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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
変わっていくもの
93/98

美久と母

 母がそわそわしている。自分もなんだか緊張している。

「迷ってたりしないかしら? このアパート分かり辛い所にあるから」

「自分の家に迷う人間はいないよ」

「……そ、そうね。そうだったわね」

 今日はついに美久が家にやってきて、こちら側の母と対面する。美久の引っ越しや母の仕事の都合で1月の半ばまでずれ込んでいた。待っている期間が長い分、今日までかなり美久の事を質問されてきた。

 インターフォンがなり、素早く母が対応する。

「初めまして。村山美久です」

 美久と対面した時の母は感激したようだった。

「家族が増えたような気がする」

「女の子連れてきたことなかったから」

「娘が出来たみたい」と、随分はしゃいでいる。

 娘と言っても中身は変わらないけど。

 リビングに場所を移して、自分が知っている中で一番いいお菓子と共にお茶をしている間、美久の容姿や立ち居振る舞いを何度も褒められる。気恥ずかしいが嬉しくもある。

 ごく最近まで一緒に暮らしてもいたので、積もる話があるようなないような。結果的に、事前にある程度美久の事を伝えてもいる。それでも恐らく、息子からよりも娘のような存在から、村山美久の人生を教えてもらう事が興味をそそられるようだ。

 美久の話が事故のくだりに触れると、母の声のトーンが急に変わり、

「事故の時にそばにいれなくてごめんね」

 と謝った。

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