter.com/Gekka_Shigure

(時雨さんは実際は男Vさんです)

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