それぞれの事
美久は家族のアルバムをしばらく眺めていた。父と母と三人いた頃の写真を。
「誠も同じ気持ちかな。もう一度だけ、父さんと話してみたいな」
「ああ」
父も、美久を連れて来たら喜んでくれたかな。
それから、色んな話をした。
「忘れてたけど、姫路行き用に借りたお金はちゃんと返す」
「最初に来てもらった時に負担してもらってるから、相殺でいいよ」
「駄目だって。今回のは自分一人の為だけのものだったから」
「それもそうだね。でも完全に誠一人のためだけじゃないと自分は思いたい。だから一回目の分の清算として半分引いて、更にその半分ぐらい、往復運賃の1/4ぐらい返してくれれば」
「……分かった。とりあえず、それで手を打とう」
「最近何かあった?」
「しいて言えば蒼太さんが部屋の掃除をするようになってた」
「それはびっくりだ」
「何がきっかけかは分からないけど、前に叔父さんの家に寄った時にきれいになったぞ、って部屋を見せられたよ。得意げな顔で」
「今年一番驚いた情報かも」
「クローゼットから服とか雑誌とか色々はみ出してたけどね」
「この前三人で会った時から気になってたけど、誠は千夏の事が好きか、もしくは気になってる?」
「え?」
と驚きつつも、自分もそれは引っかかっていた。
「それが自分でもよく分からないんだ。知っての通り未だに初恋を経験してないから」
きっと、これからはそういう事も起きてくるだろう。




